海外向けプレスリリースの配信方法やポイントについて

海外向けプレスリリースの配信方法やポイントについて

海外市場への進出や海外顧客の獲得を目指す企業にとって、海外向けのプレスリリース配信は重要な広報戦略の1つです。自社の商品やサービスをより多くの人に知ってもらえるチャンスや海外で取り上げられれば、日本での話題性にも繋がります。
しかし、海外向けプレスリリースの配信には、言語や文化の違いや配信先の選定、各国の法規制といったような国内向けプレスリリースとは異なる点が多数存在します。
今回の記事では、そういった海外向けプレスリリースの特徴や配信方法、ポイントや注意点、最後にはおすすめの海外向けプレスリリース配信サイトについてご紹介します。

海外向けプレスリリースと国内向けプレスリリースの違いとは?

海外向けプレスリリースを配信する際には、配信先や翻訳、構成や表現などの違いについて理解し、それぞれの国や地域に合わせた対応が求められます。それでは、国内外でのプレスリリースの違いを詳しく見てみましょう。

配信先の違い

国内向けプレスリリースは主に国内メディアが配信先ですが、海外向けは各国・地域のメディアに配信する必要があります。そのため、配信先が多岐に渡り、それぞれのメディアの特性を踏まえた対応が重要です。
アメリカでは、2ページ程度の記事に1〜2枚の画像を使うのが一般的ですが、ヨーロッパではページが長すぎると敬遠される傾向にあります。下記の図でもわかるように、画像の必要性やウェブサイトのリンクの使用についても、必須の場合とそうでない場合など国によって考え方が異なるため、注意が必要です。

国別プレスリリースのフォーマットの違い
参考元:Ultimate global press release guide - Enterie

このような違いを踏まえて、ターゲットとする国や地域に合わせて作成・配信するようにしましょう。

翻訳とローカライズの重要性

海外向けプレスリリースでは、単なる翻訳ではなく、現地の言葉の表現やニュアンスに合わせたローカライズが不可欠です。特に、和製英語や業界用語、地域特有の言葉は日本だけではなく、海外にも存在します。
例えば、伝統芸能の茶道を説明する場合に、茶道で使用される道具の名前などは海外人には馴染みがないものばかりです。お茶を泡立てる茶筅は「Chasen」と記載しても理解が難しいため「Tea whisk(お茶の泡立て器」と表現したり、茶杓「Chashaku」を「Teascoop(お茶を掬うもの)」といったように表現します。

翻訳とローカライズの重要性について、茶道で使用する英単語

AI翻訳や直訳だけではなく、こういったネイティブスピーカーによる確認を行って自然な文章にすることで現地メディアに受け入れられやすくなります。

構成や表現の違い

プレスリリースの構成やルールは、その国や地域によって異なります。例えば、中国や台湾では、製品やサービスの宣伝するような表現が多くみられる傾向にあり、対照的にアメリカでは、ニュース原稿のようなスタイルのジャーナリスティックな記述が求められる傾向にあります。
こうした各地域の特性を理解し、適切な構成や表現を心がける必要があります。

海外向けプレスリリースの配信手段

海外向けプレスリリースの配信手段には、大きく分けて3つの方法があります。早速、それぞれの配信手段について詳しくご紹介します。下記を踏まえて、自社の状況に合った適切な配信手段を選択しましょう。

プレスリリース配信サービスを利用する

1つ目は、海外向け配信に特化したサービスを活用するという方法です。プロが翻訳からメディアリストの作成、配信までをワンストップで行えるため、手間を大幅に省けます。
また、現地の言語や文化に精通したネイティブスタッフが対応してくれるので、ローカライズはもちろん効果的な情報発信が可能です。グローバル展開を加速させるには、プロの力を借りることは最適な選択とも言えます。

自社で現地メディアを調べて直接配信する

自社で現地のメディアリストを作成し、各メディアに直接プレスリリースを送付する方法もあります。メディアリストには、適切なメディアの選定、詳細情報や連絡先の記載、情報を更新するといった工程を要します。

Excelシート:現地メディアリスト
参考元:How to Build a Killer Media List: Best Tools & Examples for 2024

また、これには現地の言語や商習慣に精通した担当者が必要になります。うまくいけば自社の意図を正確に伝えられ、費用を抑えられるメリットがありますが、メディアとの関係構築に時間がかかります。成功させるには、ノウハウの蓄積と継続的な取り組みが必須事項となります。

現地の社員や代理店に依頼する

現地の社員や代理店に依頼する方法のメリットは、言語や文化の壁がなく、現地事情に精通しているため、ターゲットに合わせた効果的な広報活動が可能なことです。現地ならではの視点とネットワークを活かし、適切なメディアの選定やコンテンツの制作、タイムリーな情報発信ができます。
その一方で、本社との連携を密にし、ブランドイメージの統一や情報の一元管理に留意する必要があります。自社の方向性をしっかり理解した優れた人材や代理店の確保が成功の鍵と言えるでしょう。

海外向けプレスリリースの配信手順

海外向けプレスリリースの配信手順は、作成や配信先の選定、申し込むから掲載確認など大きく4つのステップに分けられます。各ステップで必要な作業を着実に進めることが、効果的な配信に繋がります。
このセクションでは、海外向けプレスリリースの配信手順のステップを具体的に解説します。

ステップ1. リリース原稿の作成

初めに、ターゲット国や地域に沿った海外メディアに最適化した原稿を作成します。読者に伝わりやすい簡潔な文章と明確な構成を心がけ、英語や現地語に翻訳します。翻訳する際には、必ずネイティブスピーカーによるチェックのフローを入れて、誤訳やニュアンスの違いから発生する問題を未然に防ぎます。
万が一、原稿がない場合は、当社で作成するか、専門の代行会社に依頼することで高品質な原稿を用意します。

ステップ2. 配信先の選定

配信先の選定では、ターゲットとする国や地域、商品やサービスのジャンルを考慮して最適な媒体を選ぶことが重要です。配信サービスのパッケージを利用すれば効率的ですが、自社配信の場合は現地メディアリストの作成が必要不可欠となります。リーチ力や影響力を見極め、プレスリリースが最大限の効果を発揮できる配信先を見極めましょう。

ステップ3. 配信申し込み

プレスリリースを配信するには2つの方法があります。配信サービスを利用する場合は、マイページ上で申し込みを行います。企業情報や商品、サービスのカテゴリーなどを入力し登録を進めていきます。

アットプレスの新規会員登録ページ
参考元:新規会員登録|プレスリリース配信サービス【アットプレス】

一方、自社配信の場合は各メディアに個別でDMを送付する必要があります。この作業は、海外向け配信サービスを利用すれば手間が省けますが、自社で配信する場合には、狙ったメディアにダイレクトにアプローチできるでしょう。自社のプレスリリースの配信目的に合わせて適切な方法を選択しましょう。

ステップ4. 配信と掲載確認

プレスリリースを配信した後は、メディアへの掲載状況を確認することが重要となります。掲載された媒体名や掲載日時、掲載された文章などを把握しておきましょう。
一部のプレスリリース配信サービスでは、掲載調査レポートを提供しているのでそれを活用する方法もあります。掲載状況を確認することで、プレスリリースの効果を測定することができ、問題の分析・改善に繋げることが出来ます。

海外向けプレスリリースを配信する際のポイントや注意点

海外向けプレスリリースを配信する際は、言語や文化の違い、適切なタイミングと配信先の選定、現地の規制や法令の確認などの様々な点に注意が必要です。ここからは、そうしたポイントや注意点をご紹介します。

言語と文化の違いに注意する

海外向けプレスリリースを配信する際は、言語の正確性だけでなく文化的な違いにも配慮が必要です。宗教的タブーや現地の慣習を踏まえ、不適切な表現を避けましょう。また、ユーモアは国によって受け取り方が異なるため慎重に扱います。
例えば、化粧品などの販売の際に肌の色に関する文言を入れるとします。日本では、肌が白いと美しいといったイメージを持った人が多くいますが、海外では、少しこんがり焼けている方が綺麗と感じる人やその表現に対して不快に感じる人もいます。
このように、ターゲットとする現地の感覚を理解し、配慮のある言葉選びを心がけることが肝要です。

適切なタイミングと配信先を選ぶ

海外向けプレスリリースを配信する際は、現地の祝日やイベントと重ならないよう配信日時を慎重に選びます。自社で配信したプレスリリースと競合他社のイベントや祝祭日が重なってしまうと、話題が分散してしまい思ったような結果にならない可能性があります。

海外の主な祝日や連休(アメリカ、中国、韓国、イギリス)

また、配信先メディアが自社との親和性が高く、現地で影響力があるかを入念に確認することが肝要です。適切なタイミングと配信先の選定が、プレスリリースの効果を最大化するポイントと言えるでしょう。

現地の規制や法令を確認する

海外向けに情報を配信する際は、現地の規制や法令を入念に確認することが重要です。広告表現や製品・サービスの提供可否は国によって大きく異なります。
万が一、規制に抵触するとブランドイメージの低下やビジネスへの悪影響を招きかねません。リリース内容が現地のルールに適合しているか、事前の確認を怠らないようにしましょう。

信頼性を高める工夫をする

海外向けプレスリリースを配信する際は、現地の有力メディアに掲載された実績を引用することで信頼性を高めることができます。また、現地の有名人やインフルエンサーとのタイアップを行うことで、ターゲットとする層へのリーチを広げ、ブランドイメージの向上にも繋がります。
信頼できる情報源からの裏付けを得ることが、海外でのプレスリリース配信では重要なポイントです。

効果的な訴求ポイントを設定する

海外向けプレスリリースでは、現地のニーズや課題を深く理解し、それに合わせて自社の商品やサービスの魅力を訴求することで効果的にプレスリリースを活用できます。
また、競合他社との違いを明確にし、自社の独自性をアピールすることも現地市場に浸透させる方法の1つです。現地の文化や価値観を尊重しつつ、的確なメッセージを発信しましょう。

配信サイトを使用しプレスリリースを配信する必要性について

企業が重要なニュースを発信する際、信頼性の高いプレスリリース配信サイトを利用することが不可欠です。具体的に例を挙げると、アメリカでは、主要メディアが広報通信社経由のリリースしか受け取らないケースが増加しています。これは、証券取引委員会の情報開示規則に基づくものです。
配信サイトを介することで、情報の信憑性が担保され、メディアに取り上げられる可能性が高まります。また、適切なタイミングで一斉に配信できるため、情報の拡散力も格段に上がります。企業の信頼性やブランドイメージを高め、コミュニケーションを円滑にするためにも配信サイトの活用は必須と言えるでしょう。

おすすめの海外向けプレスリリース配信サイト

海外向けプレスリリースの配信には、様々な配信サイトが利用できます。ここでは、おすすめの配信サイトをいくつか紹介します。

PR TIMES

PR TIMESトップページ
参考元:PR TIMES サービス紹介|プレスリリース・ニュースリリースNo1配信サイト

PR TIMESは、プレスリリースの配信に特化した国内シェアNo.1のサービスです。上場企業の38.14%が利用しており、企業の情報発信や集客活動に大きく貢献しています。
幅広いメディア網とSNSでの高い拡散力が特徴です。Facebookでは、12万7,000以上のいいね、Twitterで14万7,400人以上のフォロワーを持ち、全国紙や大手ポータルサイトなどパートナーメディア、月間1億PVを超えるメガメディアなど様々です。
PR TIMESのデメリットとして、掲載基準が具体的に定められていない不明確さやサポートの質のばらつき、新機能へのフィードバック不足などが挙げられますが、リリース配信先は幅広い媒体から自由に選定でき、自社のメディアリストのインポートや自動抽出・選定機能など、利便性の高さは、大きなメリットと言えるでしょう。

共同通信PRワイヤ

共同通信PRワイヤトップページ
参考元:日本発のプレスリリース

共同通信PRワイヤは、世界最大級のプレスリリース配信網を活用し、企業や行政の情報を海外メディアに効果的に発信できるサービスです。200以上の国と地域、数千のメディアに向けて多言語でリリースを配信できるため、海外での認知度向上に大きく貢献します。

料金は、約20万円からと少し高額ですが、影響力の高い海外メディアに確実にリーチできるため、コストに見合った効果が期待できます。また、キャンペーンや資料ダウンロードへの誘導リンクを設置することで具体的なアクションを促すことも可能です。
共同通信PRワイヤは、海外進出を目指す企業にとって認知向上とビジネス拡大の有力な手段と言えるでしょう。

@press

@pressトップページ
参考元:プレスリリース配信サービス【アットプレス

@pressは、世界150カ国、92,000以上のメディアに配信可能なプレスリリース配信サービスです。多数のメディアの中から最適な配信先を選定・配信し、日本語または英語の原稿を用意すれば、スタッフが翻訳し最短1営業日で配信します。
専任スタッフがお客様のニーズを丁寧にヒアリングし、海外メディアに最適化されたプレスリリースを作成します。なので、自社にプレスリリースの専門知識がなくても安心して海外向けのプレスリリース配信に取り組むことができます。

料金は、初期費用無料で例としてアメリカに配信する場合の費用としては、75,000円からとなっています。配信料金が比較的高い点がデメリットとして挙げられます。ですが、プレスリリースの校正から最適配信先の選定まで専属スタッフが対応し、マスメディアを中心に幅広いメディアへの露出が期待できるサービスとなっています。

News2u

News2uトップページ
参考元:Accurately conveying Japan, present and future, to the world. | News2u Holdings Corporation

News2uは、日本のニュースを世界に発信することを使命とし、国内最大級のニュースリリースポータルサイトとして毎日50件以上のリリースが掲載され、タグやコメント機能によりユーザーが情報を共有・発信できる場を提供しています。
また、「News2u ソーシャルメディアバインダー」では、企業のPR活動をソーシャルメディアと連携、リリースの書き方や画像選びなど効果的なPR活動のノウハウを提案するといった支援を行っています。

基本料金は、25,000からですが3回分をまとめて契約をするとお得になるなどのキャンペーンを行なっています。News2uは、日本発の情報を世界に発信するポータルサイトとして、企業のPR活動を支援する様々なサービスを提供しています。

KARTZ

KARTZトップページ
参考元:カーツメディアワークス

KARTZは、プレスリリースの発信だけでなく、オンライン記者会見やウェビナーなど多様な広報ツールを組み合わせて活用しています。また、マスメディア対応とソーシャルメディア活用を統合した広報戦略を得意としており、テレビ露出の実績も豊富です。
海外向けのPR・マーケティングにも対応し、海外展開する企業のプレスリリース発信をサポートしています。さらに、インフォグラフィックスの専門チームを有し、プレスリリースにビジュアルコンテンツを付加することで、よりインパクトのある情報発信を可能にしています。
一方で、多岐にわたるサービスを提供している分、専門性や対応力が分散してしまう可能性もあり、アメリカへの配信の場合の料金は79,800円からとさほど安くはないですが、従来のプレスリリース発信に留まらず、多角的なアプローチで企業の広報活動を支援が可能という点では、強みと言えるでしょう。

Dream News

Dream Newsトップページ
参考元:ドリームニュース

Dream Newsは、世界160カ国以上に及ぶ幅広い配信ネットワークを持ち、AP通信やロイター通信など60以上の通信社とのメディアリレーションを通じて、エリア別・業種別のターゲット配信を可能にしています。また、主要なWebサイトやTwitter、200以上の米国テレビニュースサイトへの配信も行っています。
多様な配信オプションとして、画像や動画付きのスマートニュースリリースや、日本語から英語への翻訳サービスも有料で提供しています。価格面では、国内プレスリリース配信の最安値水準であり、30日間何度でも配信できる定額1万円のプランが魅力的です。プレスリリース作成セミナーなども開催されており、サービスの充実度が高いことが伺えます。
一方で、有料オプションの料金体系や配信先メディアの詳細、グローバル配信における言語対応の範囲や翻訳クオリティーの保証については、十分に確認して進めていくと良いでしょう。

まとめ:海外プレスリリース配信の成功のカギ

海外向けプレスリリースの配信は、言語や文化、法規制や海外メディアの傾向など国内向けとは異なる様々な点に注意が必要です。配信先の選定、現地の規制や法令の確認などの事前の準備と対応が重要となります。自社の状況に合わせて適切な配信手段を選択し、効果的な訴求ポイントを設定することで、海外メディアに取り上げられる可能性が高まります。
しかし、これら全てを完璧に網羅することが難しい場合は、やはり英語のプレスリリース配信サイトや専門家、プロに依頼や相談することをおすすめします。海外市場の開拓や海外顧客の獲得を目指す企業は、海外向けプレスリリースの重要性を理解し、戦略的に活用していくことが求められます。弊社では、海外向けプレスリリースのあらゆる調査や企画、プレスリリース用原稿作成などをサポートしております。自社の強みを最大限に活かしたプレスリリースを作成して、海外進出に向けた第一歩としてぜひ弊社のサービスをご活用ください。

この記事を監修した人
Daisuke K
マーケター、CMO
2021年にCMOとしてIGNITEのへの参加を果たした。以前からマーケティング業界での勤務経験を有し、IGNITEでは海外市場向けのマーケティング戦略を展開している。あらゆる国や地域からの、BtoB、BtoC案件を総監し、海外進出を検討する日本国内の企業から、日本への参入を希望する海外企業までのサポートを行っている。
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