海外進出のために展示会へ挑戦!出展の流れや注意事項について解説

海外の展示会に出展することは、自社の製品やサービスを海外市場に直接アプローチできる絶好の機会です。最近、人気が高まっている日本の製品を直接日本人が販売しているという点でも、注目が集まりやすい可能性も高まります。
しかし、それと同時に高いリスクと多額の費用が伴うことも理解しておく必要があります。そこで、今回の記事では、海外展示会への出展の重要性や国内外での展示会の違い、海外の展示会に出店する際に重要なポイントなどについて詳しく解説します。

海外の展示会へ進出する重要性とは?

日本国内の市場は、人口問題研究所の「日本の将来人口推計」によると日本人口は年々減少が加速しており、2030年には約1億1952万人まで減少、ピークから約860万人も減少すると予想されています。

日本の将来人口推計
参考元:日本経済の中期見通し(2021~2030 年度)

その一方、海外市場は成長の可能性を秘めており、新たなビジネスチャンスが期待できます。そのため、海外の展示会に出展することは、自社の製品やサービスを他国の潜在顧客に直接アピールできる絶好の機会と言えるでしょう。
また展示会では、現地の潜在顧客とのコミュニケーションを通じて、自社製品に関する反応を直接知ることができるため、ターゲットが求められている技術や業界トレンドを知るチャンスになり、今後の海外進出戦略を役立つ情報が得られる可能性が大いにあります。オンラインとは違い、実物に触れてもらいながら説明ができるため、製品の魅力を効果的に伝えることができるのも大きなメリットです。

さらに、海外の展示会への出展は、現地のパートナー企業や販売代理店とのネットワーク構築にも繋げることができます。信頼関係を築くことで、将来的な海外拠点設立への第一歩にもなり得る重要な機会と言えるでしょう。
このように、海外での展示会に挑戦することで、市場の拡大へ繋げることができ、戦略立案に役立つ情報が入手、そして現地の企業との直接的にアプローチができる点では、今後海外進出しようと検討されている方にとっては、大きなチャンスとなります。

国内と海外の展示会の違いについて

海外の展示会では、現地の言語や文化、ビジネスマナーなどが日本とは大きく異なります。例えば、日本では挨拶と同時に名刺を交換することが一般的ですが、海外では名刺はあまり使用する機会がない場合や後回しにされる場合が多くあります。
また、展示会の位置付けにも違いがあります。日本の展示会は、新製品や最新技術の紹介を通じた広報や宣伝活動の場として使用されていることが多いです。
一方、海外の展示会では販売促進として位置づけされており、出展企業は既存製品の販売にも注力するなど展示会が直接的な売上に繋がることを期待して出展しています。また、一般消費者との直接的なコミュニケーションの場としても機能しているため、開催は基本的に週末に行われ、家族と一緒に参加するといったケースも見られます。
このように、国内外では文化や常識も異なることから、展示会の位置付けも違っているということを念頭において海外での展示会への出展を検討していきましょう。

海外の展示会進出するための重要なポイント

海外の展示会に進出する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておくことがとても重要です。まず適切な市場調査をもとに綿密な戦略を立て、対象国の文化や習慣、法規制について対応、そしてそれらに対する予算計画の作成などです。
これからご紹介するポイントの事前準備を十分に行って、海外展示会を有意義なものにしていきましょう。

海外の展示会進出するための重要なポイント

自社の製品やサービスが海外向けなのか分析する

海外進出するべきなのか、自社の製品やサービスが本当に海外市場に適しているのかを冷静に分析することが重要です。
例えば、弁当箱をアメリカに展開するとします。アメリカでは、保育園からお弁当を持っていく場合がほとんどです。ですが、日本のようなキャラクター弁当を持っている子供は少なく、大体がタッパーやジップロックを使用して、サンドイッチやフルーツ、スナックを持参しています。この場合、日本人がよく想像している弁当箱をアメリカで販売しても、元々そう言った文化や習慣がないアメリカでは普及が難しいと言えるでしょう。

アメリカのランチボックスの写真
参考元:How To Pack A School Lunch Box For Kids – Melanie Cooks

このように市場調査を的確に行って、ターゲットのニーズに沿った商品、現地で競争力を発揮できるようなものに対応していく必要があります。

出展する国・地域を選定する

海外進出の成功には、適切な市場の選定と徹底した調査が不可欠です。そのため、まず分析結果をもとにターゲットとする国や地域を慎重に絞り込みます。

そして、その市場の人口動態、経済動向、文化的特性、競合状況などの様々な観点から詳細に分析を行います。具体的に、近年中南米や東南アジアといった新興国で、人口増加に伴って富裕層の数も年々増加している傾向にあるため、今後の経済成長へも期待ができると判断ができます。

加えて、自社が販売している冷蔵庫がインドネシアで需要が急増しているとわかれば、出展を検討する国を絞ることが出来ます。

地域別名目GDP増加額
参考元:経済産業省

こうしたプロセスを通じて、ビジネスにとって最適な市場を特定し、的確な戦略を立案することが可能となります。着実な事前調査は、リスクを最小限に抑えつつ、確実な収益機会を捉えるための重要な一歩と言えるでしょう。

綿密な戦略を立てる

適切な市場選定と徹底した事前調査を行った後は、具体的な事業計画の策定に着手する必要があります。この計画においては、事業の目的、期間、予算、人員体制など実行にあたっての指針となる項目を詳細に定めることが極めて重要です。
また、前述でも述べたように海外の展示会では、直接的に購入に繋がるケースも多いことから、納品や輸入にかかるコストをあらかじめ計算し、ある程度の見積もりを出しておくこともおすすめです。
加えて、より正確な情報を獲得するために、現地に拠点を持つパートナー企業や団体との連携を図ることも選択肢の1つです。パートナーがいない場合は、予算面で余裕があれば実際に現地を訪れての視察も検討すると良いでしょう。目で見て肌で感じることで、書面からは得難い貴重な気付きを得られるかもしれません。
このように、様々な情報にもとづいて詳細な戦略を立てることで、海外進出をよりスムーズに進めることが出来るようになります。

法的な規制について確認する

それぞれ異なるターゲット国や地域の法的な規制を確認し、遵守することは海外進出において必要不可欠です。提供する商品やサービスの内容次第では、事業展開そのものが許可されない場合もあります。
例えば、シンガポールで化粧品を販売する場合には、シンガポール政府の健康科学省に商品登録をする必要があります。しかし、この申請にはシンガポール法人のオンラインアカウントを使用する必要があり、日本企業の場合はシンガポールの代理店やコンサルティングファーム、現地のパートナー企業に依頼するといった方法があります。
こうした規制への対応は専門性が高く複雑な場合が多く時間と労力が必要なため、状況に応じて弁護士や専門家への相談も検討すべきでしょう。法的リスクを回避し、違法な事態に陥ることがないよう、万全の対策を講じるようにしましょう。

商品やサービスのローカライズ

ターゲットとする地域や市場のニーズ、文化や習慣は様々です。この違いを無視して一律の商品やサービスを提供していては、現地での受け入れ体制は決して良くありません。このため、現地の特性に合わせた適切なローカライズが不可欠となります。このため、現地の特性に合わせた適切なローカライズが不可欠となります。
商品であれば、デザインやサイズ、香りや味付けなどの調整が考えられます。カップラーメンで有名な日清食品は、現在世界100ヶ国への海外進出を成功させています。そして、その秘訣は現地の慣れ親しんだ味やデザインをもとに行ったローカライズだと言えるでしょう。

日清食品のローカライズしたカップヌードル

参考元:世界で変身したカップヌードル、食文化の縮図 編集委員 小林明

また、現地の法的規制に沿った飲食の材料表示ラベルやパッケージ安全表示、取扱説明書などもローカライズが必要となります。
サービスであれば、対応言語や宗教的配慮、作法の違いへの対応など、さまざまな点で現地化を図る必要があります。きめ細かなローカライズマーケティングにより、現地のお客様に受け入れられ、事業の成功に繋がります。

海外向けのウェブサイトを構築する

世界でオンライン化が進む中、ウェブサイトは企業の商品やサービス、理念を世界に発信する重要な窓口です。海外展開を考えるならば、英語をはじめ、ターゲット地域の言語に翻訳されたウェブサイトを整備しておくことが求められます。
例えば、展示会などで関心を持ってもらった方は、後日ウェブサイトで詳細を確認するでしょう。その際、自国語のサイトがあれば、より詳しい情報を効率的に得ることができます。具体的に、商品の概要やポイント、原産地、手入れ方法、納期、決済・配送手段などといったことを載せて、FAQや問い合わせ先を加えておくとなお良いでしょう。
分かりやすいグローバルサイトの構築は、認知度向上と商機獲得の好機となることは間違いありません。

英語サイトに載せるべき情報
参考元:海外展示会ハンドブック.pdf

パンフレット作成を行う

海外での営業活動においては、言語の壁は大きな障害となります。そこで、商品やサービスの内容を視覚的に分かりやすく伝えるパンフレットの作成が重要です。写真や図解を効果的に取り入れることで、言語を越えてストレートに訴求できます。
また、パンフレットは国内外で大きく異なります。海外向けは、英語など外国語で作成され、自社の製品やサービスの特長と強みを分かりやすく説明することが重視されます。デザイン面でも、国際的な視点から海外顧客に訴求力のある写真やイラストを用い、製品情報や会社概要など基本的な情報に焦点を当てた構成が多く守られます。

【海外向け】

海外向けパンフレット
参考元:Product Showcase Brochure - Venngage

一方で、国内向けのパンフレットは日本語で、国内顧客のニーズに合わせた情報が提供されます。デザインも国内の顧客に親しみやすいものとなり、海外向けよりも詳細な情報量が盛り込まれます。このように、言語や内容、デザイン、情報量の面で国内外で大きな違いがあり、それぞれのターゲット層に合わせた最適な作りこみが求められます。

【国内向け】

展示会で活用する国内向けパンフレット
参考元:展示会の営業で活用するパンフレットデザイン(A4/6ページ)の制作事例

また、展示会などでサンプル商品を手に取ってもらう際のカタログとしても活用できます。自国語のほか、ターゲット地域の主要言語に翻訳したパンフレットを用意しておけば、スムーズなコミュニケーションが可能となり、商談の好機を掴むことができるはずです。

物流について検討する

海外事業においては、いかに円滑な物流を実現するかが肝心です。製品を輸出する場合、船舶輸送か航空輸送かを選択し、コストと時間的要件を考慮する必要があります。
また、一度に多量の輸送が可能な船舶輸送は、長距離の大量輸送に適していますが、在庫管理が課題となります。航空輸送は、スピーディーな輸送が可能な半面、コストが高くなるデメリットがあります。

海上輸送と航空輸送の比較

また、海外の物流会社は日本国内も企業と比較しても、手荒いことが多いと言われています。十分な梱包をして商品を保護することはもちろんですが、場合によっては保険をかけて、万が一の損害に備えておくのも選択肢の1つです。
輸送量、輸送頻度、在庫リスクなどを総合的に勘案し、最適な物流ルートとスケジュールを立案しましょう。

高額なコストが発生することを理解しておく

海外進出には、多額のコストが発生することを認識しておかなければいけません。具体的には、出展料として展示会の規模や開催地によって大きく異なりますが、一般的には100万円から500万円程度が必要とされています。ブースの広さや位置によっても費用は変動します。
その他の準備物については、渡航費、宿泊費、輸送費、人件費などの経費も発生します。これらを合わせると、総額で約500万円から1,000万円程度の出展費用が見込まれます。
下記のような予算管理シートなどを作成して、具体的な予算を把握しておくと良いでしょう。

出展予算管理シート 例
参考元:海外展示会ハンドブック.pdf

特に最初の期間は、投資に対するリターンが限定的にならざるを得ず、一時的な赤字覚悟が必要かもしれません。そのため、十分な資金計画を立て、リスクを最小限に抑えつつ、中長期的な視点に立った着実な投資を行う必要があります。財務的な備えが整っていないと、計画が止まることもあり得ます。しっかりとした収支予測と資金調達により、事業の継続を可能にしましょう。

展示会の事例紹介

世界には多種多様な展示会が開催されており、業界によっては著名な見本市が存在します。
このセクションでは、代表的な国際展示会の一つを事例として取り上げて具体的にどのような準備が必要となるのか、またどの程度のコストが見込まれるのかご紹介します。
世界中で行われている展示会の情報か下記のURLから確認することが出来ます。世界的に発信されている情報に関しては日本語でも調べることは可能ですが、専門分野や特定の分野に特化した展示会の情報は「exhibition/trade show/fair」といった単語を使用して検索すると良いでしょう。
参考元:https://www.jetro.go.jp/j-messe/

Interzoo

世界各地で開催される大規模な展示会の一例として、ペット用品の展示会「Interzoo」が挙げられます。Interzooは、ドイツのニュルンベルクで毎年5月に開催される、動物関連製品の世界最大の国際展示会です。この展示会では、動物用品、ペットフード、ペットケア製品などの幅広い動物関連の製品・サービスが出展されます。
出展者数は世界中から2,000社以上が参加し、来場者数も35,000人以上と非常に多岐にわたります。日本企業からの出展も多数あり、日本人来場者も多いため、現地での通訳サポートサービスも提供されています。
この展示会に出展するためのコストは、概ね100万円から300万円程度と見込まれるため、確かにハイリスクではありますが、ヒット商品を打ち出せば大きな成功を収められるチャンスも期待できます。

海外の展示会へ出店する際におさえておくべき注意事項

海外の展示会への出展は、メリットがある反面、国内とは異なる様々な注意点があります。言語の壁や文化の違い、法的な規制といった課題に直面する可能性があります。そのため、海外展示会に初めて出展する企業は、トラブルを未然に防ぐための十分な準備が欠かせません。
ここからは、海外の展示会に出展する前におさえておくべき注意事項をご紹介します。

計画的に進める

海外の展示会へ出展する際は、通常、出展申込みから数ヶ月前から手続きを開始する必要があります。出展ブースの確保や準備作業に一定の期間を要するためです。
そのため、募集要項をよく確認し、申込締切日や支払期日など重要な期日を計画的に管理していくことが大切です。遅れが生じると出展そのものができなくなる可能性もあります。

予算の確保は期日内の送金

出展には様々な費用が発生しますが、その中でも主要な支出は出展料です。海外の展示会は国内と比べて出展料が高額になる傾向にあり、事前に十分な予算を確保しておく必要があります。
また、海外送金には為替手数料や送金手数料がかかるため、時差の関係で着金が遅れる可能性もあります。そのため、余裕を持った早期の送金が賢明でしょう。期日までに支払いが完了しないと、出展ができなくなる恐れがあります。最善の注意をして、送金を行うようにしましょう。

まとめ:初めて展示会へ出展する場合は専門とする企業へ一度相談してみましょう

展示会への出展は、事前調査や分析、準備から当日の運営、フォローアップに至るまで多くの作業を要します。特に、初めての出展となれば、専門的な知識やノウハウが必要不可欠です。
そこで、様々な分野に精通する専門企業に相談することをおすすめします。これらの企業では、出展に係る一連の業務をサポートしてくれる場合もあります。海外進出に向けて、展示会デビューへの不安を払拭し、効果的な出展を実現するための的確なアドバイスが期待できるはずです。
海外進出や海外での展示会を検討中の方は、一度IGNITEへご相談ください。

この記事を監修した人
Daisuke K
マーケター、CMO
2021年にCMOとしてIGNITEのへの参加を果たした。以前からマーケティング業界での勤務経験を有し、IGNITEでは海外市場向けのマーケティング戦略を展開している。あらゆる国や地域からの、BtoB、BtoC案件を総監し、海外進出を検討する日本国内の企業から、日本への参入を希望する海外企業までのサポートを行っている。
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