日本勢ゼロ!?いまアメリカで売れてる家電ブランド4選

2025年のアメリカ家電市場において、驚くべき事実があります。それは、かつてアメリカの家電市場を支配していたPanasonicなど日本の大手家電メーカーが、今や影が薄れてしまったことです。日本の家電はかつて、アメリカの家庭で広く使用され、高い評価を受けていました。しかし現在ではその存在感が薄れ、アメリカ市場でのシェアを大きく失ってしまっています。
一体、どうしてこのような状況になってしまったのでしょうか?本稿では、日本メーカーがアメリカ市場で苦戦している理由を詳しく解説します。まずは、現状をしっかり理解するために、現在アメリカ市場で強いシェアを誇る企業TOP4を見ていきましょう。これらの企業はどのような戦略や強みを持って、アメリカの消費者に愛されているのでしょうか?彼らがどのようにして市場での地位を築いてきたのか、少しずつ掘り下げていきたいと思います。これらを知ることで、今後の家電業界の動向や日本勢の再挑戦のヒントが見えてくるかもしれません。
▼ランキング
(2023年TraQline調査によるアメリカシェア率順)
https://japan.ajunews.com/view/20240411104442049?utm_source=chatgpt.com
- Samsung Electronics(サムスン電子) 約21%
- LG Electronics(LG電子) 約19%
- GE Appliances(GEアプライアンス) 約18%
- Whirlpool Corporation(ワールプール) 約15%
1. Samsung Electronics(サムスン電子)

日本でも有名なサムスン。韓国に本社を置くサムスンは、グローバル家電市場において常にトップクラスのシェアを誇る総合家電メーカーです。特にアメリカ市場では、冷蔵庫、洗濯機、レンジ、食器洗浄機といった主要家電分野すべてで高い評価を得ており、2023年の市場調査機関TraQlineのデータによれば、売上ベースで21%、数量ベースで19%のシェアを獲得し、堂々の第1位にランクインしています。
サムスンの強みは何と言っても「先進的なテクノロジー」と「洗練されたデザイン」の両立です。AIやスマート家電への取り組みでは業界の先頭を走り続けています。大きな強みは、「SmartThings」というアプリを使って冷蔵庫やエアコンなどをスマホから一括管理できること。帰宅前にエアコンをオンにするなんてことも簡単。冷蔵庫では、内蔵カメラで食材をチェックして献立を提案する、といった機能を搭載した「Family Hub」シリーズが人気を集めており、未来型のキッチンを実現しています。冷蔵庫本体にスピーカーが搭載されているため、調理中に音楽を再生することも可能です。
さらに、デザイン面でも他社との差別化を図っており、キッチンインテリアに調和するスタイリッシュなカラーバリエーションやミニマルなフォルムは、ミレニアル世代やZ世代のファミリー層を中心に支持されています。
信頼性と性能、そしてデジタル時代に即した利便性を追求する姿勢が、サムスンをアメリカの家電市場で不動のNo.1ブランドに押し上げています。
2. LG Electronics(LG電子)

こちらもサムスン同様韓国の企業、LG電子。こちらも、世界的な家電・電子機器メーカーとして確固たる地位を築いており、特にアメリカ市場ではサムスンと並んでトップクラスの存在感を放っています。2023年の市場調査(TraQline)によると、LG電子は売上ベースで19%、数量ベースで16%のシェアを獲得し、堂々の第2位を記録しました。
LG電子の最大の魅力は、製品の品質・デザイン・革新性のバランスの良さです。特に冷蔵庫や洗濯機では、消費者からの満足度が非常に高く、「長く安心して使える家電」として高評価を獲得。たとえば冷蔵庫は、ノック2回で中が透けて見えるようになっています。扉を開けずに中身を確認できる革新的な構造で、食品の鮮度を保ちながら省エネも実現しています。
さらに、LG電子もスマート家電分野に積極的に取り組んでおり、同社が提供する「LG ThinQ(シンキュー)」を通じて、洗濯機やエアコン、冷蔵庫などを、スマホや音声で操作・管理することが可能。LG ThinQはAI技術と連携しており、使えば使うほどユーザーの生活スタイルに合わせた提案や運転モードを自動最適化してくれる点が魅力です。
また、家電だけでなく、テレビやモニターなどのAV機器でも米国市場で強く、生活全体をコーディネートするブランドとしての信頼も厚いです。シンプルで洗練されたデザインや使いやすさ、そして確かな技術力を武器に、LG電子は「賢く暮らす人々」に選ばれるブランドとしての地位を着実に確立しています。
3. GE Appliances(GEアプライアンス)

GEアプライアンスは、アメリカのケンタッキー州ルイビルに本拠地を置く老舗の家電ブランドで、そのルーツは100年以上前にさかのぼります。現在は中国のハイアールグループ傘下にあるものの、開発・生産の多くをアメリカ国内で行っており、「Made in USA」の家電として長年にわたり家庭に根づいてきたブランドです。2023年の市場調査(TraQline)によると、GEアプライアンスは売上ベースで18%、数量ベースで17%のシェアを誇り、サムスン・LG電子に続く第3位にランクイン。
GEアプライアンスの強みは、機能性・耐久性・操作のしやすさに重点を置いた「実用本位」の製品開発です。冷蔵庫や洗濯機、食洗機など、毎日の生活に欠かせない大型家電を中心に、幅広い価格帯・サイズでラインナップを揃えており、特にアメリカの一般家庭や郊外型住宅で高い人気を誇ります。
近年では、スマート家電の開発にも力を入れており、「SmartHQ(スマートHQ)」というアプリを通じて、GE製家電をスマホから操作・モニタリングできるようになっています。たとえば、洗剤が残り少なくなると洗濯機が自動でAmazonに洗剤を注文する、といった画期的な機能も。また、GE製品はAmazon AlexaやGoogle Assistantとも連携。音声操作にも対応している点が、スマートホーム化を志向するユーザーから好評を得ています。
GEアプライアンスは華やかな先端機能よりも、「誰でも扱いやすくて信頼できる家電」を目指すブランドです。堅実で長持ち、そして家庭の「主力選手」として頼れる存在。それが、今も昔も変わらぬGEアプライアンスの魅力と言えるでしょう。
4. Whirlpool Corporation(ワールプール)

ワールプールは1911年に創業したアメリカの老舗家電メーカーで、本社をミシガン州に構えています。冷蔵庫や洗濯機、乾燥機、レンジ、食洗機といったキッチン・ランドリー系の家電を中心に、100年以上にわたり家庭の基盤を支える製品を提供してきました。2023年の市場調査(TraQline)によると、ワールプールは売上ベースで15%、数量ベースで16%のシェアを記録し、GEに続く第4位というポジションを維持しています。
ワールプールの最大の魅力は、その安定した品質と実直なものづくりです。決して派手ではないものの、基本性能がしっかりしていて故障が少ない、という点が多くのアメリカ人家庭からの厚い信頼につながっています。特に、家族向けの一戸建て住宅や中西部から南部の家庭では、「家電といえばワールプール一択」と受け入れているユーザーが多いのが特徴です。
またワールプールはエネルギー効率にも力を入れており、多くの製品がアメリカ政府発行の省エネ製品マーク、「ENERGY STAR認証」を取得。地球環境への配慮と家計への優しさを両立しています。最近では、スマート家電分野にも積極的に参入しており、「ワールプールアプリ」を通じてスマートフォンからの操作や通知の受け取りが可能。洗濯機の進行状況をチェックしたり、オーブンの加熱を遠隔でコントロールしたりと、忙しい現代の生活にフィットした機能を提供しています。
なお、ワールプールはKitchenAid、Maytag、Amanaといった複数の人気ブランドも傘下に持っており、それぞれのターゲット層に合わせた製品展開も行っています。「安心して長く使える家電」を選びたいというアメリカのユーザーにとって、ワールプールは今も昔も心強い選択肢と言えるでしょう。
なぜ日本企業は消えた?
ランキングから、アメリカ家電市場を占めるのは韓国企業とアメリカ企業だということが分かりました。それではなぜ日本メーカーがアメリカ市場から姿を消したのでしょうか?理由は主に2つあります。
1つ目が韓国・中国企業の台頭です。韓国のSamsung・LG電子や、中国のHaierなどが圧倒的な存在感を見せるようになり、アメリカ家電市場が激化しました。日本企業はこれらの企業との価格競争で太刀打ちできず失速。規模縮小や撤退を余儀なくされました。
2つ目はアメリカ現地のニーズへの対応が遅れたことです。ランキングからも分かるように、アメリカでは遠隔操作をはじめとするスマート機能が非常に人気です。さらに日本企業は、アメリカならではの大型家電へのニーズをくみ取るのが遅れました。アメリカでのトレンドやライフスタイルを十分に製品へ反映できなかったことが敗因の1つと言えます。
日本企業はもう希望なし?
このようにアメリカ市場において後退した日本家電メーカーですが、アメリカ市場進出機会がゼロになったわけではありません。むしろ今の環境だからこそ、差別化の余地が非常に大きくあります。アメリカの消費者は今、単なる安さではなく、質の高さ・信頼性・使い心地・省エネ性能・デザイン性といった価値に敏感になってきています。これらはまさに日本企業が本来得意としていた部分です。
またアメリカでも富裕層を中心に、「プレミアム志向」の家電ニーズが高まっており、その分野では日本製の「丁寧なものづくり」「緻密な設計」「静音性」「省エネ性能」などが再評価される兆しも見えます。さらに、日本のロボット掃除機・調理家電・美容家電などは今も一定の人気があり、ニッチ市場やハイエンド層へのアプローチを通じて再進出を果たす可能性も十分あります。このようなニーズ、トレンドに細心の注意を払えば、アメリカ市場再進出も夢ではありません。
まとめ
本稿では、アメリカにおける家電製品市場について解説しました。かつての日本メーカーの権威は廃れ、現在は韓国などの企業が力を強めていること、そして品質やデザイン性に加え、スマート機能などといった最新機能がアメリカ人にとって需要が高いことが分かりました。これらの需要を正確に把握すれば、日本企業が進出することも十分にあり得る話です。
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