翻訳業務の際に気をつけるべきポイント

翻訳業務の際に気をつけるべきポイント

コンテンツを多言語に翻訳することは、ビジネスの幅を広げ、より多くの顧客にリーチするための素晴らしい方法です。プロの翻訳・ローカライズサービスは、クライアントのメッセージがターゲット市場の言語に正確かつ適切に翻訳されるよう、クライアントと協力して作業を進めます。これには、言語的要素だけでなく、言葉のトーンや文体、文化的ニュアンスなどさまざまな要素が含まれます。

翻訳作業において、ルールや作業の流れを体系化しておくことはとても大切です。クライアントやチームメンバーとしっかりコミュニケーションを取ることで認識のずれによるリスクを大幅に減らすことができます。結果的に時間やコストの削減にもつながるので、ぜひ実践してみてください。

クライアントと事前にチェックしておくべき項目

チェック項目1. ローカライズの必要性

アメリカ英語なのかイギリス英語なのか

英語は文字通り世界中で使用されており、公用語として制定している国だけでも50カ国以上あります。そうなれば地域によって違いが出てくるのは当然で、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語、インド英語など多様なバリエーションが存在します。そのため、クライアントと事前に話し合ってターゲット層を明確化し、その市場に合った言葉や表現を使うことが海外マーケティングにおいては、とても重要です。

中でもアメリカ英語とイギリス英語は特に使われる頻度が高いですが、スペルなどの細かな違いがあるので気をつけましょう。以下はその一例です。

アメリカ英語:Center, Flavor, Organize

イギリス英語:Centre, Flavour, Organise

これに関してはコンバーターなどのツールを活用して一括で変更することもできます。「翻訳・多言語化に便利なソフトウェア」の記事で詳しく紹介しているのでぜひチェックしてみてください。

単位の違い:メートル法とヤード・ポンド法

これは意外と見落とされやすいポイントですので注意が必要です。例えば、商品の内容量をグラムで表示するのかポンドで表示するのかなど、ターゲット市場のニーズに合わせて変更する必要があります。

英語への翻訳となると自動的にアメリカ式のヤード・ポンド法を使う人も多いと思いますが、実は世界的に見るとヤード・ポンド法を使っている国は少数派で、2019年の時点ではアメリカ合衆国、ミャンマー、リベリアの3カ国のみとなっています。

ただし、アメリカは市場としても大きいので、ターゲット顧客がアメリカを含む場合は両方の表記を用意するのがベストな対策だと言えます。

チェック項目2. 商品名やキャッチコピーの翻訳

翻訳よりもコピーライティングの要素が強い

商品名やコピーの翻訳はコピーライティングの要素が強いため、必ずしもそのまま翻訳する必要はありません。むしろそのまま翻訳すると意味が通じなくなってしまうこともあるので、逆効果になる危険性もあります。事前にクライアントとしっかり話し合い、納得のいく翻訳を用意しましょう。

方法には色々ありますが、例えば英語でよく使われるものとして頭文字を揃える「頭韻法(英: Alliteration)」というものがあります。あまり聞き馴染みがないかも知れませんが、実はこの頭韻法、私たちの日常生活でもよく目にするものなんです。

例えば下記は頭韻法を使ったブランド名の一例ですが、どれも日常的に目にする有名な会社ですよね。

ブランドロゴ

参照元: https://firefish.com/7-steps-to-find-that-perfect-brand-name-for-your-startup/

  • Krispy Kreme
  • Dunkin' Donuts
  • PayPal
  • Coca-Cola

このように、頭文字を同じ音で揃えているのがお分かりいただけたでしょうか?

商品名やキャッチコピーなどの翻訳をする際は、このような要素も考慮するとマーケティング力が一気に上がります。

場合によっては翻訳しない方がいいことも!

反対に、日本語の時点ですでにキャッチーな商品名がついている場合は下手に翻訳しない方がいい場合もあります。

例えば、日本でも人気の緑茶ブランド「お〜いお茶」は非常にキャッチーな名前であるだけでなく、頭韻法が使われており日本語の意味が分からなくても覚えやすいことから、海外でも「Oi Ocha」の商品名で販売されています。

Oi Ocha

参照元:https://front-row.jp/_ct/17592016

表記に一貫性を持たせる

商品名やサービス名など固有名詞の翻訳には、独創性も大切です。

例えば先ほど紹介した「Krispy Kreme Doughnuts」は本来なら「Crispy Cream」であるところを「K」から始まる表記にしたり「Kreme」にすることで独自性を出しています。他にも大文字と小文字を使い分けたり、特殊記号を入れたりして意図的にオーソドックスではない表記を使うことで、他の商品との差別化を図ったり検索性を上げることができるというメリットもあります。

  • どこを大文字にするのか
  • スペースの有無
  • 特殊記号の使用

このような細かいところまでクライアントと話し合い、一貫性を持って翻訳することで後々の誤解や修正を防ぐことができます。

固有名詞の読み方にも注意!

また翻訳前のチェック項目として意外と見落とされがちなのが、固有名詞の読み方の確認です。 日本語は漢字を使用しているため、 一目見ただけでは読み方がわからない単語もあります。 特に人の名前や商品名などは、特殊な読み方になっている場合もあるので、細かくクライアントと確認するようにしましょう。

チェック項目3. 商品やサービスの内容に合ったトーンを決めておく

画像引用元:Pixabay

ここでのトーンというのはいわゆる「カジュアル」や「フォーマル」などの文体のことです。

例えば、法律や金融に関連した分野であれば文章もそれ相応のフォーマルな表現を使う必要があります。反対に、SNSでのキャンペーンや動画コンテンツなら「〇〇キャンペーンに参加して△△を当てよう!」などのカジュアルな表現にした方が目を引きますし、ターゲット顧客に親近感を持ってもらえます。

このように、商品やサービスの特徴に合わせてクライアントがどのような表現を求めているのか事前に確認しておくと認識のずれがなくスムーズになります。

短縮形や省略形の使用について確認する

「I am → I’m」「We have → We’ve」などの短縮形は口語表現では日常的に使われます。翻訳でも使用することで省スペースや文字数の削減につながる場合がありますが、カジュアルな表現ですのでケースバイケースで見極める必要があります。これは「Merch(グッズ)」や「Collab(コラボ)」などの略語においても同様です。

<よく使われる省略形の例>

・Merch

正式表記:Merchandise

意味:グッズ

・Collab

正式表記:Collaboration

意味:コラボ

・Tech

正式表記:Technology

意味:テクノロジー

翻訳の際に気をつけるべきチェック項目

画像引用元:Pixabay

作業に入る前にクライアントの希望をチーム全体で共有

クライアントと話し合って細かい希望を確認したら、次は翻訳に関わるチームメンバー全体に内容を共有します。事前にチームで共通の認識を持っておくことで、不必要なミスや修正を減らすことができます。細かいルールに関しては、スプレッドシートやリストなどを作成していつでも簡単にアクセスできるようにしておくと便利です。

このセクションでは翻訳の際のチェック項目や使えるツールを紹介していきます。

チェック項目1. 単語統一リスト

翻訳作業をしていると、繰り返し使われる単語に気づくことがあると思います。

例えばフード業界の翻訳なら「エスニック料理」などの料理の種類、マーケティング関連の翻訳なら「CPA」や「インプレッション」などの専門用語などがあります。

このように繰り返し登場する単語がある場合、正しい翻訳であることはもちろん「訳語が統一されている」ことが非常に大切です。このような単語はリストを作成して翻訳業務に関わる人全員が見られるようにしましょう。 例えば「弁当」という単語が繰り返し出てくる場合、「Bento」と訳すのか「Lunch Box」と訳すのか、統一してリスト化しておきます。同様に、固有名詞の表記についても念入りに確認して統一しましょう。人の名前や商品名などは特に注意が必要です。

<フード関連の翻訳を想定した場合の単語リストの例>

弁当 → Lunch box

フライドポテト → French Fries

餃子 → Pot Stickers

チェック項目2. トーンの統一

「クライアントと事前にチェックしておくべき項目」でもお伝えしたように、媒体の性質によって翻訳のトーンを変えていくことはとても大切です。

翻訳者によって癖が出やすいところでもあるので、翻訳者とチェック担当者がしっかりコミュニケーションをとって、どのくらいのフォーマル度が求められているのか、どのような表現が相応しい・相応しくないかを共通認識として持っておくことが重要です。

翻訳業務全般でフォーマル度を5段階に分けておき、それぞれのレベルで使ってもいい表現と使うべきではない表現を事前に決めておくと分かりやすく共有できるのでおすすめです。

<分け方の例>

レベル1. フォーマル

例:契約書、プライバシーポリシー

・三人称を使用

・受動態を使用

レベル2. セミフォーマル

例:プレスリリース、レポート

・基本的に三人称を使用

・短縮形は使わない

レベル3. 通常

例:ブログ、ウェブサイト

・場合によっては一人称/二人称OK

・略語は控える

レベル4. カジュアル

例:広告やキャンペーンのコピー

・短縮形、略語、イディオムOK

レベル5. インフォーマル

例:SNS投稿、YouTube動画

・短縮形、口語表現、一人称/二人称OK

チェック項目3. スペルチェック

基本中の基本ですが、スペルチェックは外せない項目です。アメリカ英語・イギリス英語が混ざっていないかなど細かいところまで見ることが大切です。最近では元々スペルチェッカー機能が備わっているソフトウェアが多いので、ツールやコンバーターなどを積極的に活用しましょう。

<チェックに使えるツール>

  • WordやGoogle Docsのスペルチェック機能
  • Grammarly
  • American English to British English converter

ただし、同じ単語でも動詞として使う場合と名詞として使う場合にスペルが変わる単語もあるので、コンバーターを使って一斉変換する際には気をつけなければいけません。

例として挙げられるのが「check」という単語です。イギリス英語では「確認する」という動詞形で使う場合の表記は「check」ですが、名詞で「小切手」として使う場合はスペルが「cheque」となります。しかしアメリカ英語の場合は両方「check」で統一されているため、アメリカ英語→イギリス英語に変換した際にAIが動詞と名詞の識別ができず、全て「cheque」に変わってしまった、ということが起こり得ます。

AIを活用することは効率化につながりますが、最後には人の目でチェックを入れるようにしましょう。

チェック項目4. 記号や単位のチェック

記号や単位のミスは翻訳チェックの際に見落とされやすい項目です。ここではよくあるミスを紹介しているので、参考にしてみてください。

よくあるミス①:メートル法またはヤード・ポンド法で統一されていない

これは翻訳作業に複数の人が関わっている場合に起こりやすいミスです。翻訳者Aはメートル法を使っていたのに、翻訳者Bが担当した部分だけがヤード・ポンド法になっている…など、事前にしっかりと認識の共有ができていれば防げるミスなので気をつけましょう。

よくあるミス②:数字の後のスペースが抜けている

よくあるミス:50kg

正しい表記:50 kg

次によくあるミスが「50kg」など数字と単位の間のスペースが抜けてしまっているというケースです。非常に細かい点なのでチェックの段階でも見落としてしまうことが多いミスです。

表記の仕方に関してはさまざまな意見があることも事実ですが、一般的には「250 mm」のように数字と単位の間にスペースを入れることが推奨されています。

よくあるミス③:大文字と小文字が混ざっている

よくあるミス:50 Kg

正しい表記:50 kg

最後にご紹介するのが「50Kg」など単位の一部が大文字になっているケースです。「キログラム(kg)」、「ミリメートル(mm)」、「フィート(ft)」など単位は基本的にすべて小文字で表示するのが一般的です。ただし、例外として「リットル(L)」と「ミリリットル(mL)」については数字の「1」と紛らわしいため「L」を大文字にすべきだという考えもあります。

ミスを未然に防止するためにできること

画像引用元:Pixabay

翻訳業務で発生するミスの多くは、実は事前に対策をとっていれば未然に防げることが多いです。最後にこのセクションでは、ミスを未然に防止するためにできる対策をご紹介します。

ミスを防ぐための対策3選

対策①:必ずツールを使ったチェックを入れる

昨今はAIの発展と民主化が進んでおり、さまざまな便利ツールを無料で使うことができるようになっています。ネイティブでも単純なミスをしてしまうことはあるので、スペルチェックや文法チェックなどのツールを積極的に導入してミスを防ぎましょう。

<ミスの防止に使えるツール>

  • WordやGoogle Docsのスペルチェック機能
  • Grammarly
  • American English to British English converter

対策②:簡易的でもネイティブチェックを必ず入れる

ツールでも見落としてしまうミスに気がつけるのがネイティブチェックです。言語は文化と密接に結びついているため、やはりその文化に精通しているネイティブにしか気付けない不自然さというものがあります。チェックツールは多くの場合「文法」や「スペル」など特定の視点でしかチェックをしてくれないので、不自然な表現があっても文法さえ合っていれば気付けないことが多いです。

簡易的でも構わないんので、英語→日本語の翻訳なら日本語ネイティブ、日本語→英語の翻訳なら英語ネイティブのチェックを必ず入れることで、高い品質を保つことができます。これはクライアントとの信頼関係を構築することにも繋がります。

▼ネイティブチェックについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/translation-native-checking

対策③:フィードバックを行うことで再発を防止

最後はチェック担当者から翻訳者へのフィードバックです。チーム間でのコミュニケーションというのは仕事の精度を上げるためにもとても大切です。AI翻訳や翻訳担当者の癖が原因で何度も繰り返し同じ修正が起こる場合は、チェック担当者から直接フィードバックを行うことで再発を防止することができます。

おわりに

いかがでしたか?今回の記事では翻訳業務の際に気をつけるべきポイントを、クライアントとチェックするポイントと翻訳の際に気をつけるポイントの2つに分けて紹介しました。

クライアントと事前にしっかり細かい点まで話し合い、具体的な仕上がりのイメージを持っておくことはとても大切です。チェックリストやルールブックを作って、具体的に言語化した状態でイメージを共有することができれば、翻訳チームにとっても作業がしやすくなります。

最近はさまざまな便利ツールやソフトウェアが登場しているので、ツールと人材を上手く組み合わせて活用することで品質の向上やコストの削減にもつながります。

画像引用元:Pixabay

IGNITEでは、このようにクライアント様へのヒアリングとチームの連携を強化することで、品質の高いローカライズ翻訳を提供しています。ビジネスのグローバル市場への進出をご検討中の方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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