海外向けに商品を販売するメリットやデメリット、販売方法をご紹介!

現代では、国内市場の成熟化や人口減少により、多くの企業が海外市場に進出しています。
しかし、海外向けに商品を販売することには、様々なメリットとデメリットがあるのはご存知でしょうか。
この記事では、そんな海外販売のメリット・デメリットを解説し、効果的な販売方法についてご紹介します。これから海外進出を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

海外向けの商品販売の現状

最近では、海外ユーザーによる日本の商品を購入する人が増加傾向にあり、今後も需要は伸びていくと予想されています。さらに、日本製品の品質や独自性が評価されており、ファッションや美容、食品、電化製品など幅広いジャンルで人気が高まっています。

下記の図は「電通ジャパンブランド調査2022」の結果をもとに、外国人から見た日本製品のイメージを表したものです。これを見てもわかるように、日本のブランドやデザイン性においても信頼性が高く、安心できると考えている人が多く見受けられます。

EC市場のグローバル化により、日本企業にとって海外販路の拡大は大きなチャンスと言えるでしょう。

日本製品のイメージ
参考元:外国人が読み解くジャパンブランドの魅力と課題~「日本製品」編 | ウェブ電通報

海外向けに日本の商品を販売するメリットとデメリット

それでは、海外向けの商品販売のメリットとデメリットをご紹介します。

海外向けに日本の商品を販売するメリットとデメリット

海外向けに日本の商品を販売するメリット

市場拡大

海外向けに日本の商品を販売する1番のメリットは、市場の拡大です。海外マーケットは国内よりも市場規模が大きく多様な消費者ニーズがあるため、日本国内では限られる商品の需要でも、海外では大きな可能性を秘めている場合があります。海外進出により、新たな顧客層を獲得し、ビジネスの拡大に繋げることができるでしょう。

利益の増加

日本国内で需要が低い商品でも、海外では人気が高い場合があります。国内市場では、強力な企業競争で売れ行きが芳しくなくても、海外市場でニーズを見つけることができれば、販売数量の増加により利益を増やすことができます。加えて、海外市場ならではの為替レートの変動によっても、さらなる利益の増加も期待できます。

収入源の拡大

そのほかに海外向けに商品を販売することで、収益源を多様化し、安定させることもできます。例えば、ドルは世界の基軸通貨で主要な交易通貨でもあるため、ドルを保有しておくことで為替変動リスクを軽減できる可能性があります。この結果、国内市場の変動に左右されにくくなり、これはリスクの分散にも繋がります。

還付金を受け取ることができる

海外輸出を行う際、輸出した商品に対する消費税は、ほとんどの場合、還付金として受け取ることができます。

輸出品にかかる消費税

参考元:輸出品に対する消費税はどうなる?免税となるための条件と税金の還付 | Credictionary for Business

これにより、商品の価格競争力を高めることができ、海外市場での販売促進に役立ちます。還付金を活用して、更なる事業展開を図ることも可能です。

海外向けに日本の商品を販売するデメリット

続いて、デメリットについてもご紹介します。

言語的問題やローカライズ

1つ目のデメリットとして、海外向けに商品を販売する際には、必ず現地の言語で展開することが必要不可欠で言語やローカライズの課題があるという点です。ビジネスにおける翻訳は、単なる翻訳だけでなく、文化的背景や習慣を考慮したローカライズが重要となります。

特に、ユーザーに関心を持ってもらい購入に繋げるためには、現地の言語や文化に合わせた適切なアプローチが必要です。例えば、日本製の炭酸飲料を売り出そうとしていると仮定します。SNSなどで宣伝する場合に、国や地域によって「炭酸飲料」を「pop(ポップ)」や「soda(ソーダ)」、「softdrink(ソフトドリンク)」のように呼び方が違うため、対象国の人や文化を十分に理解して選定する必要があるといったことです。

▼海外進出に必須の翻訳とローカライズについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/the-difference-between-translation-and-localization

配送上の問題が発生しやすい

海外への配送では、国によって遅れや紛失が発生しやすいという問題点も出てきます。特に、利用可能な配送オプションも国ごとに異なるため、発送前に各国の配送サービスについて十分な調査が必要です。配送トラブルを最小限に抑え、円滑な取引を行うためには、適切な配送方法の選択が重要となります。

具体的には、主に発送方法は航空便と船便の2種類があります。航空便は、コストがかかるものの比較的早く配送先に届けることが可能です。一方、船便はコストを抑える事ができますが、約1〜3ヶ月程の時間がかかってしまいます。

また、配送手段としては、郵便や宅配便などの種類がありますが、配送先や荷物の重さ、配送スピードなどに応じて適切な方法を選ぶ必要があるということが分かります。

国際発送サービスの比較
参考元:海外への発送はこれが最適! 国際発送と越境ECを教えて、日本郵便さん!

制限や税関税への理解が必要

最後に、国ごとの規制品や関税について理解しておく必要があります。商品によっては、輸出が制限されていたり、ライセンスが必要だったりする場合があります。また、輸出先の国で関税がかかり、購入者に負担が求められることもあるため、事前の確認がとても重要です。

海外向けに日本の商品を販売するために必要な準備

ここからは、具体的に海外向けに日本の商品を販売するために必要な準備を説明します。

1. ターゲット設定

まず、はじめに自社商品に合ったターゲット設定をします。

例えば、日本のアニメ関連商品を展開する場合は、若年層のアニメが人気な国を調査していきます。もし、インドネシアや韓国の10代〜20代の若年層が日本のアニメに高い関心を示していることが分かれば、その結果をもとに、さらにターゲットを絞り込んでいきます。この時に、文化的な違いや法規制なども考慮に入れることも忘れないようにしましょう。
このように、現地の消費者の嗜好や購買行動、競合他社の動向などを分析し、自社の強みを活かせるターゲットを見極めることがとても重要となります。

2. ペルソナを作成

ターゲットとなる消費者像を具体的にイメージするために、ペルソナを可能であれば、数パターン作成します。ペルソナには、年齢、性別、職業、収入、趣味、価値観などの属性を設定し、それぞれの嗜好や行動パターン、購買動機などを明確にしていきます。ペルソナを作成することで、ターゲットをより具体的に想像することができ、効果的なマーケティング施策を打ち出すことができます。

ペルソナ作成予定

3. 戦略を立てる

ターゲットとペルソナが明確になったら、いよいよ販売戦略を立てます。2年程度の中長期的な計画を策定し、販路や価格、プロモーションなどを具体的に決めていきましょう。現地の文化や習慣、法規制なども考慮に入れ、自社の強みを最大限に活かせる戦略を立てることが重要です。また、PDCAサイクルを回しながら、柔軟に戦略を修正・改善していくことも覚えておきましょう。

▼海外マーケティングの最適な方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/how-to-successful-crossborder-ec

海外向けに日本の商品を販売する方法

次は、海外向けに日本の商品を販売する方法をご紹介します。

現地で店舗を出店する

1つ目の販売方法は、現地で店舗を出店する方法です。これは、顧客が商品を直接見て触れ、即座に購入できるというメリットがあります。成功事例を見てみると、日本食レストランや日本の「かわいい」商品、お弁当文化など日本独自の文化や商品を取り扱っている場合が多く見られます。
その中でも、ハワイへ出店した丸亀製麺は、メニューのローカライズや集客力の高い立地への出店、そして現地スタッフの教育で大成功を収めています。

ハワイの丸亀製麺
参考元:ハワイの「丸亀製麺」を解説!メニューや価格は日本と違う? | ALOCO(アロコ)

しかし、現地で店舗を出店する場合には、現地の法律や規制に従って必要な許可とライセンスを取得する必要があり、時間も労力も費用もかかります。また、現地の言語や文化に精通したネイティブスピーカーが必要となるため、少し難易度が高いとも言えます。

現地での店舗運営は、ブランドの認知度や顧客との直接的な関係を築くことができますが、それに伴ってリスクと初期投資が大きいため、慎重に検討する必要があります。

海外のECモールに出品

その他に、海外のECモールに出品する方法もあります。この方法は、比較的低い初期コストで大きな顧客基盤にアプローチできます。具体的には、AmazonやeBay、中国では天猫国際(Tmall Global)や韓国で有名なGmarketなどがあります。それぞれの国によって異なりますが、海外大手ECモールは、巨大な会員基盤と高い集客力を持っており、出店者へのサポートも充実しているため、今や世界中の消費者と販売者を繋ぐ、プラットフォームとして機能しています。

Amazonサイト
参考元:Amazon.com
天猫国際
参考元:Tmall

しかし、ECモール内では世界中から多くの企業が出店しているため、激しい競争が存在し、手数料も発生しています。加えて、自社でコントロールできる範囲が限られているため、ブランドイメージの構築や顧客とのコミュニケーションに制限がある点に注意が必要です。

ECモールを活用する際は、商品の価格設定や販促活動を戦略的に行い、競合他社との差別化を図ることがとても重要となります。

SNSで販売する

上記の他にも、SNSを活用して販売することもできます。比較的低コストで直接的な顧客とのコミュニケーションが可能になります。SNSでは、ブランドの個性を表現し、顧客とのエンゲージメントを高めることができます。
例えば、資生堂の公式インスタグラムでは、海外向けに人気の高いコスメ製品の情報を発信しています。特に「クレドポーボーテ レオ」は、インスタグラムでも高い評価を得ており、「一度使ったら手放せない」と言われる程の人気ぶりです。

このように、資生堂はSNSを通じて新製品の魅力を訴求したり、人気コスメの情報を発信するなど、積極的にSNSを活用しています。これにより、消費者とのコミュニケーションを深め、ブランドイメージの向上に努めていると言えるでしょう。

Shiseido Instagram
参考元:SHISEIDO (@shiseido) • Instagram photos and videos

一方で、SNS上での販売は時間と労力がかかり、成果の不確実性が否めないというデメリットもあります。SNSを効果的に活用するためには、ターゲット顧客に合わせたコンテンツ作成や、継続的なフォロワーとのインタラクションが必要です。また、SNSの規約変更によって影響を受ける可能性があることも考慮しておきましょう。

海外向けのECサイトを導入する

そして、自社のECサイトを通じて海外向けに商品を販売する方法です。自社サイトでは、ブランドイメージを完全にコントロールできる大きなメリットがあります。また、問題が発生した際にも、自社で直接対処できるため、スピーディーな対応が可能です。

実際の自社でECサイトを導入した例を挙げると、「サムライストア」という日本の甲冑や刀剣類を販売している会社があります。ここではPayPalを導入して、100通貨以上200カ国以上に対応したことで、海外の熱狂的なファンを獲得することに成功しています。現在では、52カ国に納品しています。

samurai store ECサイト
参考元:サムライストア

その一方で、海外向けのECサイトを運営するには、国際物流や決済、現地の法規制など、専門的な知識やスキルが必要となります。さらに、サイトの多言語化や、現地のお客様からの問い合わせ対応など、言語的な課題にも直面する可能性があります。これらの課題によって、運用に難航するケースも少なくありません。コストと効果を見極めながら、自社に合った方法を選ぶことが重要です。

▼越境ECを運用するメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

https://igni7e.jp/blog/cross-border-e-commerce-merits-and-demerits

まとめ:まずは基本的な知識について理解、その後どのように運用するか検討する

海外向けに日本の商品を販売することは、市場拡大や利益増加などのメリットがある一方で、言語的問題や配送上の問題など、克服すべき課題も存在します。まずは、海外販売に関する基本的な知識を身につけ、ターゲット設定やペルソナ作成、戦略立案などの準備を行うことが重要です。その上で、自社に適した販売方法を選択し、実行に移していくことが求められます。海外販売は大きなチャンスである反面、リスクも伴うため、十分な検討と準備を行った上で、段階的に取り組んでいくことが成功への鍵となるでしょう。

この記事を監修した人
Daisuke K
マーケター、CMO
2021年にCMOとしてIGNITEのへの参加を果たした。以前からマーケティング業界での勤務経験を有し、IGNITEでは海外市場向けのマーケティング戦略を展開している。あらゆる国や地域からの、BtoB、BtoC案件を総監し、海外進出を検討する日本国内の企業から、日本への参入を希望する海外企業までのサポートを行っている。
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