「海外からの問い合わせを増やしたい」「訪日外国人にもっと自社のサービスを知ってもらいたい」こうした悩みを抱える企業にとって、多言語サイトの制作は有効な解決策のひとつです。しかし、実際に多言語化に踏み切るかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、多言語サイトを制作することで得られる具体的なメリットと、成功事例、そして導入時に押さえておきたいポイントを詳しく解説します。これから多言語対応を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
多言語サイトとは?
多言語サイトとは、1つのWebサイト内で複数の言語によるコンテンツを提供するサイトのことです。たとえば、日本語をメインとしながらも、英語版や中国語版のページを用意しているサイトがこれに該当します。
ここで重要なのは、多言語サイトと単なる「翻訳サイト」の違いを理解することです。翻訳サイトは、既存の日本語コンテンツを機械的に他言語に置き換えただけのものを指すことが多いですが、多言語サイトはそれ以上の意味を持ちます。各言語圏のユーザーに向けて、文化的な背景や検索習慣、読者のニーズを考慮した上でコンテンツを最適化することが求められます。つまり、単に言葉を翻訳するだけでなく、その国・地域のユーザーに響くコンテンツ設計を行うことが本質的な多言語対応といえるのです。
対応言語の選び方については、自社のビジネスがどの国・地域をターゲットにしているかによって異なります。一般的には、英語は国際共通語として最優先されることが多く、次いで中国語(簡体字・繁体字)、韓国語が選ばれます。
近年では、東南アジア市場の拡大に伴い、タイ語やベトナム語への対応を検討する企業も増えています。自社の顧客データやアクセス解析を確認し、どの国からのアクセスや問い合わせが多いかを把握した上で、優先順位を決めることをおすすめします。
多言語サイトを制作する5つのメリット
多言語サイトを構築することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。ここでは、特に重要な5つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

海外市場へのアクセス拡大
多言語サイトの最大のメリットは、海外市場への扉を開けることです。日本語のみのWebサイトでは、当然ながら日本語を理解できるユーザーしか情報にアクセスできません。しかし、英語や中国語などの言語に対応することで、世界中のユーザーがあなたの製品やサービスについて知ることができるようになります。
実際に、多言語サイトを立ち上げた企業では、海外からの問い合わせが大幅に増加したという事例が数多く報告されています。
たとえば、ある製造業の企業では、英語サイトを公開してから半年で海外からの問い合わせ数が3倍になったというケースもあります。これは、これまでリーチできなかった潜在顧客に情報を届けられるようになった結果です。新規顧客の獲得という観点で、多言語サイトは非常に効果的な投資といえるでしょう。
インバウンド需要の取り込み
訪日外国人観光客の数は年々増加傾向にあり、観光業や飲食業、小売業にとってインバウンド対応は重要な課題となっています。多言語サイトを持つことで、日本への旅行を計画している外国人が事前に情報収集する際に、自社のサービスを見つけてもらいやすくなります。
訪日外国人は旅行前にインターネットで情報を収集することが一般的です。宿泊施設やレストラン、観光スポットなど、自分の言語で情報が提供されているサイトは、予約や購入の際のハードルを大きく下げます。「英語で予約できる」「中国語で詳細が確認できる」という安心感は、ユーザーの行動を後押しする重要な要素なのです。
ブランドの信頼性向上
多言語サイトを持つことは、企業のグローバルな姿勢を示すことにもつながります。海外の取引先や顧客から見たとき、自国語で情報が提供されている企業は、国際ビジネスに対する真剣さや配慮が感じられ、信頼性が高まります。
特にBtoB企業においては、取引先の意思決定者が最初にチェックするのはWebサイトであることが多いです。その際、現地語で詳細な情報が確認できれば、「この企業は国際取引に慣れている」「私たちの市場を理解している」という印象を与えることができます。現地語対応による安心感は、商談のスムーズな進行や成約率の向上にも寄与するのです。
SEO効果(海外検索エンジン対策)
多言語サイトを適切に構築することで、各言語での検索エンジン最適化(SEO)効果が期待できます。たとえば、英語版のページを作成することで、Googleの英語圏向け検索結果に表示される可能性が高まります。同様に、中国語版を用意すれば百度(Baidu)からの流入も見込めます。
多言語SEOを成功させるためには、hreflangタグの適切な設定が欠かせません。hreflangタグとは、検索エンジンに対して「このページはどの言語・地域向けのコンテンツか」を伝えるためのHTMLタグです。これを正しく設定することで、検索結果に適切な言語版のページが表示されるようになり、ユーザー体験の向上と検索順位の改善が期待できます。
競合との差別化
意外に思われるかもしれませんが、まだ多くの企業が多言語対応に着手していないのが現状です。特に中小企業においては、日本語のみのWebサイトで運営しているケースが大半です。そのため、早い段階で多言語サイトを構築することは、競合との明確な差別化要因となります。
海外の顧客やパートナーが複数の日本企業を比較検討する際、自国語で情報を提供している企業があれば、そちらを選ぶ可能性は高くなります。先行者優位を獲得し、市場でのポジションを確立するためにも、多言語対応は有効な戦略です。
多言語サイトが成功しやすい3つのパターン
多言語サイトを制作すれば必ず成功するわけではありません。成果を上げている企業には共通点があります。ここでは、多言語サイトが特に効果を発揮しやすい3つのビジネスパターンを解説します。成功しやすいパターンに共通するのは、すでに需要が存在する市場を狙っていること、そしてターゲット顧客が積極的に情報を探している状態にあることです。

パターン1: 製造業(BtoB海外展開)
精密機器や工業製品を扱う製造業は、多言語サイトの効果が出やすい代表的な業種です。その理由は、海外のバイヤーや調達担当者が能動的にサプライヤーを検索しているからです。「precision parts manufacturer Japan」「industrial equipment supplier」といったキーワードで検索し、候補となる企業を探しているのです。
この市場が成功しやすい理由は明確です。まず、日本の製造業には技術力という明確な強みがあり、海外から「日本から調達したい」という需要が存在します。次に、BtoB取引では製品スペック、品質認証、対応規格などの詳細情報が意思決定に必要であり、Webサイトがその情報源として機能します。実際に、多言語サイトを公開した製造業では、海外からの問い合わせが前年比250%に増加し、大型案件の成約につながったケースもあります。
パターン2: 観光業(インバウンド)
旅館、ホテル、体験施設などの観光業も、多言語サイトの恩恵を受けやすい業種です。訪日外国人は旅行前に宿泊先や観光スポットを自国語で検索する習慣があり、その検索ニーズに応えるコンテンツを持つことで、直接的な集客が可能になります。
観光業が成功しやすい背景には、訪日観光市場の継続的な成長があります。韓国からは月間82万人以上、中国からは56万人以上が訪日しており、これらの訪日客は宿泊先を決める際にインターネットで情報収集します。多言語サイトを持つことで、OTA(オンライン旅行代理店)経由ではなく直接予約を獲得でき、15〜20%の手数料削減による収益性向上も実現できます。
パターン3: EC(越境EC)
日本製品に関心を持つ海外消費者をターゲットにした越境ECも、多言語サイトが効果を発揮する領域です。アパレル、化粧品、食品、伝統工芸品など、「Made in Japan」のブランド価値を持つ商品には、すでに海外からの需要が存在しています。
越境ECが成功しやすいのは、購買意欲の高いユーザーにリーチできるためです。SNSで日本の商品を知り、「どこで買えるのか」を検索している消費者が多数存在します。彼らに向けて英語や中国語で購入可能な導線を提供することで、潜在需要を売上に転換できます。サイズ表記の国際規格対応や多通貨決済など、海外顧客の購入障壁を下げる工夫と組み合わせることで、初年度から海外売上が全体の15%を占めるまで成長した事例もあります。
成功パターンに共通する3つの要素
これら3つのパターンに共通するのは、以下の要素です。
- 需要がすでに存在する: ターゲット市場に「日本から買いたい」「日本を訪れたい」という明確なニーズがある
- 検索行動が発生している: 潜在顧客がGoogleやその国の検索エンジンで積極的に情報を探している
- Webサイトが意思決定に影響する: 購入・予約・問い合わせの判断において、詳細な情報提供が重要な役割を果たす
逆に言えば、これらの要素が弱い市場では、多言語サイトを作っても期待した成果が出にくい可能性があります。自社のビジネスがどのパターンに近いかを見極めることが、多言語化投資の成否を分けるポイントとなります。
多言語サイト制作の進め方
多言語サイトを成功させるためには、計画的な進め方が重要です。ここでは、制作プロセスの主なステップを解説します。

まず最初に行うべきは、対応言語の選定です。前述のとおり、自社のターゲット市場や既存顧客の分布、アクセス解析のデータなどを参考にして、どの言語から対応するかを決めます。すべての言語を一度に対応しようとするとコストも工数も膨大になるため、優先順位をつけて段階的に展開するのが現実的です。
次に、翻訳方法の選択があります。主な選択肢としては、機械翻訳(Google翻訳やDeepLなど)とネイティブによる人力翻訳があります。機械翻訳はコストを抑えられる反面、ニュアンスの誤りや不自然な表現が生じるリスクがあります。
一方、ネイティブ翻訳は品質は高いですが、コストと時間がかかります。実務的には、重要なページ(トップページ、サービス紹介、問い合わせ)はネイティブ翻訳を使い、更新頻度の高いブログ記事などは機械翻訳+ネイティブチェックという組み合わせが効率的です。
CMSや技術的な構成についても事前に検討が必要です。多言語対応に強いCMSを選ぶことで、コンテンツ管理の効率が大きく変わります。WordPressであればWPMLやPolylangといった多言語プラグインが利用可能ですし、WebflowやShopifyなども多言語サイトの構築に対応しています。サイトの規模や運用体制に合わせて、最適なCMSを選定しましょう。
最後に、運用体制の構築も忘れてはなりません。多言語サイトは作って終わりではなく、継続的なコンテンツ更新が求められます。日本語サイトを更新したら、それに合わせて他言語版も更新する必要があります。社内に翻訳リソースがない場合は、外部の翻訳パートナーとの継続的な連携体制を整えておくことが重要です。
多言語サイト制作でよくある失敗と対策
多言語サイトの制作においては、いくつかの典型的な失敗パターンがあります。事前にこれらを理解しておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。
最も多い失敗は、直訳による不自然な表現です。
日本語の文章をそのまま翻訳すると、文法的には正しくても、ネイティブには違和感のある表現になることがあります。たとえば、日本語特有の回りくどい言い回しや、主語の省略などは、他言語ではそのまま適用できないケースが多いです。これを防ぐためには、翻訳後にネイティブスピーカーによるレビューを必ず行うことが重要です。
次に、文化的配慮の欠如も見落とされがちなポイントです。色やイメージの持つ意味は文化によって異なりますし、使用する写真や表現も、対象地域に配慮したものにする必要があります。たとえば、中国向けサイトでは赤色が縁起の良い色として好まれますが、他の地域では異なる印象を与える可能性があります。ローカライズという観点で、単なる言語変換以上の配慮を心がけましょう。
また、更新が追いつかない問題も深刻です。日本語サイトは頻繁に更新されるのに、多言語版は古い情報のままというケースは少なくありません。これではユーザーの信頼を損ねますし、SEO的にもマイナスです。運用フローの中に多言語更新のステップを組み込み、担当者を明確にしておくことが対策となります。
まとめ
多言語サイトの制作は、海外市場へのアクセス拡大、インバウンド需要の取り込み、ブランドの信頼性向上、SEO効果、競合との差別化という5つの大きなメリットをもたらします。グローバル化が進む現代のビジネス環境において、多言語対応は「あれば良い」ではなく、「なければならない」要素になりつつあります。
成功事例からも分かるように、適切な戦略設計と確実な実行があれば、多言語サイトは着実にビジネス成果を生み出します。重要なのは、単なる翻訳にとどまらず、各言語・文化圏のユーザーに合わせた最適化を行うことです。
多言語サイトの制作をご検討中の方は、ぜひ一度IGNITEへご相談ください。貴社のビジネス目標に合わせた最適な多言語サイト戦略をご提案いたします。
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