日本への移民が年々増えていることをご存知でしょうか?実は、日本は世界第4位の隠れ移民大国なのです。日本へ移住する外国人が増えているなかで、課題も多く存在します。今回の記事では、日本の移民の現状や日本に住む外国人が抱える悩み、また在日外国人向けビジネスのヒントをご紹介します。
- 日本の移民について詳しく知りたい
- 在日外国人向けビジネスを検討している
- 日本に住む外国人の課題を解決したい
- 海外ビジネスを展開させたい
上記に当てはまる方はぜひ参考にしてください。
移民とは
移民とは移住の理由や法的地位に関係なく、自らの意志で他国へ在留している人を指します。移民となる人は、
- 今よりも良い環境で働きたい
- もっと良い教育を受けたい
などの、ポジティブな理由で海外で生活することを決めた人が多いのが移民の特徴です。
一方、よく同義で用いられる「難民」とは、迫害や紛争など国際的な保護の必要性がある状況が理由で出身国から逃げた人のことを指します。移民と難民は同義として用いられることも多いですが、実は全く異なる意味を持つのです。
日本への移民は増え続けている
日本はかつてGDP世界2位を誇る経済大国でしたが、近年は成長が鈍化し、2023年にはドイツにも抜かれ、IMF(国際通貨基金)の2024年予測では、世界4位(4兆262億ドル)に位置付けられています。
それでも、比較的安定した治安や独自の文化の魅力から、海外から移住を考える人が少なくありません。それでは、実際にどれほど多くの外国人が日本に移住しているのでしょうか?ここでは日本の移民数や外国人労働者数の現状を紹介します。
日本は世界第4位の隠れ移民大国
2024年末時点で出入国在留管理庁が発表した在留外国人数は、376万8,977人です。この結果は、前年末比35万7,985人、10.5%増とされており、過去最高の記録となっています。

出典:令和6年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁
日本への移住者が増加しているにもかかわらず、日本政府は「移民」という表現を避け、公式には「移民政策」をとっているとは表明していません。しかし実際には、高度人材や特定技能を持つ外国人労働者の受け入れを拡大するなど、実質的な移民受け入れの動きが加速しています。
日本は、治安、清潔さ、医療制度、教育水準などの面で高く評価されており、特にアジア圏からの移住希望者にとって魅力的な国となっています。
一方で、行政の受け入れ体制には依然として課題が残っています。言語や文化の違いへの対応、雇用環境の整備、住居確保の支援、外国人住民への行政サービスの多言語化など、解決すべき課題は少なくありません。
ただし、特定技能ビザの創設や高度人材ポイント制の拡充、創業ビザの全国展開など、具体的な政策や制度の拡充も進められています。現状は、「具体的な政策が行われていない」というよりは、「政策の拡充は進んでいるものの、多様な課題への対応が追いついていない」と言えるでしょう。
外国人労働者数
一方、外国人労働者に対しては2019年に特定技能制度を始めるなど、日本政府は積極的な取り組みを見せています。様々な政策により、日本で働く外国人労働者数は年々増加しています。以下は厚生労働省が2024年10月末時点に公表した、在留資格別外国人労働者数の推移を表したグラフです。
出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)
2024年10月時点での日本で働く外国人労働者数は2,302,587人であり、前年比253,912人増加と年々増えていることがわかります。
▼外国人雇用を検討している方は、外国人を雇用する魅力や注意点などについて詳しく解説しているこちらの記事もぜひ参考にしてください。
https://igni7e.jp/blog/explanation-hiring-foreigners
日本への移住者ランキング
日本に在留する外国人の国籍は、最新の在留カード及び特別永住者証明書に基づくデータによると195にのぼり、上位10カ国・地域全てで前年末から増加しています。中でもミャンマーは前年の11位から8位へと大きく順位を上げ、増加数も顕著です。

出典:【第1表】 国籍・地域別 在留外国人数の推移
日本全体の外国人増加の背景には、少子高齢化に伴う労働力不足への対策として、技能実習制度や特定技能制度を通じた外国人労働者の受け入れ拡大があります。
加えて、留学生や高度人材の受け入れも増加に寄与しており、特にベトナム、ネパール、インドネシアからの留学生や若年労働者が増加しています。
在日外国人が困っていること
外国人労働者や移民が増える一方で、日本での生活に問題を抱える外国人も少なくありません。ここからは、在日外国人が抱える4つの主要な問題と、その背景にある課題について詳しく解説します。
文化や言語の違い
日本は多様な文化を持つ人々にとって、その独特の文化や言語は大きな壁となります。日本語はひらがな、カタカナ、漢字と文字の種類が多く、さらに地域によって方言も存在するため、習得は困難です。敬語や慣習、非言語コミュニケーションといった、日本独自の文化も外国人には馴染みにくく、誤解やトラブルに繋がることがあります。
日本語による公的手続きや行政サービスが多く、英語やその他の言語対応が十分でないため、手続きや医療機関の利用時に困難に直面します。医療現場や公共交通機関などにおいても、言語の壁が適切なサービスを受けられない理由となっています。
言葉の壁がコミュニケーションの妨げとなり、外国人労働者は孤立感や不安を感じ、不安定な状況に置かれています。より親身な支援が必要となる状況です。

住環境・住宅問題
賃貸契約においては、「保証人」制度や外国人であることを理由に入居を断られるケースが少なくありません。言葉が通じずコミュニケーションが取れない、連帯保証人が立てづらい、日本の住まいのルールや文化に慣れないといった点も、住宅問題の主な原因となっています。日本の賃貸物件を探す際の多くの困難さは、外国人居住者にとっての大きな問題です。
日本語をある程度理解していないと、トラブルが発生した場合にコミュニケーションが取りづらく、不安を抱える大家さんも少なくありません。
生活習慣に対する偏見や固定概念も根強く、適切な住環境を得るための課題も多く残っています。住居問題解決のためのサポート体制の強化が求められています。
社会統合・孤立
日本社会は同質性を重視する傾向があるため、外国人が「歓迎されていない」と感じる状況が少なくありません。地域イベントへの参加や日本人との交流機会が少なく、特に地方では、同じ言語を話す人が少ない状況があります。
これは、社会における孤立や精神的な負担に繋がる可能性があります。在留外国人がコミュニティ活動や社会との繋がりを通じて孤立感や不安を取り除くために必要な機会を提供し、支援システムを構築することが急務です。
雇用・労働環境の課題
外国人労働者の増加を受け、雇用・労働環境に関する課題も顕著になっています。日本語や文化の理解度が企業の採用判断に影響し、外国人労働者の雇用機会が制限される場合が考えられます。
特に、特定技能制度は受け入れ体制が進んでいる一方、研修やサポート体制の不足、待遇格差といった課題も指摘されています。円安の影響もあり、外国人労働者は日本の生活コスト上昇を、給与水準の低さと相まって大きな負担として捉えざるを得ない状況です。

1. 賃金・待遇格差と円安の影響
深刻な人手不足から外国人労働者受け入れが進み、介護・農業・建設など様々な業界で活躍していますが、円安の影響による実質賃金の低下、日本人と比べて低待遇であるケースは少なくありません。
更に、生活費高騰も相まって、多くの外国人労働者は深刻な経済的な負担を感じています。残業代未払い、解雇、社会保険未加入など、労働条件の不当な扱いに関する相談は、ますます増加しています。
2. 雇用の不安定さ・派遣労働の多さ
外国人労働者の多くは、派遣や請負といった不安定な雇用形態での勤務です。契約が一方的に解除されたり、社会保険に加入できないといった問題が発生すると、生活基盤が非常に不安定になります。
2024~2025年の円安による送金金額の目減りは、外国人労働者や留学生の経済負担を増大させる要因です。この雇用の不安定さは、経済的困難のみならず、精神的ストレスをもたらします。
3. 労働環境・人権問題
技能実習制度では「人材育成」を謳うものの、長時間労働、低賃金、パワハラ、セクハラ、暴力、パスポートの取り上げなど、人権侵害事例が報告されています。
制度そのものの見直しに加えて、労働環境の改善、更なるサポート体制の構築、相談窓口の設置が強く求められています。
在日外国人向けビジネスのヒント
数多くの外国人労働者や移民が日本で暮らすなかで、外国人にとってデメリットもあり、まだまだ住みやすい環境が整っているとは言えないでしょう。ここでは、在日外国人の助けにもなるような、ビジネスヒントをご紹介します。
コミュニティを活用する
2024年に観光庁が行った調査によると、外国人が出発前に得た旅行情報源で最も役に立ったものは「SNS(38.9%)」、次に多かったのが「動画サイト(38.1%)」、3番目が「個人のブログ(24.9%)」でした。

出典:観光庁 訪日外国人の消費動向
TwitterやInstagram、YouTubeなどのSNSや動画サイト、個人ブログなどを上手に活用し、情報収集を行う外国人は多くいます。しかし、これらを集客ツールとするのは時間とコストもかかります。
そこでおすすめなのが、比較的効果が早く出てコストもかからない口コミ対策です。コミュニティを活用した口コミ対策を積極的に活用することで、在日外国人だけでなく、インバウンド対策にも繋げることができます。
▼海外向けSNSマーケティングのポイントについて知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
https://igni7e.jp/blog/how-to-successfully-market-sns
外国人目線に立つ
日本人にとっては当たり前の情報も、外国人にとってはそうでないケースが多くあります。在日外国人が見るメディアでは紹介されていなかったり、多言語に対応していなかったりするためです。
そのため外国人がまだよく知らないサービスを外国人目線に立ってプロモーションすることで、利用率が大きく伸びる可能性があると言えるでしょう。また、外国人が知らない情報をわかるように発信することは、日本で困っている外国人の助けに繋がる可能性もあります。
▼海外向けコンテンツマーケティングを成功させる方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
https://igni7e.jp/blog/overseas-content-marketing
多言語対応
どんなサービスにおいても、多言語対応は外国人が日本で快適に過ごすためには重要な要素のひとつです。
店や施設ならメニューへの外国語表記や外国語対応が可能なスタッフの常駐が、ホームページやSNSでは適切な翻訳や表示言語を選べる機能の導入などが必要です。外国人にとって、日本語は最も難しい言語のひとつと言われています。
多言語対応をしていなければ、それだけで外国人に利用を避けられてしまうケースも少なくありません。まずは、Webサイトの多言語対応を行うのが、在日外国人の心を掴むファーストステップとして進めていきましょう。
まとめ:訪日観光客や在日外国人向けのサービスはまだまだ成長の余地がある
少子高齢化が進み近い将来働き手が減ることが予測されている日本で、外国人労働者は欠かせない存在です。今後も訪日観光客や在日外国人が増えていくなかで、まだまだ外国人向けのサービスは成長の余地があります。
多くの訪日外国人の悩みは言語の壁です。まずは、外国人向けの多言語サービスに目を向けてみませんか?グローバルビジネスの拡大における様々なサービスを行っているIGNITEでは、海外市場向けのマーケティングや多言語サービス、外国人雇用に関するサポートなどを実施しております。興味がある方は、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。
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