訪日外国人の増加に伴い、SNSを利用してのインバウンド戦略の重要性が高まっています。その中でも、インスタグラムは視覚的な訴求に強みがあるため、様々な言語や国籍の壁を超えて共有ができるといった点で訪日外国人への情報発信に欠かせないツールとなっています。
この記事では、インスタグラムで訪日外国人向けに効果的に発信するためのポイントを解説します。
インスタグラムを運用する重要性について
インスタグラムは、世界中のユーザーに利用されている人気のSNSプラットフォームです。特に、訪日外国人の間では、旅行先の情報収集にインスタグラムが積極的に活用されています。ここでは、訪日外国人向けにインスタグラムを運用する重要性について詳しくご紹介します。
様々な国籍のユーザーが利用している
インスタグラムは、世界各国で幅広い年齢層のユーザーに利用されています。2024年4月時点では、全世界でインスタグラムの月間アクティブユーザー数は、約20億人以上を突破しており、国別に見ると1位にインド、2位にアメリカ、3位にブラジルの順で多くの人に利用されています。
参考元:Instagram Users by Country (2024)
また、日本政府観光局の調査によると、訪日外国人の約70%がインスタグラムを利用して情報を得ており、特に下記の図からアメリカやアジアからの旅行者の利用率が高いことがわかります。こうした分析からも訪日外国人への情報発信にインスタグラムが有効であると言えます。
参考元:【訪日外国人トレンド調査】 訪日前の情報収集、アジアはFacebook・アメリカはYouTube
ビジュアルメインの情報発信が可能
インスタグラムの最大の特徴は、写真や動画を中心としたビジュアルコミュニケーションが可能と言うところです。言語の壁を越えて、美しい写真や魅力的な動画で日本の魅力を訴求することができます。テキストベースの情報発信では伝えきれない日本の文化や雰囲気を視覚的に伝えることで、訪日意欲を高めることが期待できるでしょう。
また近年では、インフォグラフィックの需要が高まっています。テキストから情報を収集するよりも、画像などから情報を確認する方が増えており、それはもちろん日本人のみならず海外の方も同様の傾向が見られます。
例えば、イベント情報についても、テキストベースで発信するのではなく、テキストを画像を入れ込み画像作成をすることで、多くの方に見てもらうことができ、結果的に集客にも繋がります。
てっとり早く、かつ理解しやすいコンテンツを通し情報収集をすることができるインスタグラムは、ユーザーにとって利便性が高いと言えるでしょう。
訪日外国人向けインスタグラムの運用ポイント
効果的に訪日外国人にアプローチするには、戦略的にインスタグラムを運用する必要があります。ターゲットの明確性や配信するコンテンツへの工夫などは欠かせないでしょう。それでは、そんなインスタグラム運用のポイントについてご紹介します。
ターゲットを明確にする
インスタグラムを運用する上でどんな国籍のどのような属性の外国人旅行者にアプローチしたいのかを明確にすることが重要となります。ターゲットとする国籍、年齢、性別によって使用する言語や投稿内容を変えたり、ローカライズする必要があるためです。そこで、年齢層や興味関心、旅行スタイルなども具体的に考慮しやすいようにペルソナを設定することをおすすめします。例えば、以下のように作成します。
- 名前:ジョン・スミス
- 年齢:28歳
- 国籍:アメリカ合衆国
- 職業:エンジニア
- 旅行の目的:日本食と文化体験
- 滞在期間:2週間
- 予算:高め(食事やアクティビティにコストをかけたい)
- 興味:京都の寺院、東京のナイトライフ、温泉、伝統的な茶道体験、富士山登山
- 行動パターン:SNSで事前にリサーチし、インスタグラム映えするスポットを巡る
- 情報収集手段:インスタグラム、Pinterest、YouTubeの旅行Vlog
このように詳細なペルソナ作成をすることで、より効果的な戦略起案やコンテンツ作成を行なうことができます。
作成・配信するコンテンツの方向性を定める
投稿するコンテンツのコンセプトを決めることもとても大切です。商品やサービスの魅力をどのように伝えていくのか、投稿頻度はどの程度にするのかなど綿密な戦略を立てましょう。また、ターゲットに合わせてコンテンツの方向性を柔軟に変化させることも重要です。
効果的な投稿のポイント
インスタグラムで訪日外国人の心を掴むには、投稿内容や方法にもコツがあります。ここでは、効果的な投稿のポイントをいくつかご紹介します。
魅力的な写真と動画
インスタグラムで重要となるのが投稿する写真や動画のクオリティです。日本の美しい景色、伝統文化、美味しい食べ物、ユニークな体験など外国人の興味を引く要素を高画質で魅力的に撮影しましょう。その際、何を伝えたいのかを明確にした上でそれが伝わるアングルや構図を意識することが大切です。
例えば、日本政府観光局(JNTO)が運営しているインスタグラムでは、日本の魅力が一目瞭然で伝わるような写真が投稿されています。これにより、「この場所へ足を運んでみよう」という意欲を引き出すことに繋がります。
参考元:Visit Japan International (@visitjapanjp) • Instagram photos and videos
多言語対応
訪日外国人向けのインスタグラムでは、多言語対応が欠かせません。投稿やハッシュタグは、英語を基本としつつ、ターゲットとする国籍の言語でも作成するとよりアクセスしてもらいやすくなります。また、海外向けに運用する場合には日本のアカウントではなく、海外向けのSNSマーケティングの基本として、英語専用のアカウントを作成することをおすすめします。多言語対応だけでなく、ターゲットに合わせて投稿内容や画像、ハッシュタグも変化させることで訪日外国人にも魅力を伝えやすくなります。
地域情報の発信
外国人旅行者の多くは、日本のローカルな魅力を体験したいと考えています。特定の地域に焦点を当て、観光スポットやグルメ、宿泊施設などの情報を発信することでその地域への興味・関心を持ってもらいやすくなり、訪問のきっかけ作りに繋げることができます。また投稿時には、必ず位置情報を追加することを忘れないようにしましょう。
ユーザー参加型企画
インスタグラムでは、DM(ダイレクトメッセージ)を介してフォロワーとのコミュニケーションが可能です。写真コンテストや質問コーナー、キャンペーンといったユーザー参加型の企画を実施することでユーザーのエンゲージメントを高めることができます。
例えば、「〇〇を探せ!」や参加したユーザーによるストーリのシェアなどは、他のユーザーに対しても関心を持たれやすく有効です。こうした企画を利用して外国人ユーザーとの関係性を築くことも効果的でしょう。
以下は日本語での例ではありますが、川越氷川神社が行った、公式アカウントのフォローとハッシュタグをつけた投稿をすると、投稿された写真を奉納してもらるというキャンペーンです。これにより、新規フォロワーの獲得に繋がりました。
【川越氷川神社のユーザー参加型企画の例】
参考元:【2024最新版】Instagram(インスタ)キャンペーンの成功事例15選|
このようなキャンペーンを英語で運用することで、訪日外国人のフォロワーを獲得、また、ハッシュタグで検索した他の訪日外国人の目に止まる可能性もあるでしょう。
ハッシュタグを活用する
インスタグラムでは、ハッシュタグが投稿の検索や発見に重要な役割を果たします。訪日外国人向けには、英語など外国語のハッシュタグを使用することで、言語の壁を越えてリーチを広げることができます。ただし、ハッシュタグの数が多すぎると逆効果なので、適度な数に抑えることが肝心です。
実際に海外で日本について検索する際に使用されるハッシュタグは以下のようになっています。「#tokyo」や「#kyoto」といった地名や「#anime」、「#comic」、「#sakura」といった写真を表すものも良いでしょう。
訪日外国人向けインスタグラム運用成功事例の紹介
実際に、訪日外国人向けのインスタグラム運用で成果を上げている事例を見てみましょう。
ホテルオークラ
参考元:The Okura Tokyo / オークラ東京(@theokuratokyo)
ホテルオークラは、インスタグラムを通じて訪日外国人にアプローチしています。豪華な施設や料理の写真を美しく撮影し、英語で丁寧に説明を添えることでホテルの魅力を効果的に伝えています。
投稿は、英語と日本語のバランスが取れており、特にストーリーやリール動画は文字量を抑えてわかりやすく仕上げています。加えて、「#luxuryhotel」や「#japaneseculture」などのハッシュタグを活用し、ターゲットとなる層にリーチしやすくなっています。
老舗高級ホテルならではのブランドイメージをインスタグラムを通じて巧みに発信しているといえるでしょう。
インスタグラム:https://www.instagram.com/theokuratokyo
横浜市
参考元:Find Your Yokohama (@findyouryokohama_japan) • Instagram photos and videos
横浜市は、公式インスタグラム「Find Your Yokohama」を通じて、外国人旅行者向けに多言語で情報発信を行っています。街の景色や観光スポット、イベント情報などを英語・中国語・韓国語で発信し、独自のハッシュタグ「#myyokohama」を用意してユーザーの投稿を促しました。
2024年10月9日時点でフォロワー数は12.7万人を獲得し、フォロワーからの質問にも丁寧に対応することで横浜ファンの獲得に努めています。横浜市の積極的なSNSマーケティングは、外国人旅行者の誘致に効果的であり、他の自治体の参考になるでしょう。
インスタグラム:https://www.instagram.com/findyouryokohama_japan/?hl=en
まとめ:訪日外国人の心をつかむ!インスタグラムで魅せる日本の魅力
訪日外国人向けのインスタグラム運用は、海外向けのインスタグラム運用とは異なったポイントがあり、インバウンドマーケティングに沿った活用方法がとても重要となります。約20億人以上が使用しているインスタグラムを効果的に活用することで、言語や国籍の壁を越えて日本の魅力を視覚的に訴求できます。まずはターゲットを明確にし、魅力的なビジュアルコンテンツを英語または多言語で戦略的に発信することが重要となります。具体的には、高品質な写真や動画で視覚的なイメージを発信し、英語や現地語のハッシュタグを活用してリーチを広げましょう。また、ユーザー参加型の企画でエンゲージメントの向上を検討することも一つの選択肢です。インバウンド需要の取り込みに向け、今すぐ戦略的なインスタグラム運用を始めましょう。
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