海外市場に進出するには、ウェブサイトのデザインが重要な役割を果たします。国内向けサイトと海外向けサイトでは、文化や言語、デザインの複雑さ、色の使用といった様々な点で違いがあります。
例えば、Youtubeのサムネ一つとっても国内外で大きく違っています。これらの違いを理解し、ターゲットとなる国や地域に最適化されたデザインを作成することが、海外でのビジネス成功の鍵となります。
そこで、今回この記事では、国内向けと海外向けのウェブサイトデザインの違いを詳しく解説し、海外向けサイトを成功させるための3つのポイントをご紹介します。グローバル市場で競争力のあるウェブサイトを作るために、ぜひ参考にしてください。
国内向けサイトと海外向けサイトのデザインの違い
それでは、国内向けのサイトと海外向けサイトのデザインの違いにはどういったものがあるのかご紹介します。
文化の違い
国内向けサイトと海外向けサイトで違う点には、まず「文化」が挙げられます。
一つ例を挙げてみましょう。株式会社小松製作所、通称コマツは建設機械や鉱山機械の分野で世界をリードする企業の一つであり、北米、欧州、アジア、中南米など世界各地に製造・販売拠点を設け、現地のニーズに合わせた製品やサービスを提供しています。日本国内向けのコマツのウェブサイトは、比較的文字が多く、情報量が多いウェブサイトになっています。これは、日本人が詳細な説明を好む傾向にあるという文化的背景を反映しているためです。文字のみでなく配置している画像も多く、比較的派手なデザインになっていることが分かっていただけると思います。
【日本版】
参考元:コマツ
一方、アメリカ版のウェブサイトでは、文字が少なく、見やすいデザインになっています。アメリカを始めとした、欧米諸国では、シンプルなデザインが好まれているためです。
【アメリカ版】
参考元:Komatsu
このように、各国の文化や国民性に合わせたウェブサイトを構築することで、効果的な情報発信とユーザーエクスペリエンスの向上を図ることにも繋がります。
言語の違い
言語の違いによっても、デザインが大きく変わってきます。日本語にはひらがな、カタカナ、漢字の3種類の文字があり、縦書きも可能であるため、国内向けサイトではデザインの幅が広がります。
対して、英語はアルファベットのみで構成され、縦書きは一般的ではありません。また、日本語に比べて文字数が少ないため、海外向けサイトはすっきりして見える傾向があります。この違いを活かすために、海外向けサイトではフォントの選択に工夫が必要です。
レイアウトとナビゲーション
国内向けサイトは情報量が多いため、ナビゲーションメニューも詳細に分類されることが多く、ユーザーが求める情報に素早くアクセスできるように設計されています。一方、海外向けサイトではシンプルなナビゲーションが好まれ、ユーザーが直感的に理解しやすいように設計されています。メニュー項目は少なめで、クリーンなレイアウトが特徴です。例えば、セブンイレブンの国内外サイトを比較してみましょう。日本向けのサイトでは、商品のメニューカテゴリが幅広くアイコンが設置されており、簡単に目当ての商品を見つける事ができます。
【日本版】
参考元:セブン
その一方で、アメリカのサイトでは商品の違いはありますが、温かい物、チルド、お菓子、コーヒーといったようにカテゴリー分けがとてもシンプルになっているのが分かります。国内向けサイトに比べ、海外向けサイトはナビゲーションもシンプルに設計されていることが分かります。
【アメリカ版】
参考元:7-Eleven
デザインの複雑さ
日本を含むアジアの国々では、情報量が多く、詳細なコンテンツを好む傾向があります。そのため、国内向けサイトはページに多くのテキスト、画像、リンクが含まれ、比較的複雑なデザインになることが多いです。対して、海外向けページではシンプルでクリーンなデザインが好まれます。
トヨタ自動車の例を見ると、日本向けサイトは情報量が多く、車種ごとの詳細な説明や画像、キャンペーン情報などが掲載されています。一方、米国向けサイトはシンプルなデザインで、大きな画像と簡潔なテキストが使用され、ユーザーが必要な情報にすぐにアクセスできるようになっています。
このように、トヨタは各国の文化や好みに合わせてサイトのデザインを最適化し、ユーザーにとって使いやすく魅力的なサイトを提供しています。
【日本語版】
参考元:トヨタ自動車
【英語版】
参考元:Toyota
色の使用
国内向けサイトでは、楽天やヤフーショッピングのように、鮮やかな赤やオレンジ、黄色などの明るい色を使用し、色彩豊かなデザインが好まれます。これは、日本人の美意識が色彩の多様性を重視する傾向にあるためです。では、実際の例を挙げ、日本向けECサイトと海外のECサイトで比較してみましょう。
例えば、楽天市場では、以下のようにキャンペーンごとに色を使い分けるなど、カラフルなデザインとなっています。楽天市場は、海外ではあまり浸透していませんが、やはり日本での利用率は高く、こちらの国内向けのウェブサイトは、まさに日本人が好むデザインに仕上げられています。
【日本語版】
参考元:楽天市場
一方、フランス向けの楽天サイトでは、日本向けの楽天市場とは対象的に、落ち着いた色合いやシンプルなデザインのウェブサイトとなっています。
【フランス版】
参考元:Rakuten
このように、文化的背景や美意識の違いがウェブデザインの色彩選択に影響を与えていると言えるため、海外進出する際には、ウェブサイトの配色やデザインもターゲットに合うものにローカライズする必要があります。
また、Yahoo!でも、国内向けサイトと海外向けサイトのデザインを大きく変えています。これは、ユーザーの嗜好や文化的背景の違いに合わせた設計を行っているためです。
【日本版】
参考元:Yahoo! JAPAN
【アメリカ版】
参考元:US Yahoo
国内サイトは、日本のユーザーニーズとデザイントレンドに合わせた設計がなされているのに対し、アメリカのサイトは、画像が大きく色合いも紫を基調としたシンプルなデザイン慣習を重視したものとなっています。
このように、Yahoo!ではグローバルな事業展開に合わせ、国内外でサイトを大きく使い分けており、世界各国のユーザーに最適化されたサイト体験を提供し、ユーザビリティの向上を図っているのです。
海外向けウェブサイトを成功させるデザインを作成するポイント3つ
続いては、ウェブサイトを成功させるデザイン作成のポイントを3つご紹介します。
1. ターゲットに最適なデザインをリサーチする
海外向けのウェブサイトを制作する際にまず重要なのは、ターゲットとなる国や市場、ユーザー層のデザイン傾向をしっかりとリサーチすることです。
例えば、日産自動車はグローバル企業としての一貫性を保ちつつ、ターゲットの特性に合わせてウェブサイトを最適化しています。特にコンテンツ面では、日本向けサイトには日本国内の販売店情報や日本の環境、社会への取り組みが掲載されています。
【日本版】
参考元:日産自動車
一方、カナダ向けサイトには、カナダ国内の情報が掲載され、地域に特化した情報を提供しています。また、デザイン面ではカナダのターゲット層に合わせて、視覚的な魅力をより重視し、画像や動画を前面に出して、詳細情報はページや資料で提供するといった工夫を行っています。
【カナダ版】
参考元:Nissan Canada
2. ローカライズを行う
ローカライズとは、言語だけでなく、文化的な背景や習慣なども考慮してウェブサイトを最適化することです。単なる翻訳だけでなく、現地の習慣や価値観に合わせてデザインや表現を調整することが求められます。具体的には、色の使い方や画像の選定、通貨表示、日付や住所の表記方法などを現地の慣習に合わせて最適化することで、ユーザーにとってより親しみやすく、信頼感のあるウェブサイトになります。
例えば、ファストファッションブランドのZARAは、イスラム教徒が多い国向けのウェブサイトでは、ラマダン期間中の特別なコンテンツを用意するなど、宗教的な配慮を行っています。また、通貨表示や日付の表記方法など、細かな部分までローカライズすることが重要です。
3. 多言語対応
グローバルに展開するウェブサイトでは、多言語対応は必須です。ターゲットとする国や地域の言語でコンテンツを提供することで、現地ユーザーとのコミュニケーションを円滑にし、サイトの利便性を高めることができます。また、言語切り替え機能を設けることで、ユーザーが自分に合った言語でサイトを閲覧できるようにしましょう。多言語の翻訳を行う際は、単なる直訳ではなく、現地の言語や文化に合わせて表現を最適化することが重要です。
特jに、自動車メーカーのトヨタは、世界各国のウェブサイトを現地語で展開しており、ユーザーがスムーズに情報を入手できるよう配慮しています。また、言語切り替えボタンを分かりやすい位置に配置するなど、ユーザビリティにも気を配ることが大切です。
まとめ:ターゲットに合ったサイトデザインを常に意識しましょう
海外向けウェブサイトを成功させるには、ターゲットとなる国や市場、ユーザー層に合ったデザインを徹底的に追求することが重要です。リサーチを行い、ローカライズと多言語対応を適切に実施することで、現地ユーザーに受け入れられるウェブサイトを制作することができるでしょう。
また、デザイントレンドは常に変化していくため、定期的にアップデートを行い、ターゲットに合ったデザインを保ち続けることが長期的な成功に繋がります。
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