多言語展開するならまずは英語に翻訳するべき理由

グローバル化が進む昨今、もはやビジネスの世界に国境はなくなりつつあります。新しい市場で事業を展開する際、避けては通れないのがサービスの多言語化です。中国語、韓国語、フランス語などターゲット層によって展開する言語は変わってきますが、どの言語に対応するにしてもまずはファーストステップとして英語のページを作ることをおすすめします。

今回の記事では、多言語展開するならなぜまずは英語のページを作る方が効率が良いのか、またどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

理由①: コストを抑えられる

まず一つ目の理由は、コストを抑えられるという点です。英語は世界中で最も使われている言語であり、第一言語ではなくても英語を公用語または準公用語の一つにしている国は多いです。例えばアジア諸国だけでも次の5ヶ国があります。

  • フィリピン
  • シンガポール
  • マレーシア
  • 香港
  • インド

また公用語ではありませんが、台湾も国家を上げて「バイリンガル計画」に力を入れており、2030年までにテレビ放送や政府サイトでも英語を中心に使う環境を整える方針です。

そのため英語話者の数は他の言語と比較して圧倒的に多く、翻訳者やチェッカー、Webデザイナーなど多言語展開に関わる人材を見つけやすいというメリットがあります。探すための時間とコストも抑えられるので、結果的にコスト削減にもつながります。

また、翻訳先の言語の数が多い場合も一度英語を経由する方が効率的です。翻訳先の言語が複数ある場合、いちいち日本語から翻訳すると人材を確保するのに時間とコストがかかります。一度英語を経由してから多言語に翻訳することで全体の流れを効率化することができます。

画像引用元: https://www.contentserv.com/ja/blog

AIを使う場合でも、英語の方が対応ツールの数が多く翻訳精度も高いです。実際にデータを見ると、世界のWebユーザーの4分の1は英語を使用しているという結果が出ています。英語に対応したAIツールやプラットフォームが多いため、英語のページを作っておくことでより多くのユーザーにアクセスしてもらいやすくなります。

理由②:英語はローコンテクスト文化である

英語はローコンテクスト言語であるため、日本語のようにハイコンテクストな言語に比べて誤解が生じにくいという特徴があります。

「ローコンテクスト」「ハイコンテクスト」というのはコミュニケーションスタイルにおける文化的な違いを表す言葉です。「ローコンテクスト(=文脈への依存性が低い)」の文化は明確で文化知識や非言語情報がなくても理解しやすいのに対し、「ハイコンテクスト(=文脈への依存性が高い)」の文化はお互いに文脈や前提知識などの背景を共有できていないと理解が難しいという特徴があります。

画像引用元:Pixabay

アジア言語は欧米言語に比べてハイコンテクストである傾向が強く、日本語はその中でもトップクラスにハイコンテクストな言語だと言われています。文化と結びつきの強い表現が多く、言外の意図を汲み取る必要があるため、AIにとっても難しい言語です。そのため、ローテクスト言語である英語をベースに翻訳することでミスを防ぐことができ、AI翻訳であっても品質や精度を確保しやすくなります。また、翻訳先の言語がフランス語やスペイン語などヨーロッパの言語である場合、構造が英語と似ているためミスを防ぎやすいという利点もあります。

理由③:和製英語によるミスを防ぐことができる

日本語には「和製英語」と呼ばれる独特の英語表現があり、そのまま翻訳すると、英語圏の人には理解しにくい場合があります。例えば「ホームページ」「コストパフォーマンス」「クレーム」などはビジネスの世界でも頻繁に使われる言葉ですが、これらは全て和製英語です。現在のAI翻訳の技術ではまだまだこの和製英語には対応できておらず、多くの場合片仮名の言葉はそのまま英語に翻訳されてしまいます。

そもそも和製英語であることに気づかないというケースも多いので、最初に英語版を作る段階ではしっかりとネイティブチェックを入れることをおすすめします。また、見落としがちなところですが、URL内ののディレクトリ名など後で変更することが難しい部分に関してもネイティブチェックを入れておくことをおすすめします。基盤となる英語版のクオリティが確保されていれば、その後多言語展開する段階でのミスを減らすことができます。

英語ページの作成手順

手順①: 目的とターゲット層の決定

まず最初に、英語ページの目的やターゲット層を明確にしましょう。何を伝えたいのか、どのような人たちにアプローチするのかを決めることが重要です。

これによって、アメリカ英語を使うのかイギリス英語を使うのか、 メートル法を使うのかヤード法を使うのかなど、 翻訳の内容が変わってくることもありますので事前に明確にしておきましょう。

手順②: コンテンツの準備と編集

次に、必要なコンテンツを準備しましょう。既存の日本語のコンテンツを英語に翻訳する場合もあれば、新しく英語のコンテンツを作成する場合もあります。また、翻訳には注意点がありますので、適切な翻訳を行うために翻訳者と共にコンテンツの編集を行いましょう。

手順③: シンプルでわかりやすい文章の作成

英語は世界中で使われている言語ではありますが、シンプルでわかりやすい文章を心がけましょう。専門用語や和製英語を使わず、基本的な英語で伝えるようにしましょう。

手順④: SEO対策の実施

英語ページを作成する場合、検索エンジン最適化(SEO)にも注意が必要です。英語圏でよく使われるキーワードやフレーズを調べ、それに基づいて適切なタイトルやメタ説明、コンテンツの構成などを考えましょう。

手順⑤: ネイティブスピーカーによるチェック

英語ページを作成する場合、ネイティブスピーカーによるチェックが必要です。誤った翻訳や、誤った文法などがないかを確認し、より自然な英語表現を使用するように改善しましょう。

手順⑥: ローカライズの実施

最後に、英語ページのローカライズを実施しましょう。ターゲットとする国や地域の文化や習慣に合わせて、コンテンツの微調整を行うことが必要です。たとえば、アメリカ英語とイギリス英語ではスペルや表現が異なる場合があります。

英語ページを作って多言語展開を効率化しよう!

画像引用元:Pixabay

多言語展開は、グローバル市場においてビジネスを展開する上で欠かせないものです。ただ目的言語のページを作ればいいというものではなく、きちんと結果につなげるためには品質の高い翻訳を作る必要があります。慎重な準備なしに行うと、かえって誤解や不信感を招いてしまうこともあるので気をつけたいですね。

クオリティの高い翻訳を作成するためには、専門知識を持った翻訳者やネイティブスピーカーの協力が必要です。英語版を作成し、シンプルでわかりやすい文章を作成し、ネイティブスピーカーによるチェックを入れることで、多言語展開のクオリティを高めることができます。今後さらにグローバル化が進む中で、多言語展開はますます重要な役割を担うことが予想されます。グローバル市場への展開も視野に、まずは英語版の作成から始めてみてはいかがでしょうか?

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