インバウンド市場の回復が進む中、集客施策に取り組む企業や自治体は増えていますが、思うような成果につながらないケースも多く見られます。課題を克服し、集客を戦略として設計する手段として注目されているのが、インバウンド集客に特化したコンサルティングの活用です。本記事では、インバウンド集客成功の実例を踏まえながら、コンサルティングの役割と活用ポイントを解説します。
インバウンド集客にコンサルティングが必要な3つの理由

インバウンド集客は、単に広告や情報発信を行えば成果が出るものではありません。市場環境や訪日客の行動が大きく変化する中で、戦略設計そのものが難易度を増しています。以下では、なぜ今コンサルティングの活用が求められているのか、3つの理由をお伝えします。
理由① インバウンド市場の変化と集客競争の激化
コロナ禍で下降傾向にあったインバウンド市場ですが、現在は回復基調にあり、各地域・各事業者が一斉に訪日外国人の集客へ動き出しています。その結果、検索結果やSNS、広告枠での競争は激化。「情報を出すだけ」では選ばれにくい状況に。国や地域ごとに旅行目的や行動パターンが細分化し、画一的な施策では成果が出にくくなっています。
訪日外国人旅行者の推移

理由② 内製だけでは対応しきれない専門領域の拡大
インバウンド集客では、海外の観光客に向けたSEOや多言語対応、海外向けのSNSマーケティング、広告運用、データ分析など、専門領域が多岐にわたります。これらをすべて自社内でカバーするのは現実的ではなく、担当者に過度な負担がかかるケースも少なくありません。結果として、施策が部分最適にとどまり、全体として成果につながらない状態に陥りがちです。
理由③ 集客を「戦略」として設計する重要性
インバウンド集客で成果を出すためには、個別施策の積み重ねではなく、「誰を集め、どこで接点を持ち、どのように行動につなげるか」を一貫した戦略として設計する必要があります。
コンサルティングの活用により、戦略の軸が定まることで、施策の取捨選択がしやすくなり、無駄なコストや工数を抑えながら成果を最大化しやすくなります。
インバウンド集客の課題とコンサルティングの役割
うまくいかない原因は、施策そのものよりも「前提設計」にあるケースが多数。現場で特に多いインバウンド集客における課題とコンサルティングが果たす役割を解説します。
課題1. ターゲット設定が曖昧なまま施策を進めてしまう
「訪日外国人向け」という大きなくくりで施策を進めてしまうと、訴求軸がぼやけ、結果として誰にも刺さらない発信になりがち。訪日外国人の主な旅行目的や国籍、滞在エリア、消費傾向によって行動は大きく異なり、適切なターゲット設定ができていないと、広告やコンテンツの効果は限定的になります。
課題2. 集客チャネルが分断され、導線が設計されていない
広告、SNS、Webサイト、地図情報など、集客チャネルが個別に運用され、来訪までの流れが整理されていないケースも多く見られます。点在する施策は一定の接触機会を生みますが、導線がつながっていないと来訪や予約につながりにくくなります。
コンサルティングが担う「整理・設計・判断」の役割
コンサルティングの本質的な役割は、施策を増やすことではなく、状況を整理し、優先順位をつけ、判断基準を示すこと。ターゲット設定、チャネル選定、KPI設計などを一度整理することで、施策の方向性が明確になります。第三者の視点を入れることで、感覚や思い込みに頼らず、成果につながる打ち手に集中できる点も、コンサルティングを活用する大きなメリットです。
インバウンド集客を支えるコンサルティングの主な支援内容

インバウンド集客におけるコンサルティングは、施策代行だけではなく、成果につながる全体設計と運用の伴走を担います。以下では、その支援の主な内容について説明します。
市場調査・ターゲット設計と戦略立案
まず行われるのが、対象市場や訪日客の動向を把握するための調査と整理です。国・地域別の訪日傾向、旅行目的、消費行動、競合状況などを踏まえ、狙うべきターゲット層を明確にします。戦略の軸が定まることで、その後の施策選定や優先順位付けが容易になり、場当たり的な集客を防ぐことができます。
Web/SNS/コンテンツを活用した集客導線設計
戦略をもとに、インバウンド集客を成功させるためのSNS、Webサイト、検索、広告など各役割を整理し、集客導線を設計します。インバウンド集客では、検索から比較、意思決定までの動線が短いため、情報の出し方や導線のつながりが成果を左右。単に情報発信を増やすのではなく、「どのチャネルで認知し、どこで判断し、どこで行動につなげるか」を設計することで、無駄な施策を減らし、効率的な集客が可能になります。
データ分析と改善を前提とした運用支援
インバウンド集客は、アクセスデータや広告指標、反応の傾向などをもとに、定期的に振り返りと改善を行うことが重要です。コンサルティングでは、数値をもとに施策の効果を判断し、改善点や次の打ち手を整理します。こうしたPDCAを前提とした運用支援により、短期的な成果だけでなく、継続的な集客基盤の構築につなげることができます。
インバウンド集客におけるコンサルティングの実例3選

コンサルティングがどのように成果に結びつくのかは、実際の支援事例を見ることで理解が深まります。ここでは、IGNITEが実際に支援したインバウンド集客の代表的なプロジェクトを、課題 → 支援内容 → 施策アプローチ → 成果の流れで詳しく紹介します。
① エステティックサロンのインバウンド集客支援
https://igni7e.jp/case-studies/esthetic-salon
【課題】
訪日客を増やしたいエステティックサロンにおいて、これまで国内向け施策は一定の成果があったものの、インバウンド向けの集客設計が未整備。ターゲット設定が曖昧で、訪日客の検索行動や予約導線の設計が不十分なため、外国人からの問い合わせや予約につながりにくい状況にありました。
【支援内容・アプローチ】
サロンの強みや来店動機を整理し、訪日外国人向けのターゲット設計と集客戦略を策定。
- 多言語サイトと予約導線の最適化
- Google ビジネスプロフィールの改善と写真追加
- 口コミ対策とSNS運用サポート
【施策成果】
- 検索から予約までの導線が明確になり、海外からの問い合わせ数が増加
- 外国人顧客の予約率・来店率が向上
- 顧客満足度の高いレビュー獲得につながった
現場の声では、「観光客の特性に合わせた導線設計が成果を生んだ」と評価されています。
② 日本酒・焼酎の国際的な認知度アップ支援
https://igni7e.jp/case-studies/sake-instagram-ads
【課題】
日本酒・焼酎ブランドは、海外ファンの増加が期待されている一方で、海外向けの情報発信やブランド認知施策が不十分。英語コンテンツの不足、国内向けのSNS運用のみで集客チャネルの最適化ができていないことが課題でした。
【支援内容・アプローチ】
ユーザーの行動特性を分析し、Instagramを中心とした海外向けSNS戦略立案とコンテンツ企画を支援。
- ターゲット国に刺さる投稿コンテンツ設計
- ハッシュタグ戦略とフォロワー増加施策
- 広告運用を併用した認知拡大キャンペーン
【施策成果】
- 海外ユーザーからのフォロワー数・反応率が大幅に増加
- 特定国からのアクセス流入が向上
- ブランドWebサイトへの誘導が強化され、海外向け購入導線の整備にも成功
この取り組みをきっかけに、海外の小売パートナーからの問い合わせ増など、実需につながる反応も見られています。
③ 海外向けの情報発信強化とグローバルサイトの構築
https://igni7e.jp/case-studies/government
【課題】
ある自治体の観光情報サイトは日本語中心で構築されており、訪日検討層や海外在住者への情報提供が不十分。訪日意思決定に至る導線設計が弱く、検索エンジン評価やアクセス数の伸び悩みがありました。
【支援内容・アプローチ】
自治体が持つ豊富な観光情報を整理し、グローバル向け情報発信基盤の構築を支援。
- 多言語(英語・中国語)対応サイトの制作
- 海外ユーザー視点での導線設計とUX最適化
- SNS連携・口コミ導線の強化
【施策成果】
- 海外からのWebサイト訪問数が大幅に増加
- 検索評価が向上し、特定観光キーワードでの流入が拡大
- SNSからの誘導が強化され、訪日検討層との接点が増加
自治体担当者からは、「単に翻訳するだけでなく、文化や行動様式を踏まえた導線設計が成果につながった」という評価が寄せられています。
インバウンド集客とコンサルティングを考える上で押さえたい観光庁の動向
政府や観光庁が打ち出す施策は、インバウンド集客戦略のベースラインとしてとても重要です。補助金制度や支援方針は戦略設計に直結するため、現状の動向を押さえておくことで、成果につながる戦略構築が可能になります。
観光庁が重視するインバウンド施策の方向性
観光庁の基本方針としては、「観光立国推進基本計画」(2023〜2025年度)に基づき、次のような方向性が打ち出されています。
① 持続可能で質の高い観光の創出
訪日客を増やすだけでなく、旅行者1人当たりの滞在日数や消費額を伸ばし、「訪日体験の価値向上」を目指します。
② 地域への誘客促進と地方観光の強化
地方の観光資源や体験コンテンツを強化し、地域の魅力を発信することで、観光消費の裾野を拡大。
③ インバウンド回復の戦略的推進
観光消費の増加、滞在拡大、持続可能な観光地域づくりまでを包括した政策を推進。地域の在来文化や体験型コンテンツの強化、交通インフラやデジタル観光情報の整備などが含まれています。
補助金活用と集客戦略を切り分けて考える視点
インバウンド関連の補助金や支援制度は、施策を進めるうえで有効な後押しに。ただし、補助金ありきで施策を組み立ててしまうと、本来の目的である集客成果や事業成長からズレてしまうリスクもあります。重要なのは制度を「手段」として活用する視点です。戦略と制度を切り分けて考えることで、無理のない形で成果につなげやすくなります。
制度を活かしつつ成果につなげる方法
補助金を使って終わりにするのではなく、実施結果を分析し、次の施策にどう活かすかまで考えることが重要です。戦略設計から運用・改善までを一貫して整理できるコンサルティングの存在は、制度活用を「一過性」に終わらせないための支えとなります。
インバウンド集客を任せるコンサルティング会社の選び方

インバウンド集客で成果を出すためには、どのコンサルティング会社と組むかが大きな分かれ道になります。単に知名度や価格だけで選ぶのではなく、自社の状況や課題に合ったパートナーかどうかを見極める視点が重要です。
コンサルティングの支援範囲の見極め
コンサルティングと一口に言っても、その支援範囲は会社ごとに大きく異なります。自社が「何に困っているのか」「どこまで任せたいのか」を整理したうえで、その課題に合致する支援範囲を持つ会社を選ぶことが重要です。
実績・事例を見る際のポイント
自社と近い業種やターゲット市場での事例があるか、どのような課題に対してどのようなアプローチを行い、どんな成果が出たのかが具体的に示されているかが判断のポイント。プロセスや考え方が読み取れる事例は、その会社の再現性や信頼性を測る材料になります。
自社のフェーズに合ったパートナー選定
インバウンド集客におけるコンサルティングは、「どの会社が良いか」以上に、自社のフェーズに合っているかどうかが重要です。
自社のフェーズ
よくある状況・悩み
検討時に迷いやすいポイント
適したコンサルティングの特徴
インバウンド未着手
何から始めればいいか分からない
全体像が見えない
戦略設計から伴走できる
試験的に実施中
施策を始めたが成果が出ない
続行か見直しか判断できない
分析・改善まで支援
本格展開段階
集客が頭打ち
内製と外注の切り分け
柔軟な支援体制
自治体・公的案件
補助金主導で進みがち
成果指標が曖昧
制度理解と成果設計が可能
自社の現在地と目的を明確にしたうえでパートナーを選ぶことが、インバウンド集客を成功させる近道に。比較表を基準に検討することで、「なんとなく良さそう」で選んでしまうリスクを減らすことができます。
インバウンド集客を成功させるには、コンサルティングの活用が有効
インバウンド集客では、単発の施策や場当たり的な対応では成果につながりにくくなっています。市場理解、ターゲット設計、集客導線の整理、そして改善までを一貫して設計することが重要です。
複雑な要素を整理し、戦略として形にする手段として、コンサルティングの活用は有効な選択肢といえるでしょう。自社のフェーズや課題に合ったパートナーと組むことで、インバウンド集客は再現性のある取り組みへと進化していきます。
この記事とあわせて、インバウンド観光の効果的な戦略について解説した記事を参考にしながら、自社に合った集客の進め方やコンサルティング活用の可能性を検討してみてください。
これまでIGNITEでは、さまざまな支援実績や現場での知見をもとに、課題整理から戦略設計までをサポートしてきました。検討段階でも構いませんので、インバウンド集客の進め方に迷いがある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。



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