ここ数年、韓国ではセルフィーや写真撮影が単なる趣味の範囲を超え、自己表現やコミュニケーションの重要な手段として定着しています。特にスマートフォンを通じたSNSの普及により、写真アプリは「思い出を残すツール」から「自分を魅力的に見せる必須アイテム」へと進化しました。AIによる補正やフィルター、リアルタイム編集機能の向上に伴い、自然で洗練された仕上がりを求めるユーザーの需要はますます高まっています。
こうした流れを背景に、韓国国内では多彩な写真撮影アプリが登場し、それぞれが独自の機能や強みを前面に打ち出してユーザー獲得を競っています。シンプルで日常使いに最適なアプリから、AIを駆使した高度な加工ができるアプリまで、ニーズに応じた選択肢は非常に幅広くなっています。若年層を中心に、トレンドに敏感な利用者が複数のアプリを使い分ける傾向も強く、韓国ならではの写真文化を形作っています。
本記事では、韓国で実際に多くの人に使われている写真撮影アプリをランキング形式でご紹介します。それぞれのアプリがどんな特徴を持ち、どのようなユーザーに支持されているのかを分かりやすく整理しました。韓国のデジタル文化やライフスタイルの一端を知るきっかけとして、ぜひ参考にしてみてください。
▼ランキング
（市場のトレンドをもとに）
1.SNOW（스노우）
2.SODA（소다）
3.EPIK（에픽）
4.BeautyPlus（뷰티플러스）
1.SNOW（스노우）
出典：SNOW公式アプリ
SNOWは、韓国発のセルフィーアプリとして世界的に有名になった代表格であり、現在も韓国国内で最も多く利用されているカメラアプリのひとつです。2015年にリリースされて以来、韓国の若年層を中心に爆発的な人気を獲得し、今や10代から20代の必須アプリといえる存在となっています。
特徴は、リアルタイムで適用できる豊富なARフィルターとステッカー、そしてAIを活用した高度な顔認識補正機能にあります。単なる「美肌効果」にとどまらず、自然に肌のトーンを整えたり、顔の輪郭を微調整したりと、ユーザーが理想とするイメージに近づけることが可能です。その一方で加工感を強調しすぎず、自然で洗練された仕上がりになる点も評価されており、InstagramやTikTokなどSNSへの投稿に最適化されています。
さらにSNOWは「流行に敏感な若者文化」と密接に結びついています。K-POPアイドルや韓国の有名インフルエンサーが日常的に利用していることから、ファン層が同じフィルターやスタンプを使いたいという心理的な効果も人気を後押ししています。加えて、アプリ内ではシーズンごとに新しいフィルターや限定スタンプが追加されるため、ユーザーは飽きることなく常に新鮮な体験を楽しめるのも魅力です。
SNOWの強みはセルフィー機能にとどまりません。動画撮影や短いクリップ編集機能も充実しており、簡単にミュージックビデオ風の映像を作成できます。これは韓国のZ世代が好む「自己表現」と「シェア文化」にぴったり合致しており、SNS映えを意識するユーザーにとって大きな価値を持っています。加えて、アジアを中心にグローバル展開を進めており、日本や中国、東南アジアでも広く使われています。韓国国内だけでなく、世界的にも「セルフィー文化」を象徴するアプリといえるでしょう。
SNOWは、多彩なフィルター×自然な補正×エンタメ性 を兼ね備えたアプリとして、韓国の写真アプリ市場をリード。セルフィー文化が根強い韓国において「なくてはならない存在」であり、今後もトレンドを発信する中心的な役割を担い続けると考えられます。
2.SODA（소다）
出典：SODA公式アプリ
SODAは、SNOW Corporationが開発したセルフィー専用カメラアプリで、韓国国内で特に20代女性を中心に高い支持を集めています。SNOWが「遊び心のあるフィルターやARエフェクト」で若年層を惹きつけているのに対し、SODAは「自然な美肌補正」と「シンプルな操作性」を前面に打ち出した点が特徴です。
アプリを起動するとすぐにカメラが立ち上がり、直感的にフィルターや補正機能を選べるため、複雑な編集に時間をかけることなく「自然で洗練されたセルフィー」を撮影できるのが最大の魅力です。韓国では「過度に加工した写真」よりも「自然に盛れる写真」が好まれる傾向が強まっており、SODAはまさにそのニーズに応える形で人気を獲得しました。美白や輪郭補正といった基本機能はもちろん、肌の質感を保ちながら透明感を高めるフィルターや、ナチュラルなカラー調整が可能な機能が多く搭載されています。特に「ノーメイクでも綺麗に見せてくれる」補正は女性ユーザーからの評価が高く、普段使いのカメラとして定着しています。
また、SODAは韓国のSNS文化との親和性も非常に高いアプリです。Instagramやカカオトークのプロフィール写真、さらには就活用の証明写真や自己紹介用のポートレートなど、日常からフォーマルな場面まで幅広く活用されています。さらに、同じSNOW系列のアプリと比較して広告や課金要素が少なく、ライトユーザーにとってもストレスなく利用できる点が人気を支える要因となっています。
利用者層のデータを見ると、SODAは特に女性ユーザー比率が高く、ブログや調査記事では全体の約8割近くを占めると分析されています。これは「盛れるけれど盛りすぎない」というコンセプトが、自己表現に敏感で自然な美しさを求める層に刺さっていることを示しています。さらにGoogle Playでは1,000万回以上のダウンロードを記録しており、韓国内外で安定した人気を誇っています。
総じてSODAは、「シンプルで直感的」「自然に美しく写せる」「日常使いに最適」 という三拍子を揃えたセルフィーカメラアプリです。韓国におけるセルフィー文化の中で、過度な演出を避けながら「ちょうどよい加工」を求めるユーザーに最適な選択肢となっており、SNOWと並んで韓国の写真アプリ市場を代表する存在として定着しています。
3.EPIK（에픽）
出典：EPIK公式アプリ
EPIKは、SNOW Corporationが提供する比較的新しい写真・動画編集アプリで、韓国国内で急速に人気を拡大している注目株です。従来のセルフィーカメラアプリが「リアルタイム補正」や「フィルター」を重視していたのに対し、EPIKはAIを駆使した高度な編集機能を搭載し、撮影後の加工やクリエイティブな表現を重視している点が特徴です。ユーザーは自撮りや風景写真を撮った後、AIによる自動補正機能を使って肌の質感を自然に調整したり、被写体を強調する色彩コントロールを加えたりと、多様な表現を楽しむことができます。
Z世代を中心に「オリジナリティのある投稿」を求めるニーズが強く、InstagramやTikTokに合わせた写真加工をしたいユーザーが熱狂的に指示。韓国のApp Store「写真・ビデオ」カテゴリで収益ランキング上位に入るなど、その利用率の高さが数字にも表れています。
AIによる顔認識や背景処理は非常に精度が高く、プロのフォトグラファーが編集したかのような仕上がりをワンタップで実現できるのもユーザーの心を掴んでいるポイントです。コラージュやテンプレート編集機能も充実しており、複数の写真を組み合わせて一枚のビジュアル作品を作ることも可能です。韓国の若者が好む「ストーリー性のある投稿文化」と非常に親和性が高く、日常の一コマをただの記録ではなく「表現」に変える役割を果たしています。
シンプルなセルフィーアプリに比べて編集機能が豊富なため、使いこなすのに少し慣れが必要ですが、それが逆に「クリエイティブ志向のユーザー」にとっては魅力となり、独自のポジションを確立しています。総合的に見るとEPIKは、セルフィーアプリ市場における「次世代型編集アプリ」として、韓国ユーザーの自己表現欲求に応える存在となっています。SNOWやSODAのように「手軽に盛る」ではなく、「より個性的に見せる」ことを重視したアプローチが、多様化する韓国のデジタル写真文化を象徴していると言えるでしょう。
4.BeautyPlus（뷰티플러스）
BeautyPlusは世界的に広く利用されているセルフィー編集アプリであり、韓国においても長年高い人気を維持している代表的なカメラアプリの一つです。SNOWやSODAのような韓国発のアプリがリアルタイムの補正やフィルターを重視しているのに対し、BeautyPlusは撮影後の編集機能に強みを持ち、ユーザーが自分好みに細かく写真を調整できる点が大きな特徴。肌のトーン調整やシミの除去、目の大きさや輪郭の補正といったAIによる自動美顔機能は非常に精度が高く、加工感を抑えつつも理想的な仕上がりに整えることができます。そのためInstagramやカカオトークのプロフィール写真、就活やビジネス用の証明写真にまで幅広く利用されており、単なる遊びのツールにとどまらず実用性の高いアプリとして位置づけられています。
またBeautyPlusはフィルターやテンプレートが豊富で、シーズンやトレンドに合わせて定期的に新しいデザインが追加されるため、ユーザーは常に新鮮な感覚で写真編集を楽しむことができます。韓国の若者はSNSへの投稿において「自分らしさ」と「洗練された見た目」を両立させたいと考える傾向があり、そのニーズに合致したBeautyPlusは安定した人気を誇ります。
韓国では「自然で綺麗に見える」ことを重視する文化が強く、過度な加工を避けたいユーザーにとって、ナチュラルに仕上がるBeautyPlusは理想的な選択肢となっています。ユーザー層も幅広く、若年層だけでなく30代や40代の女性からも支持されており、他のカメラアプリより年齢層が多様である点も特徴的です。加えて、韓国市場においては広告やSNSマーケティングを通じて認知度が高められ、特にコスメブランドやインフルエンサーがBeautyPlusを活用した発信を行うことで、利用者の信頼性と人気がさらに強化されています。
「自然さ」と「編集自由度」を両立したアプリとして韓国市場で確固たる地位を築いているBeautyPlus。セルフィー文化を支える存在であると同時に、韓国人ユーザーのライフスタイルや価値観に寄り添うツールとして今後も長く利用され続けることが期待されます。
まとめ
韓国では、写真アプリが単なる撮影ツールを超えて、人々の生活や自己表現の一部として定着しています。アプリごとに異なる補正機能やフィルターがあり、利用シーンや好みに応じて選ばれるのは、韓国の多様な価値観やデジタル文化の広がりを映し出しています。こうした動向は、韓国の若年層を中心にしたライフスタイルや消費行動を理解する上で、欠かせない手がかりとなるでしょう。
株式会社IGNITEでは、韓国市場への展開を目指す企業様に向け、現地ユーザーのニーズやトレンドを的確に捉えたマーケティング支援を行っています。調査・戦略立案からコンテンツ制作、SNS運用や翻訳までワンストップで対応し、韓国の文化や利用習慣に即したプロモーションを実現。現地目線に立ったアプローチで、企業と韓国ユーザーをつなぐサポートをいたします。
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