ウェブサイトを通して、海外進出を検討している企業は現地での競争力強化や顧客エンゲージメントの向上のために、ランディングページ(LP)の最適化が欠かせません。
しかし、国内向けと海外向けでは一体どういった違いがあるのでしょうか。言語や文化の違いをはもちろんのこと、ターゲットとなる国や地域のニーズや嗜好に合わせたランディングページを作成することが重要となります。
そこで、この記事では国内外向けのランディングページの違いや海外向けランディングページを作成する際のポイントについて解説します。
日本向けと海外向けのランディングページの違い
日本向けと海外向けのランディングページには、デザインやフォント、法規制などいくつかの顕著な違いが見られます。これらの違いを理解することは、効果的な海外向けサイトを作成する上でとても重要と言えるでしょう。
それでは早速、海外向けと日本向けのランディングページの具体的な違いについてご紹介します。
デザイン
ランディングページのデザインは、日本向けと海外向けでは全く異なります。日本のウェブデザインは、縦長のレイアウトが特徴的です。ユーザーがスクロールしながら次々と情報を得られるよう、比較的長いページが好まれます。また、色使いやフォントにも細かい注意が払われており、情報を際立たせる視覚的工夫が施されています。
【LOTTE:日本向けランディングページ】
参考元:ロッテ
一方で、海外向けのランディングページを見ると、シンプルでミニマリスティックなデザインが好まれ、ユーザーにストレスなく情報を伝えることを意識して作成する傾向にあります。加えて、アニメーションや動画を活用し、インタラクティブな体験を提供することも重要視されています。
【LOTTE:海外向けランディングページ】
参考元:お口の恋人 lotte
また、デカモジと呼ばれる大きな文字を使ったデザインも特徴的で重要な情報を強調する際に使用されます。海外の有名なWebサイトでは、Google AdsのウェブサイトやFigmaの設定ページなどがデカモジを採用しており、読みやすさの向上やメッセージの重要度が分かりやすいといった観点から多言語対応にも繋がっています。
情報量
国内外のランディングページでは、情報の量にも違いがあります。日本では、情報量が多く、製品やサービスに関する詳細な情報を1つのページに凝縮して提供する傾向があります。また、ユーザーが情報を段階的に理解できるように徐々に詳細を追加していく構成が一般的です。
反対に、海外向けではユーザーに必要な情報のみを選択的に提供し、余計な情報は省略する傾向があります。従って、シンプルで明確なメッセージを用いて、ユーザーの注意を引き付けるなど迅速に行動を促すことを目的としています。
海外向けランディングページは、情報量を最小限に抑えることで、ユーザーが重要なポイントを素早く理解し、次のアクションへと移れるよう設計されています。
アプローチの方法
アプローチ方法についても見てみましょう。日本向けのアプローチでは、製品やサービスの詳細な説明に重点が置かれます。特に、機能やメリット、使用方法などといったユーザーが知りたいと思う情報を細部にわたって丁寧に説明することが求められます。
また、ページを読み進めるにつれて徐々に興味を引き上げるストーリーテリングの手法が用いられることが多いのも特徴です。これには、日本のユーザーが情報を十分に得た上で購入を決定する傾向があることが背景にあると言えるでしょう。
参考元:2020年の消費者
その一方で、海外向けのアプローチでは短いキャッチコピーで即座にユーザーの関心を引き付け、製品やサービスの魅力を端的に伝えることが重要となります。
このように海外のユーザーへはシンプルで分かりやすく、感情的な訴求に反応しやすい傾向があるため、これらの点を意識したアプローチ方法が効果的と言えるでしょう。
海外向けランディングページを作成する際のポイント
こうした国内外の違いをもとに、海外向けランディングページを作成する際は、実際にどういったことを注意して行ったら良いのでしょうか。その国の言語や文化に配慮し、シンプルで分かりやすいデザインを心がけ、コンテンツの設計への工夫を施すなど様々なものがあります。
このセクションでは、海外向けランディングページを作成する際のポイントをご紹介します。
ターゲットを明確にする
海外向けランディングページを作成する際は、まずターゲットとなる国や地域、年齢層、性別などを明確にすることが重要です。ターゲット層のニーズや課題を理解し、それに合わせてページを作成することで効果的なページを設計できます。
また、ターゲット設定だけでなく、ペルソナを作成することでさらに詳細な絞り込みができ、ターゲットのニーズに沿ったランディングページの作成に繋げることが出来ます。
翻訳の際はネイティブチェックを入れる
ランディングページを現地の言語に翻訳する際は、単なる直訳ではなく、文化や宗教にも考慮した自然な翻訳が求められます。翻訳の品質を確保するために、ネイティブスピーカーによるチェックを入れることもとても重要です。
例えば、学習支援サービスのキャッチフレーズで「今日からあなたの旅を始めましょう」というものがあったとします。「旅」という単語は、「travel」や「journey」、「trip」などがありますが、ネイティブはこの場合に「journey」という単語を使用して「Start Your Journey Today」のように表現します。
こういった誤訳やスペルミス、ニュアンスの違いから生まれる言語的な違和感をネイティブチェックをすることで解消し、ユーザーにとっても親しみやすいランディングページを作成できます。
言語と文化の違いに配慮する
海外向けを作成する際は、言語だけでなく、文化的な違いにも配慮する必要があります。ターゲットの国や地域の文化に合わせてデザインやメッセージを調整し、ローカライズを行うことが重要です。具体的な例では、画像が挙げられます。画像内に人物を入れると会社の信憑性が高まって良いとされますが、人物のポーズやハンドサインには十分に注意する必要があります。日本では、グーサインを「良い」の意味で使用しますが、ギリシャや中東では、侮辱や下品な意味になってしまうこともあります。海外進出へは、こうした文化的な面でも十分に考慮する必要があるということを覚えておきましょう。
視覚的な印象を与える、かつシンプルなデザイン
海外向けのサイトでは、なるべく情報量を必要最小限に抑え、シンプルなデザインにすることが効果的です。無駄な装飾は避け、ハイライトや目立つ色の文字でコンテンツに集中させることで、ユーザーにとって分かりやすいページを作成できます。
Netflixのランディングページを見ると分かるように、情報も必要最低限に抑え、ユーザーの目線が行きやすい赤でCTAを作成しています。こうすることで、ユーザーは次に何をするべきかすぐに分かります。
【Netflixのランディングページ】
また、それ以外にも写真やアニメーションを効果的に使ってリッチな表現をすることで、ユーザーに良い印象を与えることができます。
シンプルで統一感のあるカラーを採用する
ランディングページの色は、目的やターゲットに合わせて選ぶことが重要です。購入や問い合わせ、SNSなどに繋げるボタンには、ユーザーの目に留まるような「赤」や「青」、「黄色」といったような色を選ぶことが効果的と言えます。
参考元:Casper
色には、国や文化によって異なる意味合いがあるため、文化的な意味合いにも配慮する必要があります。例えば、「白」は日本で純粋や清潔といったイメージがありますが、シンガポールでは喪の色とされており、祝い事などでは避けられる色とされています。
こうした文化的考慮も忘れず、使用する色数を3〜4色程度に抑えてシンプルにすることで、まとまりのあるデザインを実現できます。
可読性の高いフォントを選ぶ
ウェブサイトでは、見やすく読みやすいフォントを使用することが重要です。言語が違えば、適切なフォントも異なるため、ターゲット国の言語に合ったフォントを選ぶ必要があります。
例えば、日本語ではゴシック体や明朝体がよく使用されています。アメリカなどの英語圏では、セリフ体やサンセリフ体、韓国語ではダイアリー体やコトラボールト体中とされています。また、中国語では簡体字と繁体字の場合で使い分けるといった工夫も必要です。
ターゲット国や地域の母国語にあった、可読性や判読制の高いフォントを使用することで、ユーザーにとって読みやすいページを作成できるでしょう。
コンテンツの情報設計が重要
効果的なランディングページを作成するためには、コンテンツの情報設計の最適化は不可欠です。ワイヤーフレームを作成し、構成やレイアウトを綿密に設計することが求められます。
参考元:【初心者向け】ワイヤーフレームとは? 作り方やツールを徹底解説
ファーストビューでターゲットの関心を惹きつけ、訴求ポイントを明確に伝えるとともに、ユーザーの疑問に答えるコンテンツを用意することが大切です。
モバイル対応を意識する
近年、スマートフォンでのインターネット利用が年々増加しているため、海外向けランディングページを作成する際は、モバイル対応を意識することも重要となっています。
参考元:総務省|令和4年版 情報通信白書|データ集(第3章第8節)
そのため、様々な端末の画面に対応するレスポンシブデザインを採用し、スマートフォンでも読みやすいフォントサイズやCTAボタンを設置することで使いやすさやユーザーエクスペリエンスの向上にも繋がります。
法規制をチェックする
海外向けランディングページを作成する際は、各国の法規制をチェックすることも重要なポイントです。個人情報保護法や広告規制など、国によって異なる規制があるため、違反がないよう注意する必要があります。
特に化粧品の販売などに関しては、薬事法などの厳しい規制もあり、無闇に「〜効きます」や「〜治りますよ」といった効果・効能を表す表現は使用できません。必ず医師や薬剤師などそれ相当する人によって、確認・証明されていることが条件となっています。
このような国ごとに異なる法規制を遵守することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
公開後も改善に努める
ランディングページは公開した後も、継続的な改善が必須となります。アクセス解析などのデータに基づいてユーザーの行動を分析し、問題点を特定することで、より効果的なランディングページへと改善していくことが出来ます。
ネイティブデザインフィードバック
海外向けランディングページを作成する際は、最終段階でネイティブスピーカーからデザインフィードバックを得ることも有効です。ターゲット国のデザイナーやマーケターから、デザインやコンテンツに関するフィードバックを得ることで、現地の感覚に合ったページを作成できます。
言語が話せるようになったとしても、全てのニュアンスや感覚までもネイティブと同じように感じることは、難しいと言えるでしょう。
そのためネイティブスピーカーの視点を取り入れることで、より効果的に現地のニーズにあったページが設計できます。
海外向けランディングページを作成する際のSEO対策のポイント
海外向けのサイトには、SEO対策にも注力することも重要です。効果的なSEO対策を行うことで、検索エンジンでの表示順位を上げ、より多くのユーザーにサイトを訪問してもらうことができます。
それでは、海外向けランディングページを作成する際のSEO対策のポイントをご紹介します。
一体型ランディングページの採用
ランディングページには、1ページ完結型とサイト一体型の2種類があります。SEO対策の観点から考えると、1ページ完結型のラウンドページよりもサイト内の他ページとリンクされたサイト一体型ラウンドページの方が有利と言えるでしょう。
サイト一体型なら内部リンクの設置が可能で、テキスト量も確保しやすくなります。さらに、ページ数が多いほどGoogleのクロール対象が増えるため評価が高まります。
反対に、1ページ完結型は内部リンクの設置やテキスト量の確保が難しいため、SEO対策としては不利になります。従って、サイト一体型のランディングページを選択することをおすすめと言えます。
参考元:ランディングページはSEO対策に弱いって本当?サイト型LPで上位表示させる3つのポイント | 診断マーケティングトレンド
最適なキーワードを選定する
海外向けランディングページのSEO対策では、ターゲット国や地域の言語に合わせたキーワード選定も成功させる鍵となります。ランディングページが宣伝している商品やサービスに関連するキーワードで、国や地域によっては親近感を与えるためにスラングなどの使用も検討すると良いでしょう。
また、競合他社がどのようなキーワードを使っているかを分析することも有効です。競合が強すぎる場合はそれと似通ったキーワードは避け、少しニッチなキーワードを狙うのも一つの戦略です。キーワードの効果を定期的にモニタリングし、必要に応じて調整することも忘れないようにしましょう。
ターゲットに合ったランディングページを作成し海外進出しましょう!
海外向けランディングページを作成する際は、ターゲット国や地域の言語や文化に配慮し、シンプルで見やすく、ユーザーにとって魅力的で使いやすいページを設計することが重要です。デザインや情報量、アプローチの方法やコンテンツ設計、モバイル対応、各国の法規制など日本向けとは異なる点に十分に注意しながら、効果的なランディングページを作成します。そして、最終段階では、必ずネイティブスピーカーによるチェックも行いましょう。
また、SEO対策にも注力し、検索エンジンでの表示順位を上げることでより多くのユーザーに訪問してもらえるようになります。海外向けランディングページの作成は、現地の感覚を理解し、それに合わせた継続的な改善を行うことが成功の鍵となります。
IGNITEでは、ライティングからデザイン、タグ設置までをワンストップで行うサービスを提供しています。海外向けのランディングページの作成を検討されている場合には、ぜひお問い合わせください。
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