海外向けのSNSのマーケティングを成功させる方法とは?重要なポイントについて徹底解説

海外展開を目指す企業にとって、SNSを活用したマーケティング戦略は不可欠になっています。
しかし、単に海外のSNSプラットフォームに投稿するだけでは効果的とは言えません。SNSの活用方法をしっかりと理解し、ターゲットに合わせた効果的なマーケティング施策を立てることで、確実に海外展開の成功に繋げることができるでしょう。

そこで、今回の記事では、海外向けSNSマーケティングを成功させるために重要なポイントを徹底解説します。

海外向けのSNSマーケティングの概要とは

今やSNSは、地域を問わず、世界中の消費者とダイレクトに繋がれる強力なツールです。そんな画期的なSNSを使用したマーケティングについて詳しくご紹介しましょう。

そもそも海外向けSNSマーケティングとは?

海外向けSNSマーケティングとは、海外に住む人々や企業をターゲットとし、ソーシャルメディアを活用して自社の商品やサービスを売るためのマーケティング手法のことです。
具体的には、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などといったSNSプラットフォームを通じて、ターゲットとなる国や地域の人々にアプローチをかけ、ブランド認知度の向上や購買行動の促進を図ります。

海外向けのSNSマーケティングを行う重要性について

それでは、海外向けのSNSマーケティングの重要性についてご説明します。

日本の企業や商品、サービスが海外で注目されている

近年、日本の企業や商品、サービスが海外で大きな注目を集めています。日本の高品質な製品、独自の文化、きめ細やかなサービスは、世界中の消費者から高く評価されており、海外市場での需要が急速に高まっています。

また、アニメやキャラクターと言ったような日本独自の文化やデザインは、海外の消費者を魅了し、日本ブランドの価値を高めています。こうしたポップカルチャーは、若年層から中年層にかけて人気が高く、こうしたSNSを活用する人達に対して効率良くアプローチすることができます。

アメリカでの日本アニメ人気
参考元:日本のアニメがアメリカで爆発的な人気を集める理由と事例3選

スマホ普及が拡大しSNS利用者が増加傾向にある

世界的にスマートフォンの普及率が上昇し、それに伴ってSNSの利用者数も増加傾向にあります。2023年6月時点で、世界のソーシャルメディア利用者数は55億人、普及率は70%を超え、今後もさらに拡大すると予測されています。
総務省が発表したデータでは、2000年時点の世界の携帯電話普及率は12.1%に過ぎませんでした。日本や韓国、ヨーロッパの一部の国では、既に50%を超える高い普及率を示していましたが、新興国を中心に25%にも達していない国が大半を占めていました。
しかし、その後の10年余りで携帯電話は世界中に爆発的に普及し、2013年時点での普及率は94.4%にまで達しました。短期間で携帯電話が全世界に浸透していったことは、明らかです。この勢いがあれば、今後もさらに普及していくと考えられるでしょう。

世界における携帯電話普及率の変化
参考元:総務省|平成27年版 情報通信白書|携帯電話の全世界への普及

国内向けSNSマーケティングと海外向けSNSマーケティングの違い

SNSマーケティングにおいて、国内展開と海外展開では大きな違いがあることはご存知だと思います。言語、文化、習慣の違いから国内とは全く異なるアプローチが必要となってきます。
そこで、ここからはそんな国内外でのマーケティングの違いについて解説していきます。

使用されるプラットフォーム

国内向けのSNSマーケティングでは、YouTubeやX(旧Twitter)、Instagram、Facebook、LINEなどが主要なプラットフォームとして使用されます。その中でも、LINEが約9,600万人と最も多くのユーザー数を持っており、日本国内で最も普及しているSNSプラットフォームだと言えます。

日本国内で人気のプラットフォーム

一方、海外向けのマーケティングでは、国や地域によって人気のあるSNSが異なります。例えば、中国ではWeChatやWeiboが主流であり、欧米ではFacebookやInstagramに加え、XやSnapchatなども広く利用されています。

言語と文化の違い

国内向けのSNSマーケティングでは、日本語のニュアンスや文化的背景を理解した上で、それに合わせたコンテンツ作りや戦略立案が求められます。ただし、日本国内では言語や文化の共通理解があるため、比較的展開がしやすいという利点があります。

しかし、海外向けのマーケティングでは、英語をはじめとする多言語でのアプローチが必要となります。また、ターゲットとする国や地域特有の文化、習慣、価値観、祝日などを考慮に入れ、現地の人々の感性に響くコンテンツを制作することが重要です。

▼ウェブマーケティングに必要なローカライズについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/localization-for-overseas-business

法規制とプライバシー

国内向けのSNSマーケティングでは、日本の個人情報保護法をはじめとする国内の法律やガイドラインに従って、個人情報の取り扱いに注意を払う必要があります。ただし、これらの規制については、日本国内では一定の理解が浸透しているため、対応がしやすいというメリットがあります。

一方で、海外向けのマーケティングでは、国や地域によって異なるデータ保護規制に対応しなければなりません。例えば、欧州連合(EU)では、一般データ保護規則(GDPR)が施行されており、厳格な個人情報の取り扱いが求められています。米国でも、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)など、州レベルでの規制が存在します。

EU一般データ保護規則
参考元:EU一般データ保護規則(GDPR)の概要(前編) | NTTデータ先端技術株式会社

これらの法規制に違反すると、高額な制裁金が科せられるリスクがあるため、十分な理解と対策が必要不可欠です。

好まれるコンテンツが異なる

海外向けSNSマーケティングでは、国内と比べて好まれるコンテンツのジャンルやトレンドが大きく異なることに注意が必要です。

例えば、ミームといって主に若年層によってSNSなどのオンラインコミュニティで人々の間で共有され、ユーモアやメッセージ性を持つものが広く拡散する、「バズる」といった現象や誰かが「ある物」を真似をして広がっていく様子のことを指します。

具体的には、一時期InstagramやYoutubeで投稿された「Screaminng Marmot」という動画があります。日本では叫ぶビーバーとして、多くの人が声を変えて拡散していきました。

screaming marmot
参考元:Youtube

このように、海外のSNSユーザーは国や地域によって嗜好が大きく異なるため、一律のコンテンツ戦略では通用しません。各国・地域の文化的特性を理解し、ローカライズされたコンテンツを制作・配信することが重要となります。

各国の主なSNSプラットフォーム

それでは、国別に主に利用されているSNSプラットフォームをご紹介します。

アメリカ

アメリカでは、FacebookやInstagram、X、YouTubeなどが主要なSNSプラットフォームとして利用されています。特に、Facebookは、幅広い年齢層に利用されており、ビジネス向けのページ機能も充実しています。Instagramは、若者を中心に人気があり、ビジュアルコンテンツに強みがあります。

SNSプラットフォームの使用率(アメリカ)
参考元:アメリカの各SNSプラットフォームの特徴の比較と活用方法まとめ

イギリス

イギリスでも、アメリカと同様にFacebook、X、そしてRedditやWhatsApp、Instagramが主要なSNSプラットフォームです。特にメッセンジャーアプリとしては、WhatsAppが使用されています。加えて、プロフェッショナルなネットワーキングに特化したLinkedInも広く利用されています。LinkedInは、世界最大級のプロフェッショナル向けのSNSで200カ国以上、9億3000万人以上のユーザーが利用しており、ビジネスに特化したSNSで世界中と繋がることが可能です。

SNSプラットフォームの使用率(イギリス)
参考元:Most Popular Social Media Networks in the UK

フランス

フランスでは、Facebook、Instagram、Xが主要なSNSプラットフォームとして利用されています。また、フランス発のSNSであるDailymotionは、YouTubeに次ぐ動画共有プラットフォームとして人気があります。

SNSプラットフォームの使用率(フランス)
参考元:classement-reseaux-sociaux-France-monde-2022.jpg

韓国

韓国では、KakaoTalkやNaverなどの国内企業が提供するSNSプラットフォームが主流です。KakaoTalkは、メッセージングアプリとしての機能だけでなく、ニュース配信やオンラインショッピングなども行えるオールインワンのプラットフォームとして利用されています。

SNSプラットフォームの使用率(韓国)
参考元:韓国で人気のSNS「カカオトーク」とは?~LINEとの違い・便利機能・連携アプリを解説!~

中国

weiboホームページ
参考元:微博日本

中国では、WeChatとWeibo、そしてDouyinが主要なSNSプラットフォームです。WeChatは、メッセージング、ソーシャルメディア、モバイル決済などの機能を兼ね備えたオールインワンのアプリで、10億人以上のユーザーを抱えています。

またWeiboは、中国版Twitterとも呼ばれ、8億人以上のユーザーを持っています。テキスト、画像、動画、ライブ配信などの投稿が可能です。企業の公式アカウントを運営する機能があり、ファンの囲い込みや情報発信、ECサイトとの連携など様々な活用方法があります。多くの企業の中で、広告費を投入するプラットフォームとしても重要で、中国市場への進出を検討する企業にとって有効なSNSと言えます。

海外向けのSNSプラットフォームマーケティングにおける主な運用手段

実際に、海外で使用されているSNSプラットフォームにはどういった物があるのでしょうか。ここからは、いくつかのマーケティング方法についてご紹介します。

コンテンツマーケティング

魅力的なコンテンツを作成し、SNSで共有することは、海外展開においても非常に重要です。
例えば、スウェーデンのファッションブランドH&Mは、Instagram上で洗練されたファッションビジュアルを定期的に投稿し、海外のフォロワーとのエンゲージメントを高めています。

H&M Instagram
参考元:H&M (@hm) • Instagram photos and videos

また、韓国のコスメブランドのスキンフードは、SNS上で製品の使用方法やメイクチュートリアルなどの動画コンテンツを配信し、ブランドの魅力を効果的に発信しています。

Skin Food Instagram
参考元:Skinfood Global OFFICIAL (@skinfood_global) • Instagram photos and videos

▼海外向けインスタグラム運用について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/instagram-for-overseas

インフルエンサーマーケティング

各地域や分野で影響力のあるインフルエンサーと提携し、その人物を通じて製品やサービスを紹介してもらうのも有効な手段です。
欧州と北米では、ファッション系を中心に多岐にわたるジャンルのインフルエンサーが活躍しており、企業とのタイアップも盛んです。欧州は、個性的なインフルエンサーが多く、北米では新たなインフルエンサーが続々と登場し、企業が事前に目をつけているケースも多くあります。
活字文化の傾向が低下しているため、一目で情報が理解できるビジュアルコンテンツの需要が高まっていることから、InstagramやYouTubeの利用がより多くなっています。

広告配信

Facebook、Instagramなどのプラットフォーム上で、年齢、性別、興味、地域など、細かいターゲティングを設定して広告を配信するのも重要です。
アメリカのスポーツブランドのNikeは、ユーザーの閲覧情報をサードパーティーに提供し、広告クッキーを使って、パーソナライズド広告を配信しています。これにより、SNS上でユーザーの関心に合った商品を推薦し、Nikeのウェブサイト内外で適切な広告を表示することが可能となっています。

Cookieのしくみ
参考元:サードパーティーCookieとは?仕組み・問題点を分かりやすく解説 | アドエビス(AD EBiS) 広告効果測定プラットフォーム

▼海外向け広告運用を成功させるポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/advertisements-for-overseas

海外向けSNSマーケティングを成功させるための4つのポイント

海外向けにSNSマーケティングを行う際には、どういったことに注意しながら行うのが良いのでしょうか。そこで、続いては重要なポイントを4つに絞って解説します。

ターゲット設定や戦略起案を綿密に行う

​​海外向けSNSマーケティングを行う際は、ターゲットとなる国や地域、年齢層、関心事などを詳細に設定し、それに合わせた戦略を立てることが重要です。
例えば、化粧品ブランドが中国市場に進出する際は、中国の若年層の女性をターゲットとして、人気のあるWeChatやWeiboを活用した戦略を立てるなどといったことです。こうすることで、的確にターゲットへのアプローチが可能となります。

設定したターゲットに最適なSNSプラットフォームを選ぶ

各国で利用されているSNSプラットフォームは異なるため、ターゲットに合わせて最適なプラットフォームを選ぶ必要があります。
例えば、インドの20代女性をターゲットにする際は、Instagramが最適なSNSプラットフォームだと言えます。インドでは、Instagramの利用者が多く、特に若年層に人気が高いことから、利用者数や影響力が大きいため、効果的なマーケティングに繋がると言えるためです。ビジュアル重視の投稿が多いInstagramの特性を活かし、商品やサービスの魅力を訴求することが重要です。

インスタグラムユーザーの最も多い国
参考元:インスタグラムユーザーが最も多い国 2024年 | Statista

他国の言語や文化について理解する

海外向けSNSマーケティングでは、言語だけでなく文化的な違いにも配慮することが重要です。現地の言語でコンテンツを作成するだけでは不十分で、その国の文化や価値観に合ったものを発信することが必要となります。
例えば、インドネシアではイスラム教徒が多数を占めるため、豚肉や酒類の言及や画像を避けるといった宗教的な配慮が求められます。効果的なマーケティングのためには、ターゲットとなる国や地域の特性を深く理解し、それに適したアプローチを取ることが鍵となります。

魅力的なコンテンツ作成を行う

SNSマーケティングでは、ターゲット市場の文化や嗜好に合わせた魅力的なコンテンツ作りがとても大切です。例えば、アメリカではTiktokを使用したショート動画でのコンテンツが人気を集めていることから、Tiktokを使用したコンテンツがおすすめです。ダウンロード数は、2億1000万回を超えており10〜20代半ばのユーザーが全体の約3分の2を占めています。

またブラジルでも、Tiktokの利用者が多いため、カップヌードルで有名な日清食品は、ブラジル用のTiktokアカウントを作成し、ブラジル向けにアニメーションなどのコンテンツを発信しています。

日清食品のブラジル向けTiktok
参考元:Nissin Brasil (@nissinbrasil) Official | TikTok

このように、その国で好まれているコンテンツをローカライズした上で発信することは、非常に重要です。動画は文字コンテンツに比べて、5,000倍の情報を入れることも可能だと言われているため、現代のSNSマーケティングにおいて、とてもおすすめの方法だと言えるでしょう。

継続的な運用

SNSマーケティングの効果が出るまでには時間がかかるため、すぐに諦めずに3年や4年といった長期的な視点で取り組むことが重要です。また、定期的な投稿やキャンペーンをすることによって、ユーザーも食いつきやすくなり顧客のエンゲージメントを維持することができます。加えて、短期的なキャンペーンといった一過性なものではなく、長期的視点に立った継続運用がSNSマーケティングでは不可欠と言えます。

まとめ:困った場合は、海外向けSNSマーケティングに詳しい専門家に相談しましょう

海外向けSNSマーケティングは、言語や文化の違いなど多くの課題があります。自社内で、マーケティングなどの対応が可能であれば、コスト面でのメリットは大きいですが、専門的な知識や的確な戦略立案をすることはなかなか困難と言えます。そのような場合は、海外向けSNSマーケティングに詳しい専門家やエージェントに相談することをおすすめします。各国の市場特性やSNSプラットフォームの動向に精通しており、効果的な戦略立案やコンテンツ作成をサポートを受ける事が可能です。

SNSは情報を拡散しやすく、ユーザーの興味を上手に引き付けることができれば、大きな成果に繋げる事ができ、収益も上がる可能性があります。専門家の知見を活用することで、海外でのSNSマーケティングの成功確率を高めることができるでしょう。

この記事を監修した人
Daisuke K
マーケター、CMO
2021年にCMOとしてIGNITEのへの参加を果たした。以前からマーケティング業界での勤務経験を有し、IGNITEでは海外市場向けのマーケティング戦略を展開している。あらゆる国や地域からの、BtoB、BtoC案件を総監し、海外進出を検討する日本国内の企業から、日本への参入を希望する海外企業までのサポートを行っている。
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