Pinterest広告は、購買意欲の高いユーザーに対して、ビジュアルを通じた自然な訴求ができる広告プラットフォームです。InstagramやTikTokと同じく画像・動画中心のSNSでありながら、Pinterestは情報収集や購入検討の段階で利用されることが多く、他のSNS広告とは異なる特性を持っています。
一方で、Pinterest広告は国内での活用事例がまだ多いとはいえず、料金体系や配信の仕組み、具体的な始め方が分かりにくいと感じる担当者も少なくありません。ビジュアル重視の媒体だからこそ、設計を誤ると成果につながらないケースも見られます。
本記事では、Pinterest広告の基礎知識や他のSNS広告との違い、出稿までの流れ、成果を出すための運用ポイントを分かりやすく解説。あわせて、無印良品やHIS、IKEAといった成功事例をもとに、実践的な活用イメージも紹介します。
Pinterest広告とは?他のSNS広告との違いと基礎知識
Pinterest広告は、ユーザーの「興味・関心」や「将来の行動」を起点に情報を届けられる点が特徴の広告手法です。まずは、Pinterestというプラットフォームの特性と、広告配信の考え方、他のSNS広告との違いを説明します。
Pinterestとはどんなプラットフォームか
Pinterestは、画像や動画を「ピン」として保存・整理しながら、アイデアや情報を探すビジュアル検索型のSNSです。ユーザーは娯楽目的よりも、商品選びやライフスタイルの検討、将来の計画立案といった目的で利用する傾向があります。

Pinterest上の行動は「購入前の情報収集」や「比較検討段階」と強く結びついており、広告も売り込み色の強いものより、役立つ情報やインスピレーションを与えるコンテンツが好まれます。
Pinterest広告の仕組みと配信の考え方
Pinterest広告は、通常のピンとほぼ同じ見た目で表示され、ユーザーの検索結果やフィードに自然に溶け込む形で配信されます。興味関心、検索キーワード、行動履歴などをもとに配信されるため、ユーザーの検討タイミングに合わせたアプローチが可能。
「広告を見せる」というよりも、「探している情報の延長として届ける」設計が重要で、コンテンツマーケティングに近い発想が求められます。
Instagram・TikTok広告との違い
海外向けビジネスに効果的なInstagramやインバウンド向けの発信にも活用されるTikTokが「今この瞬間の関心」や「エンタメ性」を重視するのに対し、Pinterestは「これからやりたいこと」「将来の購買行動」を意識した利用が多い点が大きな違いです。
Pinterestでは投稿の寿命が長く、広告やピンが検索経由で継続的に閲覧されやすい特徴があります。短期的な話題化よりも、中長期での認知獲得や購買導線づくりに向いている点が、他のSNS広告とは異なるポイントです。
Pinterest広告を選ぶ3つのメリット
Pinterest広告は、他のSNS広告にはない特性を持っており、目的や商材によっては高い費用対効果が期待できます。ここでは、Pinterest広告を選ぶ主なメリットを3つに整理して紹介します。
① 購買意欲の高いユーザーに効率よくアプローチできる
Pinterestユーザーは、商品やサービスを「今すぐ消費する」よりも、「購入や利用を検討するための情報収集」を目的として利用する傾向があります。そのため、検討段階にあるユーザーへ、比較・検討材料となるコンテンツを届けやすい点が特徴です。
検索キーワードや保存行動をもとに広告が配信されるため、興味関心と合致したユーザーに効率よくリーチでき、無駄な広告配信を抑えやすくなります。
② 視覚的な訴求と多彩な広告フォーマットで関心を高められる
Pinterestはビジュアル重視のプラットフォームであり、画像や動画を活用した広告と相性が良い媒体です。商品イメージや使用シーン、ライフスタイル提案などを視覚的に伝えることで、ユーザーの関心を自然に引き出せます。
カルーセル、動画、ショッピング連携など、目的に応じた広告フォーマットを使い分けることで、認知獲得から購買促進まで幅広く活用できる点も強みです。
③ 競合が少なく、予算をコントロールしながら運用しやすい
国内ではまだ参入企業が多くないため、他の主要SNS広告と比べて競合が少ない傾向にあります。その分、比較的低コストで広告配信を始めやすく、テスト運用もしやすい点が魅力。
日予算や入札額を柔軟に設定できるため、予算規模に合わせて段階的に運用を広げることも可能です。小規模から始めて効果を見ながら調整したい企業にとって、取り組みやすい広告媒体といえるでしょう。
Pinterest広告の料金体系と課金の仕組み
Pinterest広告は、予算や目的に応じて柔軟に運用できる料金体系が特徴です。ここでは、料金の考え方や最低出稿金額、入札方法、主な課金方式についてお伝えします。
Pinterest広告の料金の特徴
Pinterest広告は、固定費ではなく入札制・成果重視型の料金体系を採用。広告主は日予算やキャンペーン予算を自由に設定でき、配信状況や成果を見ながら調整が可能です。
他の主要SNS広告と比べて競合が少ないため、比較的低コストで配信できるケースも多く、テスト運用から始めやすい点が特徴といえます。
Pinterest広告の最低出稿金額と予算設定
Pinterest広告には明確な「最低出稿金額」は設定されていません。少額の予算からでも出稿できるため、まずはテスト配信を行い、効果を確認しながら段階的に予算を増やす運用が可能です。
日予算・総予算の両方を設定できるため、想定以上に広告費が膨らむリスクを抑えやすく、予算管理もしやすい設計になっています。
Pinterest広告の入札方法(自動入札・手動入札)
Pinterest広告では、以下の2つの入札方法を選択できます。
- 自動入札
設定した目標に基づき、Pinterest側が最適な入札額を自動で調整する方法。初めて広告を運用する場合や、運用工数を抑えたい場合に向いています。
- 手動入札
広告主が入札単価の上限を設定する方法。費用対効果を細かくコントロールしたい場合や、運用経験がある場合に適しています。
Pinterest広告の課金方式(CPM・CPC・CPV・CPA)
Pinterest広告では、目的に応じて複数の課金方式を選択できます。
- CPM(インプレッション課金)
広告が1,000回表示されるごとに課金。認知拡大向け。
- CPC(クリック課金)
広告がクリックされた場合に課金。サイト誘導向け。
- CPV(動画視聴課金)
一定時間以上動画が視聴された場合に課金。動画訴求向け。
- CPA(成果課金)
購入や問い合わせなど、コンバージョン発生時に課金。成果重視の運用向け。
キャンペーンの目的に応じて課金方式を使い分けることで、無駄な広告費を抑えながら効果的な配信が可能になります。
Pinterest広告の始め方|出稿までの流れと設定手順
Pinterest広告は、事前準備から出稿までの流れが比較的シンプルで、初めてでも取り組みやすいのが特徴です。ここでは、広告配信までの基本的なステップを順を追って解説します。
Pinterestビジネスアカウントの作成方法
まずは Pinterestビジネスアカウント を作成します。既存の個人アカウントをビジネスアカウントへ切り替えることも、新規で作成することも可能です。

ビジネスアカウントでは、広告配信や分析ツールが利用できるほか、Webサイトの認証やPinterestタグの設置など、広告運用に必要な設定が行えるようになります。
Pinterest広告マネージャーの初期設定
ビジネスアカウント作成後は、Pinterest広告マネージャーにアクセスし、基本設定を行います。支払い方法の登録、アカウント情報の確認、広告目的に応じた設定などを事前に整えておくことが重要です。

あわせて、Webサイトへのトラッキングを行うためのPinterestタグを設置しておくことで、コンバージョン計測や最適化が可能になります。
キャンペーン作成と目標設定の手順
広告マネージャーからキャンペーンを作成し、配信目的を選択します。主な目的には、認知拡大、トラフィック獲得、コンバージョン促進などがあります。

目的によって配信設計や課金方式が変わるため、事前に「何を達成したい広告か」を明確にしておくことが重要です。あわせて、予算や配信期間もこの段階で設定します。
ターゲット設定とオーディエンス作成
次に、広告を届けたいユーザー層を設定します。Pinterestでは、興味関心、検索キーワード、行動履歴、地域などをもとに、細かなターゲティングが可能です。

既存ユーザーへのリターゲティングや、類似オーディエンスの活用もできるため、目的に応じて最適なオーディエンスを設計しましょう。
ピン(広告クリエイティブ)の作成と最適化
最後に、広告として配信するピン(画像・動画)を作成します。Pinterestでは、通常の投稿と自然に並ぶ形で広告が表示されるため、売り込み感の強すぎないビジュアルやコピーが効果的です。

画像や動画の品質はもちろん、タイトルや説明文にキーワードを適切に含めることで、検索経由の露出も期待できます。配信後は反応を確認しながら、クリエイティブの改善を行いましょう。
Pinterest広告運用で成果を出すための5つのポイント
Pinterest広告は、出稿するだけで成果が出る広告ではありません。目的設計から改善までを一貫して行うことで、はじめて効果を発揮します。ここでは、運用時に押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

① 明確な目的とKPIを設定する
Pinterest広告を始める前に、「何のための広告か」を明確にすることが重要です。認知拡大なのか、サイト流入なのか、購入や問い合わせなのかによって、設計や評価指標は大きく変わります。
目的に応じて、インプレッション数、クリック率、CV数などのKPIを設定し、成果を判断できる状態を作りましょう。
② ターゲットに合わせてオーディエンスを設計する
Pinterestでは、興味関心や検索行動をもとにした精度の高いターゲティングが可能です。年齢・地域といった属性だけでなく、「どんな情報を探しているユーザーか」を意識してオーディエンスを設計することが重要です。
既存ユーザーへのリターゲティングや類似オーディエンスを活用することで、より成果につながりやすい配信が行えます。
③ 目を引くビジュアルと分かりやすいコピーを用意する
Pinterestはビジュアルが重視される媒体のため、画像や動画のクオリティが成果を大きく左右します。商品やサービスの魅力が一目で伝わる構図や色使いを意識しましょう。
あわせて、タイトルや説明文では「何が得られるのか」を簡潔に伝えることが重要です。
過度な煽り表現よりも、ユーザーの関心や課題に寄り添ったコピーが効果を発揮します。
④ 広告フォーマットを目的別に使い分ける
Pinterest広告には、画像、動画、カルーセル、ショッピング連携など、複数の広告フォーマットがあります。認知拡大にはビジュアル訴求の強いフォーマット、購買促進には商品情報を伝えやすいフォーマットなど、目的に応じて使い分けましょう。複数フォーマットをテストしながら、最適な組み合わせを見つけることが成果向上につながります。
⑤ データをもとに継続的に改善する
広告配信後は、データを確認しながら改善を繰り返すことが不可欠です。クリック率や保存数、コンバージョンなどを分析し、反応の良いクリエイティブやターゲットを見極めましょう。小さな改善を積み重ねることで、Pinterest広告の効果は徐々に高まっていきます。
Pinterest広告の成功事例3選
Pinterest広告で成果を上げている企業の事例をご紹介。いずれも「売り込み」ではなく、世界観や情報提供を軸にユーザー行動につなげている点が共通しています。
1. 無印良品(良品計画)

出典:無印良品公式サイト
株式会社良品計画が展開する無印良品は、Pinterestを単なる広告配信の場としてではなく、ブランドの世界観を伝えるメディアとして活用。商品の機能や価格を前面に出すのではなく、収納や暮らしの工夫といった使用シーンを「アイデアピン」で丁寧に紹介し、ユーザーの日常に自然に溶け込むライフスタイル提案を行っています。

また、Pinterestの「ショッピングピン」を活用することで、投稿からECサイトの商品ページへスムーズに遷移できる導線を構築。その結果、Pinterest経由のブランドサイト流入数は前年比約13倍に増加し、購買行動への貢献も明確に。
無印良品の事例からは、「世界観 × 実用性 × 購買導線」を一体で設計することの重要性が読み取れます。
2. HIS(エイチ・アイ・エス)

出典:HIS公式サイト
旅行会社エイチ・アイ・エスは、Pinterestを活用して旅行計画段階のユーザーとの接点づくりに成功しています。各地の観光スポットや風景写真を中心に投稿し、「行きたい気持ち」を喚起するビジュアル訴求を重視した運用を行っています。
「地方創生」をテーマに、国内のマイナー観光地や季節ごとの魅力を発信。地方自治体や観光協会と連携した情報発信により、単なる旅行商品紹介にとどまらない価値提供を実現しています。

出典:HIS Japan|公式 Pinterest アカウント
同社はInstagramでもビジュアル投稿を行っていますが、Pinterestでは旅行計画という行動に直結しやすいという特性があり、Pinterest経由の自社サイト遷移率はInstagramの約2倍となっています。
HISの事例は、「検討フェーズにいるユーザーへ、役立つ情報を届ける」Pinterestの強みを象徴する成功例といえるでしょう。
3. IKEA

IKEAは、Pinterestの特性である「アイデア探索」と非常に相性の良いブランドの1つです。
家具やインテリアを単体で紹介するのではなく、部屋全体のコーディネートや生活シーン別に展開しているのが特徴です。
Pinterest上では、「小さな部屋のレイアウト」「収納アイデア」「模様替えのヒント」など、ユーザーの悩みや関心に直結するテーマを軸にピンを作成。ユーザーはインスピレーションを得ながら、自分の暮らしに近い形で商品をイメージできます。

出典:IKEA (IKEAUSA)|公式 Pinterest アカウント
また、ショッピング連携を活用し、気になったアイデアから商品ページへ自然に遷移できる導線を構築。「探す → ひらめく → 買う」までを分断しない設計が、Pinterest上での高いエンゲージメントにつながっています。
IKEAの事例は、Pinterest広告において商品そのものよりも「使われ方」を伝えることが成果につながることを示しています。
まとめ|ビジュアル訴求を活かせるPinterest広告は海外展開とも相性が良い
Pinterest広告は、購買や旅行、暮らしのアイデアなどを「探している」ユーザーに自然にアプローチできる広告媒体です。視覚的な情報を軸に、検討段階のユーザーへ訴求できる点は、他のSNS広告にはない大きな強みといえます。
成果を出すためには、目的に合った料金設計やターゲティング、魅力的なビジュアル設計に加え、配信後の継続的な改善が欠かせません。無印良品やHIS、IKEAの事例からも分かるように、売り込みではなく、ユーザーにとって役立つ情報や世界観を伝える姿勢が成果につながっています。
また、海外ユーザーの利用も多いPinterestは、ローカライズしたビジュアル訴求を行うことで、海外展開やインバウンド施策にも活用しやすい広告プラットフォームです。長期的な成果を目指し、特徴を理解したうえで運用しましょう。
海外に向けたSNS運用について興味がある方は、インバウンド集客のためのSNS運用戦略や、海外SNSマーケティングのプラットフォーム別活用術、事例から学ぶSNS戦略のポイントなどの記事もぜひ参考にしてください。
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