従業員が選ぶ!DEIに優れたアメリカ企業ランキング9選

最近話題のDEI。DEIとは「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包摂性)」の頭文字をとった言葉で、企業や組織が多様な人材を尊重し、公平な機会を提供し、誰もが居場所を感じられる環境を作ることを指します。近年、アメリカを中心に企業の社会的責任としてDEIの注目が高まっていますが、一方で政治的な対立も激化しています。特にトランプ大統領はDEI推進に対し批判的な立場をとり、一部州や企業に対して規制強化や撤退圧力をかける動きも見られます。しかし多くの企業はこうした逆風にも屈せず、DEIを経営戦略の重要な柱として継続的に取り組んでいます。多様な価値観や背景を受け入れることはイノベーションの促進や社員の満足度向上にもつながるため、今後ますます重視されるテーマです。
本記事では、アメリカで話題のDEI特化企業をランキング形式でご紹介いたします。今回はForbesが発表した「America’s Best Employers for Diversity 2024」ランキングを参考にしました。本データは約17万人の従業員アンケートや企業の多様性施策、経営層の構成比など、多角的な視点から評価されており、実際に働く人々の声を反映した信頼性の高いデータです。企業の取り組みと従業員の満足度が総合的に高い企業はいったいどんな企業なのでしょうか?
▼ランキング
(Forbes 2024 Diversityランキング上位順)
- TIAA
- PayPal
- Edgewell Personal Care
- Salesforce
- Mutual of Omaha
- American Electric Power
- Keysight Technologies
- TD Bank
- Blue Cross Blue Shield of Minnesota
1. TIAA

出典:TIAA公式サイト
TIAA(Teachers Insurance and Annuity Association)は教育関係者向けの金融サービス企業で、DEIへの長期的な取り組みで高く評価されています。全従業員の40%以上が有色人種で、管理職における女性比率も業界平均を上回っています。社内には複数の従業員リソースグループ(ERG)があり、人種や性自認に関係なく誰もが発言できる職場環境づくりを支援。また取引先や投資先にもDEIの価値を求める方針を掲げており、社内外を巻き込んだ変革を進めています。CEO自身が公の場でDEIの重要性を語るなど、トップダウンの本気度も大きな信頼につながっています。
2. PayPal

出典:PayPal公式サイト
アメリカの決済アプリPayPalは、テクノロジー業界の中でも特にDEIを重視する企業として知られています。従業員構成の多様化はもちろん、給与の公平性や昇進機会の平等にも積極的に取り組んでおり、年次報告書では人種・性別ごとの給与格差を公開。LGBTQ+を含む全従業員が安心して働ける環境づくりのため、福利厚生や社内制度も継続的にアップデートされています。またDEI教育が全社員に義務づけられ、マネージャー層にはさらに深い研修が実施されています。取引先企業にも同様の価値観を求める姿勢で、企業全体で「持続可能な多様性」を追求する姿勢が従業員の高評価とランキング上位の結果に結びついています。
3. Edgewell Personal Care

出典:Edgewell Personal Care公式サイト
Edgewellは「Schick」や「Ban」などで知られる日用品メーカーで、製品だけでなく職場環境においても「ケア」の姿勢を徹底しています。EdgewellはDEIを単なるスローガンとして掲げるだけでなく、採用・育成・評価の全プロセスで重視し、特に女性や有色人種のリーダー登用に注力。世界中の社員が参加できる包括的なコミュニティが整備されており、あらゆる差別に対する対策・対応が充実しています。CEO直下のDEI部門が各種施策を推進し、年次ごとの進捗を可視化。従業員の心理的安心と多様性の実感を同時に高めている点が、高評価につながっています。
4. Salesforce

Salesforceは、テック業界でも屈指のDEI推進企業として知られています。早くから「平等(Equality)」を企業価値に掲げ、採用や昇進におけるバイアス排除、LGBTQ+支援、給与の格差是正に積極的に取り組んできました。全社員を対象としたDEIトレーニングに加え、マネージャーや人事にはより実践的なDEI教育制度を導入。社員主導のダイバーシティコミュニティが全世界で活動しており、社外にも影響力を持つDEIカンファレンスを主催しています。企業全体での透明性や行動力の高さが従業員の信頼につながり、今回の上位ランクインを後押ししています。
5. Mutual of Omaha

Mutual of Omahaは老舗の保険・金融サービス企業として知られながらも、DEI分野では極めて先進的な取り組みを行っています。多様性に関する明確なビジョンと行動計画を掲げ、全社員に対するDEIトレーニングの徹底、採用における無意識バイアスの排除などを実施。加えて、リーダー層の40%以上を女性・有色人種が占めるなど、実際の人事構成にも変化が表れています。社内には複数の従業員リソースグループが存在し、日々の交流や学びを通じて包摂的な職場文化を築いています。保守的な業界でもこの柔軟性と推進力を備え、従業員からも高く評価されています。
6. American Electric Power

出典:American Electric Power公式サイト
American Electric Power(AEP)は、米国11州で事業を展開する大手電力会社です。DEIを経営の中核に据え、CEOや経営陣が積極的にDEI推進にコミットしています。社内にはLGBTQ+、女性、有色人種、退役軍人などを支援する9つの従業員リソースグループが設けられ、社員同士の交流や育成活動が盛んです。また、障がい者支援の指標であるDisability Equality Indexで6年連続100点満点を獲得するなど、多角的な包摂性向上に取り組んでいます。こうした実績が従業員からの高い信頼につながり、DEI推進企業として高評価を受けています。
7. Keysight Technologies

Keysight Technologiesは、電子計測器のグローバルリーダーとして技術革新を支える企業です。DEI推進においても積極的で、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用と育成に注力しています。社内には女性やマイノリティ支援のための従業員リソースグループが充実しており、定期的な教育プログラムやメンタリング制度を運用。経営層もDEI目標達成に責任を持ち、透明性の高い進捗報告を行っています。こうした包括的な取り組みは従業員満足度を高め、業界内外からの高い評価につながっています。
8. TD Bank

出典:TD Bank公式サイト
TD Bankは北米で広く展開する大手銀行で、多様性・公平性・包摂性(DEI)を企業文化の中心に据えています。女性や有色人種の採用・昇進を積極的に推進し、管理職層の多様化に取り組んでいます。社内にはLGBTQ+、マイノリティ、退役軍人などを対象にした従業員ネットワークが複数存在し、相互支援やキャリア開発を促進。またDEI関連の研修や教育プログラムを全社員に提供し、全社的に包括的な環境づくりを推進しています。こうした取り組みが従業員満足度の向上に寄与し、今回のランキング上位入りに繋がりました。
9. Blue Cross Blue Shield of Minnesota

出典:Blue Cross Blue Shield of Minnesota公式サイト
Blue Cross Blue Shield of Minnesotaは、地域密着型の大手医療保険会社で、多様性と包摂性の推進に積極的です。女性や有色人種、LGBTQ+の従業員支援を重視し、多様な社員ネットワークを活用した教育や交流を促進。公平な採用と昇進機会を保証し、職場の心理的安全性にも配慮しています。経営層もDEI推進に強くコミットし、進捗を定期的に公開。地域社会との連携も深め、包括的なDEI支援に繋げています。こうした取り組みが社員の高い満足度と定着率を支え、ランキング入りの理由となっています。
まとめ
いかがでしたか?本ランキングは、Forbesのデータを基にDEI推進企業を10社紹介しました。トップ10には、金融、保険、テクノロジー、電力など多様な業界の企業がランクイン。どの企業も経営層の強いコミットメントと具体的な取り組みを持ち、従業員満足度が高い点が共通しています。多様性を重視する企業文化は、イノベーションや組織の成長に欠かせない要素となっており、今後も注目され続けるでしょう。そしていずれ日本でも、このようなアメリカの取り組みに倣い、DEI推進が加速していく見込みです。
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