国境を越えた取引が盛んになっている現代では、言語の壁を超えるため翻訳や通訳の需要が高まっています。最近では、DeepLやGoogle翻訳などのツールで簡単に翻訳することができます。しかし果たして、その翻訳は読み手にとって、読みやすい文章になっているのでしょうか。直訳しすぎてしまうと不自然な文章になってしまうこともあります。そのため、翻訳後にネイティブチェックを行うことで、その国や地域の方にとって読みやすい文章にすることができます。そこで今回の記事では、そんなネイティブチェックの必要性やポイントについて詳しくご紹介します。
ネイティブチェックについて
それではまず初めに、ネイティブチェックはどのような作業を指すのか、またその必要性について具体的に解説していきます。
ネイティブチェックとは
ネイティブチェックとは主に翻訳後、その言語のネイティブスピーカーが文法やスペル、表現そのものをネイティブ目線でチェックすることを言います。そうすることで、より読み手にとって分かりやすく自然な文章を作成することができます。
ネイティブチェックの必要性
続いてはネイティブチェックの必要性についてご説明します。
顧客へ正確に商品やサービスの魅力を伝えられる
ネイティブチェックを行うことでより自然な文章に翻訳することができ、商品やサービスの魅力を正確に伝えることができます。直訳の文章もネイティブ目線で確認することで、読み手にも違和感を与えにくい文章となります。日本語に置き換えても、主語や述語、目的語の順番がズレていると不自然な文章になり、記事からの離脱に繋がってしまうこともあります。そんな離脱を防ぐ意味でも、読みやすい文章にすることはとても重要です。
誤訳や不適切な表現を防ぐことで企業や組織の信頼性を守る
国や地域により文化も異なるため、それらを考慮せず翻訳してしまうと、読み手にとって不適切な表現や違和感のある文章になってしまうことも考えられます。そのため、文章を読むことが、ストレスになってしまったり、少しの誤訳がブランドや企業のイメージを悪くしてしまう可能性もあります。ネイティブチェックをすることで、そんな誤解を未然に防ぎ、会社や組織の信頼を守ることにも繋がります。
翻訳ネイティブチェックのポイント5つ
それでは、ネイティブチェックをする上で大切なポイントを確認していきましょう。
1. スペルミスやタイプミスはないか
誤字脱字やスペルミスがないか、正確に翻訳されているかをチェックします。英語圏での翻訳では「a」や「the」が入っているかやスペースミスがないかなどを確認する必要があります。文法の誤りや文章表現については、高いネイティブの校正能力が必要となります。
2. 自然な文章や言葉選びができているか
その国や場面によって、適切な文章や言葉選びができているかも重要なポイントです。和製英語を例に出すと、「マンション」という言葉を聞いて日本ではアパートのようなビルをイメージしますが、アメリカではプール付きの大豪邸というイメージになります。このように単語ひとつでも、読み手がイメージするものは変わってくるため、ネイティブチェックはそういった面でも重要な工程の一つと言えるでしょう。
3. 数字や数値の表記は正しいか
数字や数値の表記が国ごとに異なる場合もあるため、適切な表現になっているか確認が必要です。長さや重さの表記には、インチやフィート、オンスやパウンドなど国によって様々な表記があります。ベトナムの数字を表す時には、「,(コンマ)」ではなく「.(ピリオド)」を使用し、区切る位置も日本とは逆になるといったように細かい点にも注意が必要です。
4. 目的やシーンにあった表現になっているか
目的に合わせて単語の選択や表現がターゲットに合っているか、また映画や動画での字幕では、その場面にあっているかをチェックします。例えば、英語の「YOU」という単語ですが、時と場面によって「あなた」や「君」のように日本語訳が変化します。翻訳された語句が、伝えたい目的に合っているかということは正確に表現する上でとても重要です。
5. フォントやスタイルなどのルールが統一されているか
文章の語尾やフォントが、統一されているかどうかも読み手が読みやすい文章を作るためには大切なポイントです。日本語の場合「です」「ます」調の文章の中に突然、言い切りで終わる文章が入ると少し読み手は違和感を感じてしまいます。こういった時には、スタイルガイドを作成し、文章を統一することでまとまりのある文章を作成することができます。また、英語の場合でも、読みやすいフォントとそうではないフォントがあるため、読みやすいものを選択したうえで、同じ記事内でしっかり統一することもポイントとなります。
チェックポイントの具体例
以下は、弊社が使用している翻訳・チェック担当者のチェック項目をまとめた表です。
このように、上記で説明したようなポイントを考慮した確認事項とその詳細をまとめておくと、くまなく統一感のあるチェックを行うことができます。
▼海外向けビジネスを成功させるための翻訳のポイントについて知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
https://igni7e.jp/blog/translation-for-overseas
ネイティブチェックが求められる分野
こちらでは、ネイティブチェックが必要となる分野をいくつかご紹介していきます。
1. 法律文書やマーケティング資料
文書や資料の提出先の国によっては、特定の形式の書類や専門的な語句が求められることがあります。そのため、専門的な知識を持つネイティブスピーカーに書類をチェックしてもらうことが重要です。
参考元:https://www.translators.jp/certificate/
2. ウェブサイト
ウェブサイトは、全世界からのアクセスが可能となるため、それぞれ顧客の国や地域に合わせて翻訳する必要があります。可能であれば、英語のみでなく、多言語対応することで様々な国籍の方に読んでもらうことができます。
▼ホームページの他言語化する方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
https://igni7e.jp/blog/homepage-multilingual
3. 国際会議や学術論文
会議や論文で使用される文書は、特に正確性を求められます。研究や医療関係であれば、なおさらネイティブスピーカーも含めた入念なチェックを行い、誰がみても分かるような文章にすることが重要になります。
4. 技術マニュアルや製品説明書
製品の取扱方法や技術系のマニュアルは、製品を扱う顧客が簡単に理解できる翻訳が必要です。これは顧客の安心感や信頼へ繋がり、企業やブランドのイメージアップとなります。
参考元:https://www.ims-limited.co.jp/html/jirei/02.html
5. 映画やテレビ番組、ビデオゲームの字幕や吹き替え
映画の字幕や吹き替えはそのストーリーを、より視聴者に分かりやすく表現する必要があります。また話し言葉は、登場人物の性格や背景にも深く関係しているため、内容に沿った言葉選びがとても重要です。
ネイティブチェックの事例
IGNITEで行ったネイティブチェックの事例をご紹介します。
ペット用品のパンフレットとウェブサイト翻訳
パンフレットは基本的にPDFで作成するため、全て1から作成し、その後翻訳をしています。印刷後の変更が困難となるため、アメリカ英語とイギリス英語の両方の観点から入念に確認・ネイティブチェックを行いミスを防ぎました。また商品のバーコードや重量などについては、スタイルガイドを作成して読み手にとって分かりやすく見やすい文章になるよう工夫しました。
そしてネイティブスピーカーによる最終チェックを行い、不自然な単語や一貫性のない表記がないかを徹底的に確認しました。そうした確認作業を経ることで、高品質なパンフレット翻訳を提供することができ、クライアントにも満足いただける事例となりました。
▼パンフレット翻訳のポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
https://igni7e.jp/blog/brochure-translation
フードデリバリーアプリの翻訳
この案件では、和食の日本語メニューを自然な英語へ翻訳しました。和食に精通する専門的な知識を持った翻訳者やコンテンツ製作者をチームに加えて、より正確なメニューの翻訳を可能としました。特に日本食の場合は、直訳では伝わりづらい料理名が多いため、英語でも伝わるような翻訳を採用する必要があります。例えば、「親子丼」の場合、英語へ直訳すると「parent and child bowl」となり、理解できない表現になります。より正しい表現としては「chicken and egg rice bowl」のようになります。このように、直訳ではない、自然な表現を用いて翻訳し、ネイティブスピーカーによるチェックも行いました。
さらに、異なる時差の翻訳者がいることで24時間体制で対応ができるようになり、お客様より納期厳守と品質管理のサポートに関して、大変助かったとお声を頂きました。定期的なアップデートにも柔軟に対応できるよう、翻訳プロセスを標準化することで効率的な運用を可能にした事例です。
ネイティブチェックの依頼方法
ネイティブチェックの依頼方法を3点ご紹介します。
ネイティブの友人へ依頼する方法
業者やプロへの依頼と比べて、とても気軽に低コストで依頼できる方法です。また信頼関係のある友人であれば、コミュニケーションも円滑に行いやすく、真面目に取り組んでくれるでしょう。しかし、ネイティブスピーカーによって翻訳のスキルにばらつきがあり、文章のクオリティが保証できない可能性もあるため、そのリスクについては理解しておきましょう。特に専門的な内容の場合、専門用語を頻繁に使用していることがあるため、必要に応じて専門家への依頼も視野に入れておくことがおすすめです。
ネイティブチェックのできるフリーランサーへ発注する方法
最近では、ネイティブチェックができるフリーランサーも多くいます。専門分野が翻訳したい内容と一致すれば、比較的コストを抑えて効率よく、ネイティブチェックを依頼することができます。ただ作業者との仲介役がいないため、納品物に関する保証がないという点と、フリーランサーは全て自身で行っていることもあるため定期的な案件は難しい点などの注意点もあります。
翻訳会社や校正会社へ発注する
最終的な文書のクオリティや納期厳守、機密保持の面で一番安心して依頼できるのが翻訳会社や校正会社へ発注する方法です。他の2つに比べると費用はかかるものの、プロが入念にチェックをして仕上げるため、より自然で正確に伝えたい内容を文章にすることができます。また、翻訳からネイティブチェックまでを通して依頼することもできるため、作業効率をあげることにも繋がります。
ネイティブチェックを任せる人の条件
ネイティブチェックを依頼する場合、どのような人に依頼するのが良いのでしょうか。
まずは文章を読んで、表現の不自然さや違和感に細かく気がつける性格の人に任せることがポイントです。例えば、日本語への翻訳の場合、1つの段落の中で「〜しています。」「〜ています。」のように、同じ語尾で終わっている文章が続いている場合に「〜があります。」に変更するといったことです。この細かい訂正でも、読み手の読みやすさや文章の理解がしやすくなり、全体的な文書のクオリティに繋がります。また、それぞれの国の専門知識と文化的背景の理解、自然な単語や文法などのライティング能力を兼ね備えた人も好ましいと言えるでしょう。翻訳経験者であれば、依頼者の伝えたい内容が、より洗練されたものとなり満足のいく文書を作成することができます。
まとめ:ネイティブによる翻訳チェックは細かい性格の人材に依頼することがおすすめ
翻訳をして製品やサービスを読み手に正確に分かりやすく伝えるには、やはりネイティブスピーカーや専門的な知識を持った人に細かくチェックしてもらうことが重要です。しかし、そういった人材を自ら探すとなると、時間と労力がかかってしまいます。IGNITEでは、そんなお客様のご要望に沿って様々なサービスを提供しています。多言語化や翻訳については、ネイティブスピーカーによるチェックも行っております。海外への製品やサービスの翻訳を考えている方は、一度ご検討してみてはいかがでしょうか。
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