海外プロモーションについて徹底解説!成功するためのポイントなども教えます

海外進出する企業や訪日インバウンドが増えていることから、海外プロモーションを検討する企業や自治体も増えてきています。海外プロモーションでは、自社の製品やサービスを海外の顧客に効果的にアピールし、ブランド認知度を高めることが成功への鍵となります。

しかし、言語や文化の違いなどから、国内でのプロモーション手法をそのまま海外に適用しても上手くいかないことが多いのが実情です。ターゲット国の市場特性をしっかりと理解し、現地に合ったプロモーション施策を展開していく必要があります。

今回の記事では、海外プロモーションの重要性や成功させるポイント、各国の事情に合わせたオンラインやオフラインでの具体的な広告方法まで解説していきます。

海外プロモーションとは

海外プロモーションとは、自社の製品やサービスを海外の市場に販売するために行う一連のマーケティング活動のことです。国内市場とは異なるターゲット層に対して、効果的な方法で製品やサービスの価値を伝え、購買行動に繋げることが目的となります。

そこで、まず誰に何を販売するのかを明確にすることが重要です。ターゲット国や地域、年齢層、性別、所得層などを詳細に分析し、ニーズを把握する必要があります。その上で、現地の文化や習慣に合わせたアプローチ方法を検討し、適切な方法を選択しましょう。

海外プロモーションがなぜ重要視されているのか

それでは、ここからは海外プロモーションの重要性についてご紹介していきます。具体的には、ビジネスチャンスの拡大や売上増加、ブランドの認知度向上そしてリスクの分散に繋がるという点について詳しくみていきましょう。

ビジネスの成長に繋がる

日本国内の市場は、人口減少や高齢化により頭打ちになりつつあります。そこで、海外市場を開拓することで、ビジネスの拡大そして成長のチャンスを得ることができます。

特に中南米や東南アジアといった新興国やアフリカでは、人口増加、経済成長に伴い購買力が向上しており、大きな可能性を秘めています。

海外市場の人口増加予想
参考元:伸びゆく市場の獲得(新興国市場開拓)

売上の増加に繋がる

海外市場への進出は、売上増加の大きな機会となります。国内で築いた強固な基盤を活かしつつ、海外での事業展開を戦略的に推進することで、顧客数の大幅な増加が期待できます。

現地のニーズや文化に合わせた製品やサービスの提供、効果的なマーケティング活動、現地パートナーとの協業など、きめ細やかな対応を行うことで、海外市場でのシェア獲得を加速させることができるでしょう。

ブランド認知の向上

海外市場への進出は、自社ブランドの認知度向上に大きく貢献します。多様な文化背景を持つ世界中の人々に自社の製品やサービスを提供することで、ブランドの露出度が格段に高まります。現地の消費者に直接アプローチできるため、自社の強みや独自性をアピールする絶好の機会となるでしょう。

ブランド認知度が上がれば、それに伴って信頼性や好感度も自然と向上します。海外の顧客から高い評価を得ることで、ブランドイメージが向上し、ロイヤルティの高い顧客を獲得できます。毎年、5,000社を超えるブランドを評価しているBrand Financeが出しているブランド認知度ランキングでは、日本を誇るトヨタが21位をマークして「最も強力で最も価値のある日本企業」として評価されています。

世界のブランド認知ランキング
参考元:The 25 Most Valuable Global Brands in 2020

加えて、海外展開によって得られたブランド力は、国内市場においても好影響を与えます。グローバルブランドとしての地位を確立することで、国内の消費者からの信頼や支持も高まり、売上増加に寄与します。

リスク分散になる

複数の国や地域で事業を展開することで、特定の市場における経済変動や政治的リスクの影響を最小限に抑えることができます。

先人の「一つのバスケットに卵を盛るな」という格言の通り、特定の国に絞るのではなく、いくつかに分ける、リスク分散は経営の安定性を高めるために欠かせません。

海外プロモーションを成功させる方法とは

海外プロモーションを成功させる方法とは

海外プロモーションだけでなく、何をするにも時間と予算の投資は付き物です。しかし、それらを価値のあるものにするにはしっかり市場調査やターゲット調査を行った上で、戦略を練ることが重要となります。

ここからは、海外プロモーションを成功に導く方法について詳しくご紹介します。

海外市場の理解

海外進出を成功させるためには、進出先の国や地域に関する綿密なリサーチが不可欠です。特に消費者行動や嗜好、競合他社の動向を深く理解することが重要となります。

まず、現地の文化的背景や価値観を十分に把握しましょう。国や地域によって、消費者の考え方や行動パターンは大きく異なります。例えば、中国ではコストパフォーマンス重視の人が多く、体験型アクティビティやアニメ、ゲームなどのサブカルチャーへの関心が高いといった傾向があります。こうした対象国の生活形態をも、考慮した上で選択することが求められます。

▼最適な海外マーケティングについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/how-to-successful-crossborder-ec

ターゲットの理解

ターゲットとなる顧客層を明確に設定し、その属性や行動パターンを綿密に分析することが極めて重要です。年齢、性別、所得、ライフスタイル、価値観、趣味・関心事などあらゆる角度からターゲット像を詳細に把握することで、共感を得られるようなメッセージを的確に発信することができます。

具体的には、ペルソナを複数のパターンで作成し、ターゲットの詳細を決定することをおすすめします。例えば、「30代前半の共働き夫婦で、子供が1人いる。健康志向が高く、オーガニック食品を好む。週末は家族でアウトドアを楽しむことが多い。」といったように、ペルソナを具体的に設定することで、ターゲットのニーズや嗜好を深く理解することができます。

マーケティングチャネルの選択

インターネット広告、SNS、現地メディアなど、多岐にわたるマーケティングチャネルの中から、ターゲット層に最も効果的にアプローチできる手段を戦略的に選択することが重要です。

国や地域によって、人々の媒体接触傾向や情報収集の習慣は大きく異なります。例えば、中国では、インターネット広告がテレビ広告を追い抜き全体の37%まで普及しているのに対して、別の国ではSNSを通じた口コミ情報が購買行動に大きな影響を与えているかもしれません。

世界の検索エンジンマーケティングチャネル

徹底したローカライズ

グローバル市場で製品やサービスを展開する際、ローカライゼーションは非常に重要な要素です。単に言語を翻訳するだけでは不十分で、現地の文化や習慣、価値観に合わせて適切にカスタマイズすることが求められます。

例えば、広告コンテンツを制作する際は、現地の消費者の嗜好や関心事を深く理解し、共感を呼ぶメッセージを発信する必要があります。また、製品の機能や利用方法についても、現地のライフスタイルに合わせて最適化することが重要です。具体的には、Uberがエジプトで行なった船のサービス「Uber BOAT」が挙げられます。その他にも、各国にあった配送サービスでサービスを提供しています。

AirbnbとUberのグローバル戦略
参考元:ローカリゼーションの実例:AirbnbとUberのグローバル戦略

失敗する可能性のあるケース

海外プロモーションを行う際、現地の文化や市場の特性を十分に理解していないと、思わぬ失敗に繋がることがあります。様々な事が原因となり、せっかくの商品やサービスが受け入れられないケースが少なくありません。海外プロモーションを成功させるには、入念な事前調査と綿密な計画が不可欠です。

ここからは、どのような場合に失敗する可能性が高くなってしまうのかを解説していきます。

​​自動翻訳を使った場合

自動翻訳ツールは、言語間のコミュニケーションを容易にする画期的な技術ですが、その利便性の裏には注意すべき点もあります。

言語の微妙なニュアンスや文化的な背景を捉えきれないことがあります。言葉の持つ繊細な意味合いや文脈、文化的に考慮して適切な表現を選択することが難しいのです。その結果、意図した意味とは異なる訳文になってしまう恐れがあります。

自動翻訳ツールは、言語の壁を越えるための強力な手段ですが、万能ではありません。重要な場面では、専門の翻訳者に依頼したり、ネイティブスピーカーに確認してもらったりすることが賢明です。自動翻訳の限界を理解し、状況に応じて適切に使い分けることが大切だと言えるでしょう。

ローカライズを意識していない翻訳ページ

ローカライズを意識していないような単なる直訳をされた海外向けサイトでは、現地の人々の心に響くコンテンツを作ることは難しいと言えるでしょう。言葉の奥にある文化的背景や価値観の違いを理解し、それを踏まえた上で翻訳することが重要です。

また、現地の文化や習慣、宗教観なども十分に理解した上で、それらに配慮した表現を心がけることが大切です。

例えば、ゲームを開発しているIT会社は、ロシアやイランが規則で流血シーンやバイオレンスなどの表現を禁止しているため、そういった場面をカットしたり、ヒジャブを使用してキャラクターの肌の露出を無くすなどのローカライズをして、世界中の人たちが楽しめるようなゲーム制作に励んでいます。

▼他にも海外進出の失敗例について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/failed-cases-of-overseas-expansion

オンラインでの海外プロモーションの手段

それでは、実際に海外プロモーションにはどういった種類のものがあるのかご紹介します。はじめに、ウェブやGoogle、SNSを使用したオンラインでの広告方法です。

ウェブ広告

ウェブ広告

代表的なものには、リスティング広告やディスプレイ広告などがあります。どれも即効性の高く、効果が出やすいため海外プロモーションにおすすめです。

また、対象国や地域の言語、検索習慣、文化的背景などを十分に理解し、適切にターゲットを絞り込んだ配信が可能で、費用対効果も測定しやすいのが特徴です。

マップ広告

マップ広告

Google マップ上に自社の店舗や施設を表示させる広告です。旅行者や現地在住者に対して、店舗への誘導を図ることができます。訪日外国人が年々増加傾向にある日本で、インバウンド向けのアプローチにおすすめです。

Googleマップの普及率は、下記の図を見ても圧倒的と言えるでしょう。あらゆる言語で見る事が可能なため、店舗名などの多言語化をあらかじめしておくことが必要です。

世界で人気のMapアプリ
参考元:無料で外国人を集客する方法|インバウンド集客に効果的なGoogle Maps活用法とは?

SNSマーケティング

SNSマーケティング広告の種類

SNSを活用した方法では、FacebookやInstagramなどの現地で人気のSNSを利用して、ターゲット層とのコミュニケーションを図ります。共感を得られるコンテンツを継続的に発信することが重要ですが、効果が出るまでには時間がかかる場合もあります。

そのため、継続的なモニタリングを行いながら、柔軟にプランを調整していくことが求められます。SNSの特性を理解し、ターゲット層のニーズを的確に捉えたコミュニケーション戦略を練ることで、ブランドへの信頼と愛着を醸成し、長期的な成果に繋がります。

▼海外ビジネスを成功させるインスタグラム運用について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/instagram-for-overseas

インフルエンサーマーケティング

現地で影響力のあるインフルエンサーを起用することは、自社製品やサービスの認知度や信頼性を高める効果的な手段です。フォロワーからの信頼が厚く、彼らの発信する情報は多くの人々に届きます。

ただし、インフルエンサーマーケティングを実施する際には、いくつかの留意点があります。まず、起用するインフルエンサーの選定は慎重に行う必要があります。自社のブランドイメージに合わない人物を起用してしまうと、逆効果になりかねません。

自社の予算や目的に合わせて、慎重に検討することが重要です。

オフラインでの海外プロモーションの手段

続いては、オフラインでの海外プロモーションをご紹介します。オフライン広告では、やはり現地の文化や習慣への理解がとても重要となります。対象国や地域、ターゲットにあった適切な方法を探してみましょう。

看板広告

看板広告の例
参考元:掲出看板・広告紹介|会社情報|THKオフィシャルウェブサイト

現地の街中や交通機関に戦略的に看板を設置することで、ターゲット層への視覚的なアピールを効果的に行います。看板の設置場所は、ターゲット層の目に留まりやすく、多くの人々が通る場所を選ぶことが重要です。例えば、ターゲット層が頻繁に利用する駅やバス停、ショッピングセンターや繁華街の近くなどが適しています。

実際に機械部品などの製造を行なっているTHKは、アメリカのニューヨークヤンキースのスタジアムに看板広告を出しており、そうすることでアメリカだけでなく、世界中に高い視認性と露出効果が期待できるような戦略をとっています。

ダイレクトメール

ダイレクトメールの例
参考元:トヨタパワーアップwithジャン

ダイレクトメールは、ターゲット層に直接郵便物を送付して、製品やサービスを案内するマーケティング手法の1つです。この方法の最大の利点は、配布エリアや対象者を絞り込むことができる点にあります。

例えば、年齢層、性別、居住地域、購買履歴などの情報をもとに、潜在的な顧客を特定し、ターゲットに向けて効果的なアプローチを行うことが可能です。

しかし、印刷費や郵送料などのコストがかかるため、大規模なキャンペーンを実施する際には予算面での制約が生じる可能性があります。また、ターゲットの目を引くようなものでなければ、開封されないリスクも考えられます。

フリーペーパー

フリーペーパの例
参考元:世界11か国に展開する、訪日外国人向けフリーマガジン「WAttention」東京版 媒体資料/広告掲載/広告資料

現地で発行されているフリーペーパーへの広告掲載は、ターゲット層にリーチする効果的な方法です。年齢層、性別、興味関心などを考慮し、ターゲットとする層が手に取りやすいフリーペーパーを選ぶことが求められます。

例えば、若者向けのファッション誌や、主婦向けの生活情報誌などがあります。次に、フリーペーパーの配布場所を確認し、ターゲット層が多く集まる場所で配布されている媒体を選ぶことで、リーチ率を高められます。

海外プロモーションを効果的に行う方法は?

自社だけで海外プロモーションを行うことは、言語や文化の壁、ノウハウの不足などから、困難を伴う場合があります。また、自社で行う場合、コストは抑えられる反面、試行錯誤が必要で時間がかかるでしょう。

一方、現地の事情に精通した専門企業に依頼することで、効率的かつ効果的なプロモーションが可能となります。もちろん、ある程度の費用が発生しますが、現地のネットワークを活かした的確な戦略立案と実行が期待できます。

ゼロから海外プロモーションに取り組むよりも、経験豊富な専門家のサポートを受けることで、失敗のリスクを最小限に抑えながらスピーディーに成果を上げることができるでしょう。

海外プロモーションの成功事例

実際に、海外向けのプロモーションを成功させた事例ではどういった物があるのでしょうか。気になる成功事例をご紹介します。

伊藤久右衛門

伊藤久右衛門の台湾のFacebookアカウント
参考元:台灣伊藤久右衛門股份有限公司

京都の老舗茶舗「伊藤久右衛門」は、Facebookを活用した台湾人向けの戦略的プロモーションにより、訪日外国人からも高い人気を獲得しました。Facebookでの反応を分析し台湾人のユーザーが多いことがわかったため、台湾に特化した情報発信を行った結果、2016年に台湾1号店をオープンした際には、開店前から長蛇の列ができるほどの盛況ぶりを見せました。

SNSを活用した戦略的プロモーションと現地ニーズに合わせたローカライゼーションは、海外進出を目指す企業にとって参考になる事例と言えます。

まとめ:効果的に海外プロモーションを行いビジネスを成功させましょう

海外プロモーションは、ビジネスの成長や売上増加、ブランド認知向上など、大きなメリットがあります。一方で、言語や文化の違いによる難しさも存在します。

成功のカギは、現地市場やターゲット層の深い理解と、それに基づく戦略的なアプローチです。オンラインとオフラインの様々な手段を効果的に組み合わせ、現地に適応させることが求められます。

自社だけで完璧に実行するのは難しいかもしれません。専門企業の知見を活用しながら、スピード感を持って取り組むことが肝要です。

グローバル市場の獲得は、ビジネスの大きな飛躍に繋がります。しっかりとした準備と実行力を持って、海外プロモーションに挑戦してみてはいかがでしょうか。

この記事を監修した人
Daisuke K
マーケター、CMO
2021年にCMOとしてIGNITEのへの参加を果たした。以前からマーケティング業界での勤務経験を有し、IGNITEでは海外市場向けのマーケティング戦略を展開している。あらゆる国や地域からの、BtoB、BtoC案件を総監し、海外進出を検討する日本国内の企業から、日本への参入を希望する海外企業までのサポートを行っている。
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