アメリカで話題のサステナブルファッションブランド5選

気候変動や労働環境の問題を背景に、ファッション業界においてもサステナブルというキーワードが強く求められるようになった近年。大量生産・大量廃棄を前提とした従来のファッションビジネスに対し、環境への負荷を抑えた素材の使用や、生産工程の透明性、フェアトレードの導入などを通じ、より持続可能な価値観に基づいたブランドづくりが進められています。

特にアメリカでは、こうした倫理的かつ環境配慮型の取り組みを積極的に打ち出すブランドが、多くの消費者から支持を集めるようになっており、業界全体の構造に変化が起こっています。サステナブルであることが、いまやブランド選びの重要な基準となっており、それは単なる流行ではなく、消費者のライフスタイルや価値観そのものに根付いた選択となりつつあるのです。

本記事では、各社のIR情報や業界メディアで紹介されている最新の年間売上、市場推定値などをもとに、アメリカ国内外で注目を集めているサステナブルファッションブランドをランキング形式で5つご紹介。Patagoniaのように長年エコを追求してきたリーダー企業から、ミレニアル世代やZ世代に人気の新興ブランドまで、それぞれがどのようにサステナブルを実践しているのかを、ビジネス面の成功事例とともに解説します。

今後、海外展開やブランド戦略を考えている企業担当者にとっては、サステナブル市場の動向や消費者ニーズの理解に役立つだけでなく、エシカルなブランドのあり方を考えるヒントにもなるはずです。また、日常生活の中で環境や社会に配慮した選択をしたいと考える個人にも、実際に支持されているブランドを知ることで、サステナブルライフの第一歩を踏み出すきっかけとなることでしょう。

▼ランキング

(最新年間売上)※米ドル表記、2025年7月時点

  1. Patagonia
  2. Reformation
  3. Everlane
  4. Allbirds
  5. Pact

1. Patagonia(パタゴニア)

出典:パタゴニア公式サイト
年間売上:約15億ドル(2022年)

現在アメリカで最も成功しているサステナブルファッションブランドの1つが「Patagonia(パタゴニア)」です。アウトドア用品の分野で広く知られ、創業当初から環境保護と社会貢献を経営の中核に据えた企業姿勢が、多くの消費者から支持を集めています。

Patagoniaのブランドとしての強みは大きく4つ。1つ目は、徹底した環境配慮です。製品には再生ポリエステルやオーガニックコットンを多用し、CO₂排出量の削減や水資源の保全に貢献しています。また、自社工場だけでなく、サプライチェーン全体の環境・人権基準にも厳格なポリシーを持ち、責任ある生産体制を築いています。

2つ目は、Worn Wearプログラムのような「製品の長寿命化」に対する取り組み。消費者が使い捨てるのではなく、修理や再販売を通じて愛着を持って使い続ける文化を啓発しており、リユースの仕組みでも業界をリードしています。

3つ目は、透明性の高い企業姿勢と社会活動です。年間利益の1%を環境保護団体に寄付する「1% for the Planet」や、近年話題になった創業者による「全株式を環境保護財団に譲渡」など、利益追求だけにとどまらない姿勢が共感を呼んでいます。

4つ目は、ブランドとしての高い信頼性とデザイン性の両立。環境に優しいだけでなく、高機能かつスタイリッシュな商品は、都市部の若年層からアウトドア愛好者まで幅広い層に支持されており、アメリカ国内外での売上を牽引しています。Patagoniaは、単なるアウトドアブランドではなく、「思想を着る」ブランドとして社会的存在感を高め続けているのです。

2. Reformation(リフォーメーション)

出典:リフォーメーション公式サイト
年間売上:3.5億ドル超(2023年)

Reformationは2009年、ロサンゼルスで創業されたアメリカ発のサステナブルファッションブランドで、エコ意識とファッション性を兼ね備えたモノづくりを特徴としています。洗練されたドレスやデニムを中心に展開しており、環境問題への意識が高い若者や、セレブ・インフルエンサー層からも強い支持を得ています。

Reformation最大の魅力は「気候に配慮した透明性のある生産体制」です。すべての商品にはカーボンフットプリント(CO2排出量)が表示されており、消費者が環境負荷を意識した選択ができるよう配慮されています。また、製品の75%以上に再生繊維やGOTS認証オーガニック素材を使用し、サプライチェーンの持続可能性を徹底。90%以上の自社工場はグリーンビルディング認証を取得しており、水の使用量削減や廃棄物管理にも力を入れています。独自の「RefScale」指標を導入し、製品ごとの環境影響を定量化・公開する姿勢も業界の先駆けといえます。

収益面でも安定した成長を見せており、2019年には欧州系投資ファンドPermiraが出資したことで拡大戦略が本格化。近年はeコマースと実店舗を併用し、ロサンゼルスやニューヨークなど主要都市での販売網を強化しています。2023年には年間売上が3.5億ドルを超えたと報じられ、急成長を続けるサステナブルブランドとしての地位を確立しました。

単なる“エコブランド”ではなく、環境と社会に配慮した価値観をファッションの中に自然に取り込み、それをスタイリッシュに表現するReformationの存在は、ファッション業界における「エシカルと美の両立」の象徴と言えるでしょう。

3. Everlane(エバーレーン)

出典:エバーレーン公式サイト
年間売上:約2億ドル(2025年)

2010年にMichael Preysman氏が創業したEverlaneは、「完璧なTシャツを作りたい」という思いからスタートしたサステナブルファッションブランドです。投資業界出身の彼は、ファッションそのものへの情熱というよりも、アパレル業界の不透明性を変えたいという強い意志を持ってブランドを立ち上げました。

ブランドの最大の特徴は、「Radical Transparency(徹底した透明性)」を掲げている点です。製品の価格構成や工場情報を公開し、消費者がその背景を知った上で商品を選ぶことができます。また、近年は全てのコットンをオーガニックに切り替える取り組みも始めており、環境への配慮を強化しています。一方で、製品の縫製や品質に関しては賛否両論もあり、「Good On You」では「Not Good Enough」と評価されています。

Everlaneは単なるモノの提供にとどまらず、社会課題への姿勢や顧客との関係性を重視することで、多くのミレニアル世代の支持を集めています。今後、ブランドとしての真価が問われる局面にあるといえるでしょう。

4. Allbirds(オールバーズ)

出典:オールバーズ公式サイト
年間売上:1.90億ドル(2024年)

Allbirdsは2016年にアメリカ・サンフランシスコで設立された、サステナブル素材に特化したスニーカーブランドです。ニュージーランド出身の元サッカー選手Tim Brown氏と、再生可能エネルギーの専門家だったJoey Zwillinger氏が共同で創業。「世界一快適な靴」と「地球に優しい製品」の両立を掲げ、急速に人気を博しました。

最大の特徴は、その素材選び。アッパー部分にはニュージーランド産のメリノウール、インソールにはユーカリ繊維やサトウキビ由来のフォームを使用。合成繊維や石油系素材に頼らず、自然由来のリニューアブル素材を活用しています。また、2020年には世界初の“カーボン・ネガティブ”な靴の開発にも着手し、製品ごとにCO2排出量を明示。一般的なスニーカーの平均排出量が12.5kg CO2eであるのに対し、Allbirdsの人気モデル「Wool Runner」は7.1kg CO2eに抑えられています。

環境配慮だけでなく履き心地にも定評があり、シリコンバレーのIT企業やエコ意識の高いミレニアル世代を中心に絶大な支持を得ています。2021年にはナスダック上場も果たし、今後は日本や韓国などアジア圏での展開にも注力していくとしています。

5. Pact(パクト)

出典:パクト公式サイト
年間売上:約6,500万ドル(市場推定)

 Pactはコロラド州ボルダーに本社を構えるオーガニック&フェアトレード志向のカジュアルブランドで、2009年創業以来「Earth’s Favorite Clothing(地球に優しい服)」を掲げて展開しています。

最大の特徴は、すべての製品にGOTS認証(オーガニック・テキスタイル国際基準)コットンを使用している点。化学肥料や遺伝子組み換え種子を使わないオーガニック農法で栽培された綿花を、フェアトレード認証を受けた工場で加工・縫製することで、地球環境と労働者の権利の双方に配慮しています。また、Pactはカーボンニュートラルにも積極的で、製品輸送時の排出量オフセットや、生産拠点のエネルギー効率改善にも取り組んでいます。

価格帯はTシャツが約30ドル、アンダーウェアは20ドル前後と手頃で、家族全員に向けた幅広いアイテムを揃えているのも魅力の1つ。ブランドとしては派手さはありませんが、「日常で無理なくサステナブルを実践したい」という層から根強い支持を得ています。

まとめ

アメリカのサステナブルファッション市場は、単なる流行を超え、消費者の購買行動やブランド選定の基準そのものを変えつつあります。Patagoniaのような長年のリーダーから、ReformationやEverlaneといった新興ブランドまで、各社は素材選定・生産工程・透明性といった側面で独自の価値を打ち出しています。今後グローバルに事業を展開していく企業にとっても、環境配慮やエシカルな姿勢を取り入れたブランド戦略は、重要な競争優位となるでしょう。弊社IGNITEでは、こうした海外市場でのブランド戦略立案から、Webマーケティング現地トレンド調査までを一貫して支援しております。サステナブルな価値観を踏まえた海外展開をお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した人
Erika S
コンテンツクリエイター
日本のサブカルチャーのローカライズを得意とするJA/ENバイリンガル・コンテンツクリエイター。
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