【海外進出に必須】翻訳とローカライズの違いって?

ビジネスの世界では、「翻訳」と「ローカライズ」という言葉が同じように使われることがよくあります。しかし、この2つのサービスには大きな違いがあり、また、それらの違いについて理解しておくことは、グローバルマーケティングの成功において重要なポイントとなります。これらの概念を混同してしまうと、海外でのマーケティング効果が薄れてしまう可能性もあるためです。

翻訳とは、ある言語で書かれた文章を別の言語に変換することを指します。一方、ローカライズは、文章やその他のコンテンツを、ターゲット市場の特定の文化や習慣、価値観に合わせて最適化させることを言います。そこで、この記事では、翻訳とローカライズの主な違いや効果的なグローバルマーケティング手法についてお伝えします。海外進出を検討中の方はぜひご覧ください。

翻訳とローカライズの違いについて

まずは翻訳とローカライズの違いについて、詳しく見ていきましょう。

翻訳

  • 特徴:翻訳は文字通りの作業。
  • 方法:自動化されたソフトウェアでも行うことができる。
  • 所要時間:比較的早く完了することができる。
  • 対象となるコンテンツ:文章が対象。

ローカライズ

  • 特徴:ターゲット市場の文化や習慣を考慮した作業。
  • 方法:専門知識が必要な場合が多いため、AIではなく人間が行う。
  • 所要時間:数週間から数ヶ月かかることがある。
  • 対象となるコンテンツ:音声、ビデオ、画像など他の種類のコンテンツも対象となる。

では、どのような場合に翻訳が必要で、どのような場合にローカライズが必要なのでしょうか?

単に文章をある言語から別の言語に変換するのであれば、翻訳で十分です。しかし、コンテンツを特定の文化やターゲット市場に適切に適合させたい場合は、ローカライズが必要となります。

例えば、日本語の「猫の手も借りたい」という慣用句を考えてみましょう。これは「非常に忙しい状態」を表しています。日本では猫は愛されるペットであり、この表現は「どんな助けでもありがたい」という意味合いを持ちます。しかし、この表現をローカライズせずに直訳した場合、「I want to borrow a cat's hand」となり、猫の手を借りるという文字通りの意味に捉えられ、その文化的なニュアンスや実際の意味を理解することは難しくなります。これをローカライズした文章へ変更すると、「I need all the help I can get.」や「I'm busy as a bee.」というように、とにかく非常に忙しいことが伝わるような表現へ翻訳することができます。

そのため、海外でのビジネスを成功させるためには、ローカライズが不可欠なのです。‍

海外進出において重要な翻訳・ローカライズ・コピーライティングの違いとは

海外にビジネスを展開する場合、翻訳、ローカライズ、コピーライティングの実施を検討することが重要です。上記でも少しお伝えしたように、翻訳では、すべてのコンテンツがターゲットの言語に正確に変換されることを言います。ローカライズは、コンテンツが文化的に適切であるか、ターゲットオーディエンスに適しているかを確認することで、翻訳よりもさらに一歩踏み込んだ最適化を行います。一方、コピーライティングは、ターゲット言語で、説得力のある効果的なマーケティングを発揮するために必要不可欠です。

これらのサービスを組み合わせて利用することで、海外進出の成功に繋がります。つまり、

  • 翻訳によってターゲットとするユーザーにとって利用しやすいコンテンツを
  • ローカライズによって適切なコンテンツを
  • コピーライティングによって効果的なコンテンツを

作成することができます。

この3つのサービスを組み合わせて利用することで、海外進出を成功させる可能性を最大限に高めることが可能です。反対に、この3つを怠ってしまった場合、海外進出で成功する確率が下がってしまうといえるでしょう。

機械翻訳の精度は上がっているが、それだけでは信頼性が落ちて売上へ負の影響あり

参考元:https://www.keywalker.co.jp/blog/comparing-translate-google-and-deepl.html

機械翻訳の精度は年々上がってきています。一昔前ではYouTubeの翻訳のレベルは目も当てられないレベルでしたが、いまではそれなりに理解できるレベルになっています。しかし、それでも翻訳できない表現があり、ネイティブスピーカーにとっては怪しげな文章に見えてしまいます。そのため、翻訳ミスがあると信頼性が低下してしまうのです。

例えば、公式ウェブサイトの文章を翻訳のために機械翻訳を使用する場合は、テキストを注意深く校正することが何より重要です。その一環として、必ずネイティブチェックを入れることをおすすめします。そうでないと、ターゲット地域に合わせた言語を使用しているのにも関わらず、うまく意味が通じない表現になってしまっている場合があるためです。

ウェブサイトならまだしも、印刷するパンフレットで翻訳ミスがあると取り返しがつかないことになります。そのため、機械翻訳が常に適切であるとは限らないことも念頭に置いておく必要があります。非常に重要な文章や専門的な文章の場合は、プロの人間による翻訳、もしくはチェックをご利用するのが一番です。

下記で機械翻訳が提供する翻訳文章は、ネイティブスピーカーからどう見えているのかを解説いたします。

機械翻訳は違和感のある文章になる

機械翻訳のデメリットは、ぎこちない文章になることが多いことです。これは、コンピュータが文章の文脈を理解できないため、翻訳の際に誤りを犯す可能性があるためです。

例えば、英語から日本語へ翻訳する場合のケースを見てみましょう。下記はある文章をDeepLで自動翻訳した内容です。3行目の文章の日本語訳で「多様なフードシーンで知られています。」という言い回しがされています。全く理解できない、という訳ではないですが、文章が不自然で、日本人には伝わりづらい可能性が高いです。このような場合は「様々なグルメを楽しむことができます。」のように言い換えると、より自然な文章になります。

上記の具体例は日本語への翻訳でしたが、日本語から他言語への翻訳時も同様のことが言え、機械翻訳のみでは違和感のある文章になってしまう場合があります。機械翻訳は必ずしも正確ではないのです。これは、コンピュータが人間と同じようにテキストの意味を理解していないためです。意味をわかって翻訳しているというより、データベースから当てはめて翻訳をしているため、翻訳に誤りが生じる可能性があります。

機械翻訳は日本語から英語へ翻訳できない単語がある

日本語には、単純に英語に訳せない単語があります。これは、その言葉の意味が日本文化に特有で、英語に相当するものがないためです。例えば、「甘え」という言葉は、誰かに依存している感じを表すのによく使われます。この概念を正確に伝えることができる英語はないです。機械翻訳ではこのような言葉を適切に訳すことができず、混乱や誤訳につながることがよくあります。

また、機械翻訳の欠点として、先程も述べましたが、人間の言葉のようなニュアンスや微妙なニュアンスが欠けてしまうことがあります。これは、機械がまだ言葉の使われる文脈を理解できていないため、しばしばぎこちない、あるいは不正確な翻訳がなされることがあります。

最後に、機械翻訳では慣用句や口語表現が適切に翻訳されないことがよくあります。これらは、特定の言語や文化に特有の表現であり、文字通りに翻訳することはできません。

例えば、日本語で「彼は頭が高い」という表現があります。これは、「相手を下に見るような態度で、失礼または傲慢であること」を表すため、英語で伝える際は「He is arrogant.」というような表現が、より正確であると言えます。しかし、「彼は頭が高い」という文章を機械翻訳に入れ込むと以下の画像のように、「He has a high head.」と直訳した文章で翻訳されてしまいます。

このような表現は、文化的背景や日本語の比喩に関する理解が必要であり、機械翻訳ではそのニュアンスを正確に伝えることが難しいのです。

機械翻訳は主語がわからない

日本語を英語に翻訳する場合、完全に伝えることができない部分があります。それは、日本語が文脈に大きく依存し、文中から主語が省略されることが多いからです。そのため、日本語を正確に英語に訳すことが難しい場合があります。

例えば、「今日はレストランに行って、食事をしたよ。」というような文章は、文脈によってさまざまな訳し方ができます。

  • 一人で行ったなら、「Today I went to a restaurant and had dinner.」
  • みんなで行ったなら、「Today we went to a restaurant and had dinner.」
  • 誰かが行ったことを伝えるなら、「Today he went to a restaurant and had dinner.

となります。「I」なのか、「We」なのか、「He」なのかによって全く意味が変わってきますが、日本語ではこういう表現は頻繁に見られます。特に口語では主語が略されることが多いです。

このように、話す相手や文脈によって文の意味が変わってしまうため、日本語を正確に英語に訳すのは難しいのです。

日本語を翻訳する際のもう一つの課題は、英語よりも間接的な表現が多いということです。これは日本自体が同質的であり、ハイコンテクストな言語だからです。ハイコンテクストとは、話し手と聞き手が共通の背景知識を多く持ち、その共有知識を用いて話し手の言葉を解釈するコミュニケーションスタイルのことを言います。そのため、間接的に表現しても相手に伝わります。

それに対して英語は様々な人種が入り混じるローコンテクストな言語です。直接的に言わないと伝わりづらいです。このような文化的差異が、日本語から英語への正確な翻訳を難しくしています。

もしあなたが海外からの売上を求めているなら機械翻訳と人力翻訳が必要

海外への販売を目指すなら、機械翻訳と人間による翻訳(もしくはネイティブスピーカーによるチェック)が必要です。もちろん、機械翻訳と人力翻訳のどちらにも利点と欠点があります。

  • 機械翻訳:より速く、より手頃な価格だが、人間による翻訳よりも正確性に欠ける場合が多い
  • 人力翻訳:より正確だが、より高価で時間がかかる場合がある

どのタイプの翻訳を使用するかを決定する際には、ニーズと予算を考慮することが重要です。迅速で手頃な価格の翻訳が必要な場合は、機械翻訳が最適な場合があります。より正確な翻訳が必要な場合は、人間による翻訳が適しているかもしれません。

理想の流れは ①機械翻訳 → ②人力翻訳 → ③ローカライズ →④コピーライティング

  1. 機械翻訳
    翻訳プロセスの最初のステップで、ある言語から別の言語への翻訳をソフトウェアで行うものです。

  1. 人間による翻訳
    機械翻訳が完了したら、人間の翻訳者がテキストを確認し、必要な修正を加えます。

  1. ローカライズ
    翻訳されたテキストが対象国の文化に適切に適応していることを確認するステップです。
    現地の用語が正しく使われているか、現地の習慣が正しく反映されているかなど、現地の文化に合わせた翻訳を行います。

  1. コピーライティング
    翻訳プロセスの最後のステップは、翻訳された文章が正しく、間違いのないものであることを確認することです。これには、校正や文章の流れを確認することなどが含まれます。

ローカライズの重要性について

ローカライズは、単なる翻訳以上の意味を持ちます。翻訳は、上記で述べたように、言語を変換するプロセスですが、ローカライズはそれだけではありません。ターゲット市場の文化、習慣、および価値観を理解し、それに基づいてマーケティングコンテンツをカスタマイズすることがローカライズなのです。

例えば、ある製品を異なる国の市場で販売する場合、その製品のパッケージデザインや広告メッセージは、その国の文化や習慣に合わせる必要があります。言語だけではなく、色やイメージの選択、アイコンやシンボルの使用など、細かな部分にも注意を払わなければなりません。

ローカライズをしっかりと行うことで、ユーザーは、自分の文化や言語に合わせたコンテンツを受け取り、企業やブランドに対する親近感を感じることができるのです。つまりローカライズは、ユーザーとのつながりを強化し、信頼関係を築くことに繋がります。

ターゲット国の傾向を掴むことがポイント

デザイン一つをとっても、ローカライズの重要性は明白です。例えば、日本の場合、情報量の多いデザインが比較的好まれますが、アメリカなどの欧米圏ではシンプルなデザインが好まれる傾向にあります。映画「LA LA LAND」のポスターを見ると、日本版のポスターは様々な画像や文字が入れ込まれているのに対し、アメリカ版は至ってシンプルなデザインで仕上げられています。これがターゲット国に合わせたローカライズをする、ということなのです。

ローカライズする際の注意点

ローカライズを成功させるためには、ターゲット国・地域、ターゲットユーザーへの理解が必要不可欠です。これには、ターゲット国の文化、習慣、価値観を深く理解し尊重することが含まれます。

例えば、色の使用において、中国では赤色は縁起の良い色とされますが、一部の国では喪の色とされる場合もあります。色の使用する場所なども考慮する必要があります。さらに、各国の法的要件への対応も重要で、例えばEUではGDPRに準拠したプライバシーポリシーが必要です。

そして、継続的な更新とメンテナンスを行うことで、言語や文化の変化に対応し続ける必要があります。例えば、ウェブサイトの場合、季節やイベントに合わせたデザインを使用するのであれば、時期が変われば、デザインやテキストの内容も変更する必要があります。

また、翻訳の時と同様にネイティブスピーカーの活用は不可欠です。特定の地域の言語や文化に精通した翻訳者による翻訳は、単なる直訳を超えたニュアンスの違いを捉えることができます。

これらの多面的からのアプローチは、自分たちだけでは対応することが難しい場合が多いです。ターゲット国の言語を扱える人材が必要なだけではなく、ターゲットの文化やトレンド、タブー事項などを理解しておく必要があるためです。そのため、社内でそのような人材を確保できない場合は、外部の専門家や代理店と提携を取ることで、より効果的なローカライズを実現することができます。

海外進出するならIGNITEご相談を

海外進出を検討中の方は、ぜひIGNITEにご相談ください。私たちは、企業の海外市場参入を支援する海外マーケティング専門の会社です。バイリンガルのウェブマーケターを抱えているため、翻訳はもちろん、ローカライズやコピーライティングも得意としています。一度、お気軽にお問い合わせください。

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