最近、インターネットを通じたショッピングが世界的に普及しており、自国にいながらも海外製品を手に入れることができるようになりました。そこで、この記事では、年々需要が高まっている越境eコマース(越境EC)の概要や具体的な始め方についてご紹介いたします。
越境eコマースの概要について
越境eコマースとは、通常、越境EC(Cross-border e-commerce)と呼ばれ、日本語では電子商取引のことを示します。異なる国々の間で行われるインターネットを通じて国際的に商品を販売する電子商取引のことで、企業は自国の市場に限定されず、世界中の消費者に対して商品やサービスを提供することが可能となります。
越境eコマースが注目されている理由とは
では、なぜ越境eコマースがこんなにも注目されているのか、その理由について解説いたします。
グローバル化の進展
世界中の市場が相互に連携し合い、国境を越えた商品流通が従来に比べてスムーズになっています。このような背景から、企業のでなく個人にとっても、これまでにない広範な市場へのアクセスが可能となりました。また日本の商品やサービスは海外でも注目されているため、様々な国や地域で需要が伸びています。これに伴い、企業側にとっては、海外の新しい顧客層へのリーチに繋がる新たな機会が増加しています。
インターネット普及率の向上
インターネットの普及率が向上したことにより、世界中の人々が気軽にオンラインショッピングを利用するようになりました。これにより、オンラインでの商品販売のニーズが拡大しています。
参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc243120.html
デジタル決済の普及
様々な種類のオンラインでの決済方法が増え、国際的な取引がスムーズに行えるようになりました。これにより、消費者は国境を越えて商品を購入することに高いハードルを感じることがなくなりました。
参考:https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230406002/20230406002.html
物流インフラの発展
国際配送の効率化とコストの削減によって、越境eコマースの実現可能性が高まっています。物流インフラの発展により、国際的な商品の流通が以前よりもスムーズかつ経済的になり、これが越境eコマースの注目度をより高めています。
参考:https://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/2105/17/news009.html
消費者の購買行動の変化
海外製品への関心が高まり、多様な商品を求める消費者が増えている。そのため、数多くの選択肢があるオンラインショッピングの利用者は急激に増えています。国内では取り扱っていないような海外製品への関心が高まり、消費者の購買行動の変化が近年では著しいと言えるでしょう。また、最近では店頭まで出向いて買い物を行うより、オンラインで買い物をする方が増加傾向にあるため、それも要因であるといえます。
参考:https://www.advertimes.com/20211125/article369312/
モバイルデバイスの普及
これまでオンラインショッピングをする際には、パソコンからアクセスすることが一般的でした。ここ数年で。スマートフォンやタブレットの普及率が増え、いつでもどこでもオンラインショッピングが可能になりました。
参考:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/
ソーシャルメディアの影響力
InstagramやXなどのSNSの商品紹介や口コミを通じて、海外製品を目にする機会が増えています。ソーシャルメディアの影響により、国際的なブランド認知と消費者の購買意欲がより向上しています。この近年のSNSの利用率の増加は、越境eコマースの成長において重要な役割を果たし、世界中の消費者にリーチするための新たな道となっています。
参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd247100.html
越境eコマースの始め方とは
続いては具体的な越境eコマースの始め方についてご説明いたします。
越境eコマースの戦略決定
越境eコマースでの成功を収めるには、明確な目標設定と戦略策定が欠かせません。ターゲット市場のニーズを徹底的に分析し、競合他社との差別化を図りながら、自社の強みを最大限に活用した戦略を練ることが重要です。具体的には、ターゲットとする市場の人気のある項目やトレンド、競合他社の分析を徹底的に行い、それらを元に自社の強みを活かした戦略を立てましょう。これにより、効果的かつ持続可能な越境eコマースビジネスの構築に繋がります。
ターゲット市場の特定
マーケティングを行う場合、どのケースにも当てはまりますが、ターゲット市場を詳細に決定することは、ビジネスで良い結果を出すためには、必ず抑えておくべき項目です。ただ単にターゲットとする国や地域を決めるだけではなく、その市場の特性や消費者の嗜好を理解した上で、自社のターゲットとして最適なのかどうか検討することが重要です。また、ターゲット層に関しては、年齢や性別、その他の細かいディテールも綿密に決めておきましょう。もちろん、文化的な背景も理解しておくことも必要です。日本とターゲット国の文化的な違いや市場の傾向を把握することで、適切な商品やサービスを提供できます。
商品ラインナップの整備
ターゲット国の需要や市場の可能性を考慮して商品のラインナップ整備を行いましょう。市場調査を通じて、現地の消費者のニーズに合った商品を選び出すことが、成功への鍵となります。また、市場のニーズに合った商品の品揃えを確保し、在庫を準備しておくことも忘れないようにしましょう。
ターゲット国の法律や規制のリサーチ
国や地域によっては、特定の商品が輸出規制の対象となることがあります。したがって、現地の法律、規制、商慣習について十分理解し、それらを遵守することが重要です。これには関税、税制、輸出入の規制などが含まれます。法的な内容が関係するため、理解が難しい場合もあるため、その際は、知識を持った専門家におすすめすることをおすすめします。
必要人材と予算計画の策定
ウェブサイトの制作やローカライズに必要な予算を確保し、多言語に対応できる人材を配置することもポイントとなります。これには、ウェブ開発、マーケティング、顧客サポートなど、事業の各段階で必要とされる専門的なスキルと知識を持った人材の確保が望ましいです。計画的な予算配分と適切な人材の配置は、越境eコマースの成功を左右する重要な要素だと言えます。
広告運用
越境eコマースの成功には広告運用が不可欠です。まずは、広告の仕組みを深く理解し、効果的な戦略を策定することが重要です。予算の適切な配分に加え、ターゲット市場に合わせた広告展開が求められます。それにはローカライズを行うことも必須です。デジタル広告やソーシャルメディアの活用により、ブランドや商品の認知度を高め、ターゲット顧客にリーチすることが、越境eコマースを成功へと導くきっかけになるでしょう。
販売チャネルの選定
- 現地での法人設立とサイトの開設:この方法では、ターゲット国に法人を設立し、独自の越境eコマースサイトを開設します。手間と時間がかかるものの、将来的なターゲット国でのビジネス拡大を目指すのであれば、非常に効果的な選択です。
- 現地のショッピングモールでの店舗展開:ターゲットとなる国のショッピングモールに店舗を設けるという方法です。特に規模が小さなビジネスや、簡単にスタートしたい場合に適しています。越境eコマースが認められているモールを利用することで、市場への効率的なアクセスが可能になります。
- 自社ECサイトの利用:小規模事業や越境eコマースの可能性を探っている段階では、自社のオンラインストアや国内のモールを使い、海外からの注文に応えることが適しています。市場での反応が良ければ、現地のモールへの出店も考慮に入れると良いでしょう。
- この際、Shopifyのようなプラットフォームの使用がおすすめです。Shopifyの主なメリットとして、低コストで簡単にECサイトを立ち上げられる点、プログラミング知識が不要であること、Shopifyペイメントを利用することで取引手数料が発生しない、豊富なアプリやテーマによる高いカスタマイズ性、国内外の配送対応、多言語対応による越境eコマースの運営可能性、そしてスマートフォンからの売上や在庫状況の管理が可能であることが挙げられます。これらの特徴は、特に低コストで手軽にECサイトを開始したい方、プログラミングの知識がない方、越境eコマースに興味がある方にとって魅力的であり、Shopifyを幅広いニーズに対応するECプラットフォームとして推奨されています。
代表的な国とおすすめツール
- アメリカ:Shopify、Amazon、BigCommerce、Magentなど
- イギリス:Amazon、eBay、Tesco、Argosなど
- フランス:Amazon、eBay、Cdiscount、Leroy Merlinなど
- 中国:Alibaba、淘宝網(タオバオ)、JD.comなど
- 韓国:G-Market、11番街、Tmonなど
- 日本:Amazon、楽天、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWNなど
自社での運用は可能なのか
越境eコマースは、自社での運用が可能であるものの、その難易度は高いと言えます。運用するには、広範な専門知識と十分なリソースが必要となります。特に越境eコマースに初めて挑戦する場合、専門的な企業に依頼することをおすすめします。専門企業は、市場の特性、法規制、物流、通貨や言語の違いなど、越境eコマースにおける複雑な課題に対応するための専門知識を持っています。外部へ依頼することで、リスクを軽減し、より効率的かつ戦略的に市場に参入することが可能になります。自社での運用を目指す場合でも、初期段階では専門企業のサポートを受けながら、徐々に内部での運用能力を構築していくことが望ましいでしょう。
▼越境eコマースサイトを成功に導くためのポイントをもっと知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
https://igni7e.jp/blog/what-is-cross-border-e-commerce
日本から海外で越境eコマースが成功した事例
ではここで実際に日本から海外へ進出し、越境eコマースを成功させて事例をご紹介いたします。
BENTO&CO
京都に拠点を置くBENTO&COは、弁当文化を国際的に広めるための越境ECストアです。同社は弁当箱や食器を含む様々な製品を販売し、Shopifyを活用して手軽にECサイトを立ち上げました。Shopifyは技術や専門知識がなくても利用可能であることがメリットで、販売開始からわずか20分で初売上を達成しました。ECサイトの集客効果と共に「Bento(弁当)」文化を伝えている越境ECサイトだと言えるでしょう。
Tokyo Otaku Mode
Tokyo Otaku Modeは、日本のアニメやゲームの関連グッズを海外に販売する越境ECサイトです。このサイトは、日本のオタク文化に関心がある海外ユーザーがアクセスしやすいよう設計され、特にアメリカやカナダ、フランスなどの欧米圏で売上を伸ばしています。SNSを活用し、Facebookで日本のポップカルチャー情報を発信し、2000万の「いいね!」を獲得するなど、ECサイトへの集客に成功しています。
参考:https://www.live-commerce.com/ecommerce-blog/crossborder-ec-10-examples/
まとめ:効果的な越境eコマースを制作するには外部依頼も検討しましょう
越境eコマースは、グローバルな市場でのビジネスチャンスを広げるための強力な手段です。しかし、成功するためには、市場の特性を理解し、法律の遵守、適切な人材と予算の確保、そして効果的な広告と販売チャネルの選定などの適切な戦略を立てることが不可欠です。自社での運用が困難な場合は、外部の専門家へ協力を仰ぎましょう。これからの時代、越境eコマースはさらに重要性を増していくことが考えられます。その波に乗り遅れないよう、今から準備を始めましょう。
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