2025年上半期(1〜6月)の訪日外国人旅行者数は、わずか6か月で2,000万人を突破し、過去最速の記録となりました。現在では、日本経済にとって欠かせない観光客源となっています。
一方、近年は「オーバーツーリズム」という言葉が取り上げられるほど、各地の観光地は訪日客で大きなにぎわいを見せています。今回の記事では、2025年の外国人観光客のトレンドを考察し、日本への旅行目的ランキングTOP10をご紹介します。
訪日外国人の現状について
コロナ禍を経て、訪日外国人旅行者の行動は大きく変化しました。以前は「効率的な観光」や「有名スポット巡り」が主流でしたが、2025年の旅行者は日本ならではの「非日常的な体験」や「深い文化体験」を強く求めるようになっています。

参考元:国土交通省観光庁(出典:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計)
2025年は、過去のデータや予測を上回るペースで訪日外国人旅行者数が増加しています。JNTO(日本政府観光局)が発表している2025年1月〜6月の統計では、累計で2,151万8,100人となり、過去最速のペースで2,000万人を突破しました。円安も引き続き、増加を後押ししています。
しかし、こうした単純な増加だけでなく、その旅行者の属性や目的、行動様式といった要素が大きく変化している点を無視できません。特に、若年層やハイエンド層は、ユニークで自分らしい旅行プランに強く惹かれる傾向にあります。

参考元:訪日外客数(2025 年 6 月推計値)/日本政府観光局(JNTO)
また、国別の訪日外国人数では韓国が引き続き首位を維持していますが、中国からの旅行者数が大幅に増加し、上半期だけで約540万人を突破しています。
1位:韓国 (729,800人)
2位:中国 (727,100人)
3位:台湾 (585,000人)
4位:米国 (345,100人)
5位:香港 (193,100人)
※2025年6月の訪日外国人国籍別ランキング
訪日外国人の旅行目的とは?ランキングTOP10
日本を魅力的な旅行先として発信していくためには、訪日外国人が「なぜ日本を訪れるのか」を知ることが重要です。訪日外国人の旅行目的を深く理解することで、より効果的なインバウンド向けマーケティング戦略を立て、観光客の誘致につなげることができるでしょう。
ここでは、訪日外国人旅行者の目的をより深く理解し、効果的なマーケティング戦略につなげるために、主な旅行目的をランキング形式でご紹介します。
1位:日本食・食文化体験

引用元:Instagram zauo_shibuya(View More on Instagram)
訪日外国人の日本食への関心は非常に高く、世界中の人々を魅了する魅力的な要素の1つです。単に和食を味わうだけでなく、文化や歴史にも触れることで、日本の食文化への理解が深まります。
例えば、全国に展開する「釣り船茶屋ざうお」は、自分で釣り上げた魚を、その場で料理人がさばき、刺身や焼き魚として楽しめる体験型レストランとして人気です。
また、多言語翻訳(メニューや表記など)が充実している点も、海外旅行者にとって安心感につながり、高く評価されています。自分で釣った魚をその場で調理して味わえる体験は、日本ならではの魅力に触れる機会となり、多くの観光客にとって忘れられない思い出となるでしょう。
2位:温泉・リラクゼーション体験
日本の温泉は、世界的に見てもユニークな文化です。火山活動が活発な日本ならではの温泉は、心身のリフレッシュ効果が期待できます。
露天風呂で美しい景色を眺めながら、あるいは伝統的な温泉旅館で日本のホスピタリティを堪能しながら、温泉に浸かる時間は至福のひとときとなるでしょう。近年では、温泉に併設されたスパやエステなども人気を集めており、美容と健康を求める訪日観光客にもおすすめです。
3位:自然風景の鑑賞

日本の大きな魅力の1つに「四季」があります。春夏秋冬それぞれに異なる表情を見せる自然を楽しもうと、日本を訪れる訪日観光客は年々増えています。
なかでも、富士山や紅葉といった景観は特に人気が高く、訪日観光客の心を強く惹きつけています。雄大な自然を背景に景色を味わうひとときは、心を癒す特別な体験として多くの注目を集めています。
4位:日本でのショッピング
日本は、高品質な商品として世界的に知られています。金属製品やコスメなど、日本製品は各国で高く評価されており、実際に手に取ることで、その品質や洗練されたデザインを通じて、日本の技術力や文化を肌で感じることができます。
また、外国人観光客に魅力的な商品を提案することは、滞在時間を延ばし、旅行全体の満足度を高めるポイントとなるでしょう。
5位:伝統文化体験・歴史体験
日本の伝統文化への関心は非常に高く、忍者の神秘性や茶道の奥深さ、芸者や舞妓の魅力は、多くの外国人観光客を惹きつけています。
とりわけ京都には、寺院や舞妓文化をはじめとする伝統にまつわるスポットや体験が数多く集まっています。歴史と文化に根ざした体験は、観光客にとって記憶に残る貴重な時間となっているでしょう。
6位:日本のアニメ・マンガ・ゲームの聖地巡礼

アニメ、マンガ、ゲームの熱狂的なファンである外国人にとって、聖地巡礼は大きな魅力です。人気キャラクターの舞台となった場所を訪れ、世界観を共有することは、特別な思い出になります。
秋葉原や京都アニメーションなどは、多くの海外ファンにとって重要な観光スポットとなっています。サブカルチャーを活用した新しい観光ルートの開発は、今後ますます重要な戦略となるでしょう。
7位:地域の祭りや伝統行事への参加
日本の祭りや伝統行事は、外国人にとって日本文化を肌で感じ、特別な体験ができる絶好のチャンスです。鮮やかな衣装や迫力ある神輿(みこし)、独特の音楽に触れ、さらに地域住民の温かさを感じられる点も大きな魅力といえるでしょう。
京都の祇園祭や函館の函館山花火大会といった華やかな行事に参加することは、観光客に深い文化体験を提供します。
【函館山花火大会】

引用元:函館の夏、三大花火大会の見どころ | 特集一覧 | はこぶら
8位:日本のスポーツ観戦
相撲や野球、サッカーなど、日本の伝統的なスポーツもまた、外国人観光客の間で人気を集めています。地方巡業の観戦ツアーは、地域の魅力を発見し、地元の人々と交流する機会を提供します。日本のスポーツ観戦は、日本の独特な文化や競技を体験する機会となり、観光客は新しい発見をすることができるでしょう。
9位:持続可能性・エコツーリズム
環境問題への意識の高まりとともに、持続可能な旅行への関心も高まっています。自然環境への負荷を最小限に抑え、地域社会に貢献するエコツーリズムは、今後の観光において重要なキーワードとなるでしょう。

自然豊かな地域でのトレッキングやサイクリング、地元の食材を使った料理体験、伝統工芸のワークショップなど、環境に配慮したアクティビティが求められています。宿泊施設においても、環境に配慮した運営を行うホテルや旅館を選ぶ観光客が増えています。
10位:都市観光・繁華街の街歩き
東京、大阪、京都といった大都市の観光は、依然として外国人観光客に人気です。それぞれの都市が持つ独自の文化や歴史、最新のトレンドに触れることができます。賑やかな繁華街の散策やショッピング、洗練されたレストランでの食事、そして刺激的なナイトライフも都市観光の魅力です。
近年では、定番の観光スポットだけでなく、路地裏散策や地元の人々が集まる場所を訪れるなど、よりディープな体験を求める観光客も増えています。
初めて日本にきた外国人から人気の観光スポット
日本には、世界中から観光客が訪れる魅力的な場所が数多くあります。中でも、初めて日本に訪れた外国人観光客に人気の観光スポットは、伝統と文化、そして現代的なエンターテイメントを融合した場所です。
ここでは、海外向けマーケティング会社として、日本人だけでなく、外国人観光客も熱狂する3つのスポットをご紹介します。
浅草寺(東京都)

浅草寺は、東京都台東区にある歴史と伝統が息づく寺院です。古くから多くの人々に親しまれ、江戸情緒あふれる風景は外国人観光客にも人気があります。
鮮やかな朱色の本堂や五重塔、伝統的な彫刻が施された門など、見どころは数多くあります。訪れる人々は写真撮影や参拝を楽しみ、その活気あふれる雰囲気は見ているだけで心が弾むようです。
特に夜になると、ライトアップされた幻想的な姿が印象的です。浅草寺は、歴史と文化、そして現代のエネルギーが調和した、日本の魅力を凝縮した場所といえるでしょう。実際に訪れた外国人観光客からは「素晴らしい景色と文化体験ができた」と高い評価を得ています。
チームラボ(東京都)

引用元:チームラボ / teamLab
現代アートとデジタル技術を融合させた世界初の空間体験施設、チームラボボーダレス。東京には2ヶ所あり、体験型アトラクションで訪れた外国人を魅了しています。
観客は、周りの光や音、自分の動きに合わせて作品が変化していく様子を体験することができます。最新のテクノロジーによって創り出される、予想外の景色と不思議な体験は、訪れた外国人観光客にとって忘れられない記憶となることでしょう。
子供連れのファミリーや、インスタグラムなどで人気の場所に来たい、と考える外国人にも最適です。 特に、フォトジェニックな空間は、SNS映えも抜群で、海外の観光客に高く評価されています。
清水寺(京都府)

清水寺は、京都市にある古刹(こさつ)で、長い歴史と伝統を今に伝えています。なかでも清水舞台の景色は、多くの映画や写真にも登場し、外国人観光客からも人気の高いスポットです。高台にある舞台からは遠くの山並みまで一望でき、その雄大な眺めは訪れる人々を魅了します。
近年、若い外国人旅行者の間で人気が高まっているのは、清水寺が伝統と現代をうまく融合させた魅力を持っているからでしょう。神秘的な雰囲気と境内に漂う独特のエネルギーは、今もなお世界中の人々を惹きつけてやみません。
京都侍忍者ミュージアム(京都府)

引用元:SAMURAI NINJA MUSEUM: Samurai Museum in Kyoto & Tokyo | Maikoya
歴史好き、そしてアクションエンターテイメントを求める外国人観光客は、この京都侍忍者ミュージアムがおすすめです。日本の歴史上、多くの国民に愛される忍者たちの姿は、世界中で人気が高い傾向にあります。ここでは、時代劇を連想させる刀や衣装が展示され、日本の歴史に深い理解を示しています。
ミュージアムでのエンターテイメント体験は、忍者ショーや体験型展示など、数多く用意されています。写真撮影に最適なスポットが多くあり、記念に残る撮影ができるので外国人の顧客に人気です。外国人旅行者の心に響くような歴史探訪体験ができます。
まとめ
2025年、日本の観光市場は過去最速の訪日客数を記録し、持続可能な成長期に入りました。円安を背景に、アジア圏、特に中国からの「爆買い」が再び活発化。同時に、北米や欧州からの旅行者は日本の文化や地方の体験を深く求めています。
観光庁の調査では、日本食や温泉などの体験型コンテンツが引き続き人気。しかしインバウンド需要の今後の見通しは、アニメ聖地巡礼やエコツーリズムなど、個人の興味に合わせた「コト消費」も重要になります。特に若年層や富裕層はSNS映えするユニークな体験を求めており、デジタルツールによる利便性向上が不可欠です。このトレンドを捉え、定番の観光地だけでなく、地域の隠れた魅力を発掘し、ターゲット層に響く多様なコンテンツを提供することが誘致成功へとつながります。
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