SNSを活用したインバウンド集客のコツ!事例から学ぶ戦略のポイント

SNSを活用したインバウンド集客は、現代のデジタルマーケティングにおいて欠かせない戦略です。効果的な海外向けSNSマーケティングにより、潜在顧客との関係性構築やブランド認知度向上、売上増加が期待できるでしょう。
しかし、成功するためには明確なターゲット設定とニーズに合ったコンテンツ提供、各プラットフォームに適した戦略が重要となります。自社に最適なSNSの活用方法を選定するには、どうするべきでしょうか。
そこで、今回の記事ではSNSインバウンド集客のコツを事例と共に解説します。

インバウンド集客にSNSが効果的な理由

最近では、旅行者の多くがSNSで情報収集し、世界中のインフルエンサーが情報を発信をしています。現地の生の声は、信頼度が高く共感を呼び、そうした魅力的な投稿は外国人ユーザーの興味を集めることができるため、自社の地域へ誘導することができるでしょう。
このセクションでは、なぜインバウンド集客にSNSが効果的なのかの理由についてご紹介します。

訪日外国人の主な情報収集の手段がSNSであるため

1つ目に挙げられる理由としては、多くの外国人の情報源となっているのがSNSとされているためです。
観光庁の調査によると、訪日外国人が旅行前に役立った情報源として「日本在住の親族・知人」22.8%に次いで、「SNS」21.9%が挙げられています。また、英語での発信が役に立ったと回答している外国人も約60.8%いました。

国土交通省観光庁:訪日外国人の消費動向
参考元:国土交通省観光庁

この結果から、SNSは外国人観光客の重要な情報収集源となっていることが分かります。

情報が拡散されやすく認知度向上に繋がりやすい

SNSでは個人の体験談や感想が拡散されやすく、多くの人の話題になりやすいため、認知度が向上するという理由もあります。これは、顧客からの企業のイメージが出来上がるため、ブランディングにも繋がります。
特に、15秒〜3分の短尺動画に特化しているTikTokでの発信が、仕事へ行くまでの通勤中や隙間時間などに情報を得ることができるため気軽に視聴でき、拡散しやすいとされています。

ターゲットオーディエンスとの直接的なコミュニケーションが可能

SNSの普及により従来の一方的な情報発信だけではなく、双方向のコミュニケーションができることもメリットと言えます。SNSを通じて、ターゲットの声をリアルタイムで得ることができるため、ニーズや好みを素早く理解し、それに応じたコンテンツや製品・サービスを提供することが可能です。
このようにSNSは、企業とターゲットオーディエンスとの距離を縮め、より強固な関係性を築くための強力なツールと言えるでしょう。

ハッシュタグを活用することで情報を見つけやすい

ハッシュタグは、情報を検索する際の重要なツールとなっています。特に、InstagramやX(旧:Twitter)では多くのユーザーがハッシュタグを活用して、興味のあるトピックや情報を探すことが一般的です。
外国人向けのマーケティングにおいても、適切なハッシュタグを選択し、投稿に組み込むことで、ターゲットの目に留まりやすくなります。今やハッシュタグは、国境を越えた情報発信と獲得に欠かせない存在となっています。

SNSを活用したインバウンドのポイント

SNSを活用してインバウンド集客を行う際には、日本向けとは異なるいくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、そのポイントについて詳しくご紹介します。

ターゲットのニーズや問題解決の把握

まずは、ターゲットとなる外国人観光客のニーズや抱えている問題を的確に把握することがとても重要となります。旅行先に何を求めているのか、現地でどんな情報を必要としているのかを深く理解することで、共感を呼ぶ価値ある情報を提供できます。
観光局の分析によると、インバウンド観光客の訪日目的はコト消費では、「特産物の飲食」や自然景勝地の観光」、モノ消費では、「食品」や「趣味」と回答する人が多い傾向にあることが分かります。

国土交通省観光庁:訪日外国人旅行者の消費動向と ニーズについて
参考元:国土交通省観光庁

こうしたターゲットのニーズを明確に捉え信頼関係を築くことで、自社で発信するSNSコンテンツに繋がる可能性が高くなります。

地域に関連したコンテンツやプラットフォームの選択

ターゲットの国や地域で人気の出やすいコンテンツを制作し、SEO対策を行うことで効果的にリーチを広げることができます。ターゲットが利用しているSNSプラットフォームを適切に選択することも大切です。
例えば、イギリスの若年層にアパレルブランドの商品を発信しようと検討する場合には、Instagramが有効と言えます。下記の図を見ると、イギリスの25〜34歳の間でInstagramが、広く普及していることが分かります。

Statista:イギリスの年齢別Instagram普及率
参考元:UK Instagram users by age group 2024 | Statista

ネイティブチェックの実施

言語や文化の違いを考慮し、ターゲットに合わせたコンテンツを提供することが求められます。画像やテキストでの投稿の場合には、ネイティブチェックを実施し自然な表現で伝えるようにしましょう。
特に、InstagramやX、Facebookは画像とテキストがメインになるSNSは、注意が必要です。ビジュアルコンテンツは国や宗教によっても、捉え方が異なります。例えば、中国ではコウモリは縁起がいいものとして知られていますが、西洋文化ではあまりいいイメージではなく、悪魔のような印象を持っている人が多くみられます。

国や宗教によって異なるタブーや禁止事項

こういった理由からトラブルになる可能性もあるため、異文化を持つ外国人に向けて発信する際には、ネイティブチェックを心がけると良いでしょう。

インフルエンサーの起用

ターゲットの国や地域で影響力のあるインフルエンサーを起用することで、情報の拡散力を高めることができます。予算的にも余裕があるのであれば、信頼できるインフルエンサーとのコラボレーションを検討してみてください。
実際に、mediakixの調査によると約80%のマーケターがインフルエンサーによるPRは、効果があると答えています。

インフルエンサーの影響力の調査
参考元:80% of marketers find influencer marketing effective | Smart Insights

ターゲット国によって、人気のあるインフルエンサーが異なるため国や地域に合わせて、適切な人選をすることが重要となります。

継続的な投稿と分析と改善

SNSでの情報発信は、結果が出るまでに時間がかかることが多いため、継続性が鍵となります。一時的な投稿では、フォロワーとの関係性を築くことは難しく、定期的に価値ある情報を提供し、フォロワーとのエンゲージメントを高めていくことが重要です。
また、投稿の反応を丁寧に分析することでフォロワーのニーズや嗜好を理解し、より効果的な投稿内容や時間帯を見出すことができます。PDCAサイクルを回しながらSNS運用を改善し、長期的な成果に繋げていきましょう。

インバウンド向けのSNS運用時の注意点

​​インバウンド集客のためのSNS活用には、いくつかの注意点もあります。未然にトラブルを防止するためにも、しっかり準備しておきましょう。

価値提供と情報共有

SNSを利用してインバウンドを促進する際には、単なるプロモーションや広告ではなく、価値あるコンテンツを提供することが重要です。外国人観光客にとって有益な情報を発信し、共有することを心がけましょう。
投稿やカスタマーサポートを英語など主要言語で提供し、翻訳の精度を高めることで、外国人ユーザーとのコミュニケーションを円滑にします。また、特定の文化や宗教に配慮したグローバルな視点でのコンテンツ作成にも工夫が必要です。
さらに、現地の観光情報など外国人ユーザーにとって価値ある情報の発信も効果的です。ユーザーの興味やニーズに合った広告を適切なタイミングで配信することで、効果的なプロモーションが可能になります。外国人ユーザーの視点に立ったSNS運用を心がけることが、インバウンド集客の鍵となるでしょう。

顧客とのコミュニケーション

インバウンド向けのSNS運用では、顧客とのコミュニケーションもとても重要となります。コメントや質問には迅速かつ丁寧に返信し、顧客の声に耳を傾けましょう。
双方向のやり取りを通じて信頼関係を築き、顧客のニーズを把握することで、サービスの改善につなげていきます。また、文化や言語の違いに配慮しつつ、ブランドの個性を活かした発信を心がけることが大切です。

一貫性の維持

ブランドの一貫性を維持することが非常に大切です。ターゲットとする国や地域の文化や嗜好に合わせたメッセージやトーンを設定することが求められます。
また、定期的かつ一貫した投稿を行うことで、フォロワーとの信頼関係を築くことができ、ブランドへの親近感を高めることができます。ブランドのデザインやテキストなども統一し、ロゴやカラーを効果的に活用することでブランドの認知度向上に繋げることを意識しましょう。
異なる文化圏に向けて発信する際は、現地スタッフとの連携やネイティブチェックを行うことで、文化的な感覚のずれを防ぐことができ未然にトラブルを回避できます。

プラットフォーム別運用ポイント

各SNSプラットフォームには、それぞれ特徴があります。ターゲットや目的に合わせて、適切なプラットフォームを選択し、戦略を立てることが大切です。

BtoB

【LinkedIn】

LinkedInは、ビジネス特化型SNSとなっており、業界の最新情報や専門的な記事を発信し、潜在顧客とのリレーション構築を目指します。正確な情報からターゲットを絞ったアプローチが可能です。

BtoC

【Instagram】

Instagramは、写真や動画を中心とした視覚的訴求力の高いSNSです。商品やサービスのイメージを印象付け、ブランド認知度向上に効果的なSNSと言えます。拡散には、ハッシュタグ活用がポイントとなります。

【TikTok】

TikTokは、10代〜20代の若者に人気の動画共有アプリとされています。音楽に合わせた短尺動画で、商品やサービスを楽しく紹介できます。若年層向けに発信するには、バズるコンテンツ作りがカギとなります。

【Youtube】

YouTubeは、幅広い層に支持される動画プラットフォームで世界的に普及しています。商品紹介や使い方、ブランドストーリーなど、目的に合わせた動画を制作・配信し、認知拡大や購入促進を図ることができます。

どちらも

【Facebook】

 Facebookは、世界的に老若男女問わず利用されている最大級のSNSです。ターゲットに合わせた情報発信や広告運用で効率的なリーチ獲得が可能で、さらにコミュニティ形成にも有効とされています。

【Twitter】

Twitterはリアルタイム性が特徴のSNSで有名です。旬な話題やトレンドを取り入れたツイートで、ユーザーとの対話を促進します。インフルエンサーとのタイアップで商品やサービスの PRを行うのも効果的と言えます。

成功事例から学ぶSNSを活用したインバウンド戦略

実際にSNSを活用してインバウンド集客に成功している企業の事例を見てみましょう。
今回は、「Visit Kochi Japan」と「加賀屋」の事例をご紹介します。

SNSを活用した企業の事例紹介 1. Visit Kochi Japan

高知県の外国人向け観光情報サイト「Visit Kochi Japan」は、戦略的なSNS活用によりインバウンド需要の獲得に成功しています。
高知県ではFacebook、Instagram、YouTubeなど複数のSNSを駆使し、高知の魅力を多言語で発信しています。特に、Facebookのフォロワーは29万人を突破する人気ぶりです。現地在住の英語ネイティブライターによる記事や写真、訪日外国人へのヒアリングデータを活かした投稿が共感を呼んでいるようです。

【Visit Kochi JapanのFacebookアカウント】

Visit Kochi Japanのウェブサイト
参考元:Visit Kochi Japan

さらに、人気インフルエンサーとのコラボ動画による視覚的訴求や一般的な「#Japan」や「#travel」といったようなハッシュタグの活用など、SNSの特性を理解した多角的アプローチが功を奏しています。

【Visit Kochi JapanのYoutubeアカウント】

VISIT KOCHI JAPANのYouTubeページ
参考元:VISIT KOCHI JAPAN - YouTube

【SNS】

SNSを活用した企業の事例紹介 2. 加賀屋

石川県の老舗旅館「加賀屋」は、Instagramを中心にSNSを活用し、外国人観光客の集客に力を入れています。美しい写真と分かりやすい文章で旅館の魅力を伝える投稿は、多くの「いいね!」やコメントを集め、注目度を高めています。
また、ハッシュタグを活用したキャンペーンで話題を呼ぶとともにX(旧:Twitter)やTikTokなどの公式アカウントからタイムリーな情報や魅力的なビジュアルを発信しています。

【加賀屋の中国向けInstagramアカウント】

日勝生加賀屋國際溫泉飯店のInstagramアカウント
参考元:日勝生加賀屋國際溫泉飯店(@beitoukagaya) • Instagram photos and videos

これらの取り組みにより、加賀屋はインバウンド客の関心を効果的に引きつけ、集客促進に成功していると言えるでしょう。

【SNS】

上記でご紹介した2つの事例以外にも、インバウンド戦略での成功事例を分析・比較することで、自社に最適なマーケティング戦略を見つけることができるでしょう。

まとめ:SNSを活用したインバウンド集客戦略を成功させるにはターゲットの理解と最適化がカギ

SNSを活用したインバウンド集客戦略を成功させるには、ターゲットとなる外国人観光客のニーズや好みを深く理解し、それに合わせたコンテンツや情報を最適化して提供することが重要となります。
また、継続的な情報発信と分析・改善を行い、顧客とのコミュニケーションを大切にすることも欠かせません。お問い合わせやカスタマーサポートを多言語化するなどして、顧客のニーズを的確に把握しましょう。今回の事例で紹介したように、SNSを効果的に活用することでインバウンド集客の大きな成果を上げることが可能です。
ぜひ、自社のインバウンド戦略にSNSを取り入れ、外国人観光客の心を掴むコンテンツを発信することを検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を監修した人
Daisuke K
マーケター、CMO
2021年にCMOとしてIGNITEのへの参加を果たした。以前からマーケティング業界での勤務経験を有し、IGNITEでは海外市場向けのマーケティング戦略を展開している。あらゆる国や地域からの、BtoB、BtoC案件を総監し、海外進出を検討する日本国内の企業から、日本への参入を希望する海外企業までのサポートを行っている。
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