海外向けSNSマーケティング攻略ポイント

海外向けSNSマーケティング攻略ポイント

海外市場への進出を検討する企業にとって、SNSマーケティングはもはや避けて通れない戦略の一つです。

しかし、いざ始めようとしても「国内の運用と同じでいいのか?」「何から手をつければいいのか?」と戸惑う担当者様も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、海外向けSNSマーケティングの基礎知識から、主要プラットフォームの選び方、そして実践的な戦略までを包括的に解説します。

なぜ今、海外向けSNSマーケティングが不可欠なのか?

グローバル化が進む現代において、海外市場にアプローチする際の情報接点は、従来の広告や公式ウェブサイト中心の構造から、SNSを起点とする構造へと大きく変化しています。国や文化が異なっていても、日常的に使われている情報プラットフォームは共通化しており、SNSは国境を越えて人々をつなぐ主要なメディアとなっています。

特に日本に限らず海外でも、企業やブランドを知る際に

  1. まずSNSで検索・確認する
  2. 投稿内容やフォロワーとのやり取りから信頼性を判断する
  3. 実際の利用者の声やリアルな雰囲気を重視する

といった行動が一般的になっています。そのため、SNS上に十分な情報が存在しない、または発信が弱い場合、「選択肢に入る前に除外される」可能性も高まります。

また、海外向けマーケティングでは、言語や文化の違いによって一方的な広告が届きにくいという課題があります。SNSは、ビジュアルや動画、短いテキストを通じて直感的に価値を伝えることができ、コメントやシェアを通じた双方向コミュニケーションによって、心理的な距離を縮める役割も果たします。

このように現在は、「海外市場とつながるための標準的な入口がSNSになっている時代」であり、海外向けSNSマーケティングは特別な施策ではなく、グローバル展開を考える上での基盤として不可欠な存在となっています。

海外向けSNSマーケティングと国内向けSNSマーケティングの違いとは?

海外向けと国内向け、どちらも「SNSを通じてユーザーと繋がる」という点は同じですが、その中身は異なる部分が非常に多いです。結論から言うと、国内向けは「共通認識(あうんの呼吸)」で成立するのに対し、海外向けは「異文化の壁を戦略で壊す」プロセスが不可欠となります。

以下にて海外向けSNSマーケティングと国内向けSNSマーケティングの違いについて詳細をお伝えします。

1. 運用に最適なプラットフォームが異なる

日本では「SNS=InstagramやX、TikTok」というイメージが強いですが、世界に目を向けると常識は一変します。

  • 欧米・東南アジア: 仕事の繋がりには LinkedIn、日常の連絡には WhatsApp や Facebook が圧倒的に強い。
  • 中国: GoogleやMeta系が使えないため、WeChat(万能アプリ)や RED(口コミ)が主流。
  • インド: TikTokが禁止されているなど、政治的背景で使えるツールが制限される国もあります。

2. 翻訳ではなくローカライズの重要性が高い

海外SNSマーケティングと国内SNSマーケティングの最大の違いは、単なる翻訳ではなく、「ローカライズ(現地化)」の深さにあります。日本語をそのまま直訳しても、現地で使われているスラングや最新の言い回し、ブランドとしてのトーン&マナーまでは再現できません。

例えば、日本語の「おもてなし」をそのまま英語に訳しても、その背景にある「察する文化」は伝わりません。

さらに、色やジェスチャーの意味、家族観、宗教的背景、タブーとされる表現など、文化・宗教に根ざした価値観は国ごとに大きく異なります。加えて、SNSでは国や地域によってアクティブな時間帯や、静止画と動画のどちらが好まれるかといった投稿形式のトレンド、アルゴリズムの傾向も異なるため、こうした点を踏まえたローカライズが不可欠となります。

3. ビジュアルと言語のバランス

日本のSNS(特にバナーやサムネイル)は、文字を敷き詰めて詳細を説明するスタイルが好まれる傾向にあります。しかし海外、特にInstagramやPinterestなどの視覚媒体では、「1枚の写真が1000の言葉より語る」という世界観が重視されます。文字は最小限に、構図や配色でブランドを語る力が試されます。

4. 法律とマナーの複雑さ

「これくらいなら問題ないだろう」という感覚が、国や文化の枠を超えた瞬間に、深刻な炎上や法的リスクへと発展する可能性があります。

例えば、宗教や文化への配慮が不十分な場合、ハラールなどの食事制限に対する理解不足や、特定のジェスチャーや表現が不敬・不適切だと受け取られてしまうことがあります。

さらに、法規制の違いも無視できません。EUにおけるGDPR(一般データ保護規則)や、米国で義務付けられている広告表記(#ad など)に代表されるように、国ごとに定められた厳格なルールへの対応が求められます。このような宗教・文化・法律の違いを正しく理解し、事前にリスクを想定したうえで運用を行うことこそが、グローバルに情報を発信するうえで欠かせない重要なポイントです。

SNSプラットフォームの特徴と選び方

成功の鍵は、ターゲット層にマッチしたSNSのプラットフォーム選びにあります。それぞれの特性を理解し、自社の商材や目的に合わせて使い分けることが重要です。

Instagram(ビジュアル重視・世界全域)

世界中で20億人以上が利用しており、特にファッション、美容、観光、飲食といった視覚的訴求が強い業種に最適です。

  • 主なターゲット国: アメリカ、ブラジル、インド、インドネシア、日本、西欧諸国
  • 特徴: 都市部や若年層~ミドル層に強く、リール動画による拡散力が極めて高いのが特徴です。
  • 活用法: 米国や西欧では「ブランドの世界観」を重視した美しいグリッド投稿が好まれる一方、東南アジアでは「ストーリーズ」を通じたインフルエンサーとの双方向なやり取りが重視されます。

LinkedIn(B2B特化・ビジネス先進国)

ビジネスプロフェッショナルや経営層へのアプローチならLinkedIn一択です。企業の信頼性を高める「ソートリーダーシップ」の発信に適しています。

  • 主なターゲット国: アメリカ、イギリス、インド、ドイツ、フランス、シンガポール
  • 特徴: 特に北米や欧州では、営業(リード獲得)や採用活動のメインプラットフォームです。
  • 活用法: ホワイトペーパーの配布や、経営層による業界へのオピニオン発信が有効です。東南アジアのビジネスエリート層へのリーチにも非常に効果的です。

TikTok(Z世代・エンタメ重視・急速拡大)

若年層(Z世代)へのリーチや、爆発的な認知拡大(バズ)を狙うならTikTokです。

  • 主なターゲット国: アメリカ、インドネシア、ブラジル、タイ、ベトナム、サウジアラビア
  • 特徴: 東南アジアでは「TikTok Shop」が急速に普及しており、認知から購入までがアプリ内で完結しています。一方、米国では規制の動向に注意が必要です。
  • 活用法: 完璧な広告よりも、ユーザーが親近感を覚える「等身大のコンテンツ」が好まれます。現地のトレンド楽曲やダンスに合わせたローカルな投稿が成功の鍵です。

X(旧Twitter) & Facebook

  • X(旧Twitter)
    •   主なターゲット国: 日本、アメリカ、サウジアラビア、ブラジル
    • 特徴: リアルタイム性が高く、ニュースやガジェット、サブカルチャーへの関心が強い層に有効です。中東のサウジアラビアなどでは、情報収集の主要インフラとして機能しています。
  • Facebook
    • 主なターゲット国: アメリカ、インド、フィリピン、ベトナム、メキシコ、エジプト
    • 特徴: 欧米では30代以上のミドル・シニア層やビジネスグループでの利用がメインですが、東南アジア(フィリピン、ベトナム等)では、全世代が利用する「インターネットそのもの」と言えるほどのシェアを誇ります。

その他の地域特化型プラットフォーム

  • WhatsApp: 主なターゲット国: インド、ブラジル、ドイツ、インドネシア
    • 特徴: 欧米や中南米、インドではLINE以上に普及しているメッセージアプリです。「ビジネスアカウント」を活用した顧客対応や予約受付が一般的です。
  • Naver(ネイバー):
    • 主なターゲット国: 韓国
    • 特徴: 韓国ではGoogle以上に圧倒的なシェア。SNSとしての「Naver Blog」や「Naver Cafe」の攻略が、韓国進出の絶対条件となります。

戦略立案の3ステップ

やみくもにアカウントを開設するのではなく、以下の手順で戦略を固めましょう。

1. ターゲット国・地域の絞り込み

「世界中」をターゲットにするのはリソース分散のリスクがあります。市場規模、自社商品との親和性、競合状況などを分析し、まずは勝算の高い国や地域にリソースを集中させましょう。

2. 現地視点でのペルソナ設定

日本国内のペルソナは通用しません。現地の生活様式、価値観、情報収集の癖(どのSNSをいつ見るか)をリサーチし、具体的な顧客像(ペルソナ)を描きます。

3. 段階的なKPI設計

フォロワー数などの「認知」指標だけでなく、コメントやシェアなどの「エンゲージメント」、そして最終的な「コンバージョン」や「ブランドへの好意度」まで、フェーズに合わせて目標数値を設定します。

成功事例に学ぶ運用のヒント

事例1:インターナショナルスクール

あるインターナショナルスクールでは、日本人と外国人、両方の保護者に学校の魅力を伝えきれていないという課題がありました。 

そこで、InstagramとFacebookで日本語・英語のバイリンガル投稿を開始。こだわったのは、単なる直訳ではなく「それぞれの言語で自然に読める文章」にすることです。学校行事や授業風景など、保護者が本当に知りたい「学校の空気感」を丁寧に発信し続けた結果、わずか半年でフォロワー数は3倍に急増。SNSを経由した入学問い合わせも2倍に増え、募集活動に大きく貢献しました。

事例2:外資系飲食チェーン

日本へ進出した外資系飲食チェーンにとって、最大のミッションは訪日外国人観光客(インバウンド)の集客でした。 

ターゲットの行動分析に基づき、Instagramに加えて中華圏で絶大な影響力を持つ「小紅書(RED)」を導入。言葉による説明よりも、シズル感あふれる料理動画や、店内の雰囲気が直感的に伝わるビジュアル重視のコンテンツを投稿しました。 その結果、外国人来店数が40%アップ。「SNSを見て来た」という指名来店が連日続くようになり、確かな集客効果を実証しました。

海外運用で陥りがちな5つの落とし穴と回避策

どんなに良いコンテンツを作っても、運用方法を間違えると効果は半減してしまいます。ここでは、多くの企業がつまずきやすいポイントとその対策をご紹介します。

1. 「直訳」が生む違和感

機械翻訳や直訳に頼りすぎると、文法は正しくても「現地の人が使わない不自然な表現」になりがちです。ブランドの想いを正しく届けるためには、単なる翻訳ではなく、現地のニュアンスを理解したネイティブスピーカーによるライティング、あるいは監修が欠かせません。

2. 文化的背景への配慮不足

日本では当たり前の表現やジェスチャー、色が、海外では宗教や歴史的な理由からタブーとされるケースがあります。知らずに投稿して炎上やブランド毀損を招かないよう、投稿内容は必ず現地視点を持ったスタッフがチェックする体制を作りましょう。

3. 時差による「見られない投稿」

日本のオフィスアワーに合わせて投稿すると、地球の裏側のターゲット国では深夜になってしまうことがあります。ユーザーが最もアクティブな時間を狙わなければ、投稿はタイムラインに埋もれてしまいます。現地のゴールデンタイムに合わせた「予約投稿」の活用は必須です。

4. コミュニケーションの一方通行

情報を投げっぱなしにして、コメントやDMを放置していませんか? 海外ユーザーはブランドとの対話を好む傾向にあります。反応がないとファンはすぐに離れてしまうため、多言語で迅速に返信できる体制を整え、双方向のコミュニケーションを大切にしてください。

5. 短期的な成果への焦り

SNSマーケティングは、広告のように即効性があるものではありません。信頼関係を築き、ファンを育てるための活動です。「すぐに売上が上がらない」と焦るのではなく、最低でも半年から1年という中長期的な視点で、じっくりとブランドを浸透させていく姿勢が必要です。

海外向けSNSマーケティングの成功には、単なる「翻訳」を超えた「ローカライズ」の視点が欠かせません。ターゲット国の文化を理解し、適切なプラットフォームで、現地のユーザーに響く言葉を届けることが大切です。

海外向けSNS運用ならIGNITEにお任せください

ここまで解説してきた通り、海外市場に向けたSNS運用には専門的な知識とリソースが不可欠です。「自社だけで運用するのは難しい」「何から始めればいいかわからない」とお悩みなら、ぜひIGNITEにご相談ください。

IGNITEでは、戦略の立案から日々の運用、そして効果測定までをワンストップでサポートしています。最大の特徴は、バイリンガル・ネイティブスタッフによる制作体制です。単なる翻訳ではない「現地の心に響くコンテンツ」を作り出すことで、御社のブランド価値を最大化します。

インターナショナルスクールや外資系企業様をはじめとした豊富な支援実績があり、英語でのレポーティングやミーティングも可能です。社内にノウハウやリソースがない場合でも、パートナーとして伴走いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事を監修した人
Moeko M
コンテンツマネージャー
ライティング、SEO、SNS運用などコンテンツに関連するあらゆることを統括。英語コンテンツも対応。
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