購入してもらえる海外ECサイトのデザインとは

ECサイトを活用して海外のお客様に商品を購入してもらうためには、ECサイトのデザインが重要な役割を果たします。異なる文化や言語を持つ顧客に対して、いかに信頼感を与え、購買意欲を高められるかがポイントとなります。
そこで、今回の記事では、海外の顧客向けに魅力的で購入に繋がりやすいECサイトのデザインとはどういったものなのか、そのポイントや具体的な事例を交えながら解説していきます。

海外ECサイトをデザインする際のポイント

海外向けのECサイトには、ターゲットやブランドのイメージにあった誰でも操作しやすいシンプルなデザインにする必要があります。そんな海外向けサイトでユーザーの関心を集めるために、必要な重要ポイントをご紹介していきます。

海外ECサイトをデザインする際のポイント

ターゲット市場の理解

海外向けのECサイトをデザインする際は、まずターゲットとなる市場の文化的背景や言語、地域の法律や規制、消費者の購買行動などを深く理解することが細かく重要です。これらの理解なくしては、ユーザーに受け入れられるデザインを作ることは難しいでしょう。
例えば、イスラム教徒の多い国へ向けてサイトを作成する場合には、偶像崇拝が禁止されいることから人物のイラストやキャラクターデザイン、羽のついたキャラクターも避けるなどの注意が必要です。その代わりに、自然の物や幾何学模様、イスラム教の装飾的な要素を取り入れることで、ムスリムの顧客へ訴求力のあるデザインを作成することができます。

イスラームの幾何学模様の画像3枚
参考元:シームレス パターン。ヴィンテージの装飾的な要素。手描きの背景。イスラム教、アラビア語、インド、オスマンのモチーフ。布や紙での印刷に最適です。 - イラスト素材

ローカライズ

ターゲット市場に合わせたローカライズも欠かせません。単に言語を翻訳するだけでなく、画像や色の選択、現地の祝日やイベントに合わせた仕様など、文化的な要素をデザインに取り入れることが求められます。
例えば、世界中で約84カ国に展開しているコーヒーショップのスターバックスは、その国や地域に合わせてサイトのデザインをローカライズしています。オーストラリアと韓国のスターバックスのサイトを比べてみましょう。
日本でもお祝い事の1つとして「母の日」というイベントがありますが、オーストラリアでも同じように「MUM’S DAY」と言って、その時期になると母の日をお祝いするための商品がサイトに挙げられています。

【オーストラリア版 スターバックスのウェブサイト】

オーストラリア版 スターバックスのウェブサイト
参考元:Starbucks

一方、韓国版のサイトを見てみると、同じ時期でも「SPRING SEASON BLEND(春の季節のブレンド)」といったようなプロモーションがされています。韓国では、日本でいうような母の日はなく毎年5月8日を「両親の日」として定めており、母親のみでなく父親も含む両親に感謝をする日が存在するためです。この違いから韓国では、そこまで「母の日」は取り上げられるようなイベントではないことが分かります。

【韓国版 スターバックスのウェブサイト】

韓国版 スターバックスのウェブサイト
参考元:스타벅스 코리아

このように、海外のサイトを見てもその国のイベントや祝日に合わせて、ウェブサイトもその仕様に変更して顧客の目を引くような工夫が必要です。ターゲットに好まれるデザインにローカライズすることで、顧客から親しみを持ってもらいやすく信頼関係の構築にも繋がります。

操作しやすいデザインを心がける

海外ユーザーに製品を購入してもらうには、直感的で使いやすいデザインが鍵となります。ユーザーが戸惑うような複雑な操作を要求するデザインでは、サイトから離脱してしまうリスクが高まります。
例えば、ユニクロの海外サイトを見てみると、カートに追加するボタンや購入ボタンをわかりやすく色を変えて少し大きめに作成したり、検索するキーワードや色を絞り顧客が探している商品を探しやすくするといったような工夫を行っています。

【アメリカ版 ユニクロのウェブサイト:ショッピングページ】

アメリカ版 ユニクロのウェブサイト:ショッピングページ
参考元:U AIRism Cotton Oversized Crew Neck Half-Sleeve T-Shirt | UNIQLO US

【アメリカ版 ユニクロのウェブサイト:カートのページ】

アメリカ版 ユニクロのウェブサイト:カートのページ

このような工夫をすることで、ユーザーが望む商品や情報にスムーズにたどり着くことができ、ストレスなく購入プロセスを完了することへ繋がります。

見やすいデザインを意識する

海外向けのサイトでは、シンプルで見やすいというのが重要なポイントです。画面のレイアウトを工夫し、情報が伝わりやすいデザインを目指します。関連する項目はまとめ、適度な余白を設けるなど、ユーザーが見やすいと感じるデザインを意識しましょう。
Appleのアメリカ版サイトを例に挙げると、情報は簡潔にわかりやすく記載されており、画像も一定の間隔をあけて配置されています。ここからユーザーは目的の商品を選択し、さらに詳細を決める画面へ遷移出来ます。こうした細かなレイアウトの工夫で、ユーザーの滞在時間を伸ばすことにも繋がります。

Appleのアメリカ版サイト
参考元:iPad - Apple

Appleでは日本版サイトでもほぼ同じようなデザインになっており、このシンプルで見やすいという点に関しては、全世界共通して重要と言えるでしょう。

レスポンシブ対応を行う

今や、スマートフォンからのアクセスがパソコンを上回る時代になっています。そこで、レスポンシブデザインの導入が不可欠です。レスポンシブデザインとは、ウェブサイトのレイアウトや要素が、閲覧するデバイスの画面サイズに応じて自動的に最適化される設計手法です。
Mont-bellのサイトのパソコン版とスマートフォン版を比べてみても、画像の大きさやコンテンツの配置、メニューバーも異なることが分かります。

【パソコン版】

Mont-bellのサイトのパソコン版
参考元:Montbell

【スマートフォン版】

Mont-bellのサイトのスマートフォン版

こうしたレスポンシブデザインによって、スマートフォンやタブレットなどの様々なデバイスで快適に閲覧できるウェブサイトを実現できます。その結果、情報の読みやすさを向上させ、目的のコンテンツにスムーズにアクセス出来るようになります。

リサーチ機能を設置する

ユーザーが目的の商品を素早く見つけられるよう、リサーチ機能の充実はとても重要と言えます。関連キーワードの提示やあいまい検索、絞り込み機能などを実装することでユーザーの利便性が高めることが出来ます。
例えば、任天堂のサイトを見てみましょう。カテゴリー別に絞ることができたり、キーワードを入れただけでも予測ワードが出てくるなど、素早く観覧することが出来ます。

任天堂サイトの検索欄
参考元:Nintendo

こうすることで、ユーザーエクスペリエンスの向上に繋がり、購入率のアップにも貢献します。そしてサイト内の回遊性を高めることで、ユーザーの満足度を上げリピート率の向上も期待できるでしょう。

画像はユーザーに商品が伝わりやすいものを採用する

海外向けサイトのデザインでは、商品画像はユーザーの購買意欲に直結するものです。特に視覚的情報は、文字や数値で表すよりも格段に分かりやすく表現できるため、ECサイトを運営する上ではとても重要と言えるでしょう。
ファッションブランドのZARAは、実際に商品をモデルが着用し、様々な角度からの写真を使用しています。こうすることで、ユーザーは自分がその服を着ている状態をイメージでき、商品を選びやすくすることができます。

ZARAのウェブサイト:トップページ
参考元:Women's Just In Clothes | ZARA United States

このようにアパレルであれば、顧客が自分がその服を来ている状態を想像できる画像や、インテリアであれば実際に部屋に置いている画像を使用するのがおすすめです。

参考になる海外向けECサイトのデザイン事例

ここからは、実際に海外向けのECサイトを作成して運営している企業の事例を解説していきます。今回は多くの企業の中から、「タビオ」と「Retro Asia」を参考にして解説します。

タビオ

タビオウェブサイト:トップページ
参考元:Tabio USA

靴下専門ブランド「タビオ」は、国内外で約250店舗を展開し、2021年10月に海外顧客向けの越境ECサイトを導入しました。

このECサイトは、シンプルで見やすいデザインが特徴的で、ターゲット市場に合わせた多言語対応とローカライズされています。トップページでは、高級ファッションブランドのような上質なイメージを採用し、職人の技術と製品の高品質を効果的に表現しています。

また、日本版と海外版のサイトでは、商品の検索ページが大きく異なっています。海外向けのサイトでは、左側に長さや色、サイズを絞り込めるメニューバー表示され、探している商品を効率的に見つけられるようになっています。

【海外版】

タビオウェブサイト:海外版カタログ画面
参考元:Tabio Men’s Socks and Leg Warmers made in Japan by Skilled Craftsmen

一方、日本版サイトで、まず性別を選択し、その後に靴下の長さ、色や機能といったように順番に絞っていくようなデザインになっています。日本版サイトは慎重に少ない選択肢から選択して欲しいものを徐々に見つけていくのに対して、海外版のサイトでは初めからお目当ての商品がある人が多いため、こういったデザインになっており、それぞれの文化にあったデザインになっていることが分かります。

【日本版】

タビオウェブサイウェブサイト:日本語版カタログページ
参考元:靴下屋公式通販 Tabio オンラインストア

こうして2022年10月の越境EC売上は、主に中国と台湾の顧客からの注文により、前年同期比で20%以上の増加を記録しています。今後も、グローバル市場でのブランド認知度向上と売上拡大が期待されるでしょう。

Retro Asia

Retro Asiaトップページ
参考元:RetroAsia

Retro Asiaは、日本の中古ゲーム機やゲームソフトに特化した越境ECサイトを運用しています。シンプルで操作性の高いデザインが特徴的で、海外のゲームファンからも高い評価を得ています。
日本のゲーム文化は、世界的に高く評価されていますが、特に中古ゲームは入手が難しいことから、Retro Asiaはこのニッチな市場に焦点を当てることで他のECサイトとの差別化を図っています。
また、「RECENTLY SOLD」のセクションでは、売切れた商品を紹介しています。これは中古品販売サイトならではの工夫で、ユーザーに対して商品の人気度や希少性をアピールする効果があります。Retro Asiaは、ニッチな市場を対象とした独自のビジネスモデルとユーザー目線に立った工夫により、越境ECサイトとして成功を収めています。

まとめ:ターゲット層に合っているデザイン構成を行うことが重要

ECサイトでの海外進出成功には、ターゲット市場やユーザー層の嗜好や行動パターンを徹底分析し、海外向けのWeb戦略に合わせたデザイン構成が重要となります。特に、シンプルで直感的に操作できるような機能、現地の文化や習慣に合わせたローカライズ、多言語対応の充実した検索機能が求められます。
また、モバイルデバイスでの閲覧に最適化したレスポンシブデザインの採用も欠かせない点です。ユーザビリティを多角的に向上させる工夫により、海外ユーザーの購買意欲を高めてECサイトの成功に導くことができます。ECサイトに関わらず、海外向けのホームページやウェブサイトにおいても優れたデザインは、ビジネスのグローバル展開に大きな役割を果たすと言えるでしょう。これら全てを自社で行うのは時間と労力がいるため、プロや専門家に依頼することも選択肢に入れるといいでしょう。

この記事を監修した人
Daisuke K
マーケター、CMO
2021年にCMOとしてIGNITEのへの参加を果たした。以前からマーケティング業界での勤務経験を有し、IGNITEでは海外市場向けのマーケティング戦略を展開している。あらゆる国や地域からの、BtoB、BtoC案件を総監し、海外進出を検討する日本国内の企業から、日本への参入を希望する海外企業までのサポートを行っている。
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