TikTokが新聞代わり?アメリカZ世代の情報源ランキング

スマホ世代と呼ばれるZ世代。彼らは生まれたときからインターネットと共に育ち、ニュースの受け取り方も従来の常識とはまったく異なります。もはや新聞やテレビに頼らず、SNSや動画アプリから日常的に情報を得るのが当たり前。情報のスピード、視覚的なインパクト、そして「誰から聞くか」が、彼らの信頼の基準になっています。では、そんなZ世代はいったいどのプラットフォームを通じて、日々どんなふうにニュースをキャッチしているのでしょうか?
本記事では2024年の最新調査をもとに、アメリカのZ世代が情報を収集する主要メディアTOP10をランキング形式でご紹介します。今回は、Ask Attest社が2024年11月にアメリカの21歳から27歳の成人Z世代を対象に行った調査を基にランキングを制作しました。意外な1位や、今後注目すべきメディアのヒントが見つかるかもしれません。
▼ランキング
(使用者が多い順)
- TikTok 21.0%
- YouTube 15.7%
- ニュースアプリ 15.6%
- X(旧Twitter) 13.5%
- Instagram 12.4%
- Facebook 12.2%
1. TikTok

出典:TikTok公式サイト
第1位にランクインしたのは、なんとTikTok。ダンスやネタ動画で知られるこのアプリが、今やZ世代にとって最も使われているニュースアプリになっているのは意外かもしれません。しかもTikTokは現在、アメリカ国内で「禁止寸前」の状況にあります。TikTokは、2024年に可決された法律により2025年1月に禁止される予定でしたが、トランプ政権が大統領令によって禁止を3度にわたって延期。現時点では2025年9月17日まで利用可能となっています。
TikTokでは時事問題、政治、災害速報から国際情勢まで、幅広いテーマが短尺動画で次々と配信されています。人気のニュース系インフルエンサーは難しい内容を数分で噛み砕いて解説し、コメント欄ではユーザー同士が議論を交わします。ニュースが「流れてくる」だけでなく、自分ごと化されて届くのが最大の強み。アルゴリズムが関心に応じて情報を届けてくれるため、「知らない間に知っている」状態が生まれやすいのもZ世代に刺さる理由です。
2. YouTube

出典:YouTube公式サイト
第2位に選ばれたのはYouTube。TikTokと並び、Z世代の生活に欠かせない動画プラットフォームですが、ここもまた「ニュースへの入り口」として非常に強い存在感を示しています。2024年の調査では、Z世代アメリカ人男性の22%がYouTubeを通じてニュースを得ていると回答しており、テレビや新聞といった旧来のメディアよりも圧倒的に高い利用率を誇っています。
YouTubeの強みは、ニュースの深さと自由さの両立にあります。速報性や要点を短くまとめた動画はもちろんのこと、ドキュメンタリー風の深掘り解説や、報道系YouTuberによる視点の違う分析も人気。政治、経済、社会問題、国際情勢など、あらゆるジャンルが網羅されており、ユーザーは「知りたいことを好きな時間に、好きなスタイルで学ぶ」ことができます。
また、コメント欄やリアクション動画を通じた「意見の共有」もZ世代の特徴。テレビのように一方通行ではなく、ニュースをきっかけに対話が生まれる場としてYouTubeは機能しています。信頼できるチャンネルを自分で選び、複数の視点を比較しながら自分なりに判断する。Z世代の情報リテラシーの高さを支える土台にもなっているのが、このYouTubeという情報源です。
3. ニュースアプリ

ランキング第3位に入ったのは、「ニュースアプリやWebサイト」。YouTubeと同等に肩を並べる利用率で、Z世代の中でも「情報の信頼性やバランス感覚を重視する層」に支持されています。特に、Apple NewsやGoogle Newsなどのキュレーション型アプリは自分の関心分野に合ったニュースを自動で集めてくれると重宝されています。さらに、ニュースアプリではSNSメディア特有の余計な情報を避けつつ、効率よく情報を得る手段として活用されています。
また、The New York TimesやThe Washington Post、NPRなどの伝統的メディアの公式アプリやWebサイトも、ニュースの一次情報に触れたいZ世代にとっては重要なチャネル。自分の判断で複数のソースを比較し内容を検証する姿勢は、いわば「ニュースリテラシー志向」を持つZ世代ならではの手法です。SNSで流れてくる断片的な情報に違和感を覚えたとき、「情報を確認しに行く」先としてもニュースアプリは信頼されています。エンタメ寄りの入り口から一歩進んで「本当のことを知りたい」と思ったとき、こうしたアプリはZ世代の心強い「セカンドオピニオン」になっているのです。
4.X(旧Twitter)

出典:X公式サイト
第4位にランクインしたのは「X(旧Twitter)」。かつてはニュース速報や政治議論のメインプラットフォームとして絶大な影響力を誇りましたが、近年はTikTokやYouTubeの台頭に押されています。それでもなお、Z世代のニュース取得手段として根強い支持を保っています。調査によると、約17.4%ものZ世代のアメリカ人男性がニュース源としてXを利用しており、特にリアルタイムの速報性や、ジャーナリストやインフルエンサーから直接情報を得られる点が魅力です。
Z世代にとってのXは単なるニュース閲覧の場ではなく、政治的意見や社会問題について多様な視点が飛び交う「議論の場」としての役割も大きいです。ハッシュタグやトレンド機能を使って関心のあるテーマを追いかけたり、気になるニュースについて即座に反応・発信したりするなど、双方向的なコミュニケーションが活発です。
ただしフェイクニュースや過激な投稿も散見されるため、情報の取捨選択能力が問われるプラットフォームでもあります。とはいえ、ニュースを「自分ごと」にするための重要なソーシャルメディアとして、Z世代の情報収集に根強く存在感を放っています。
5. Instagram

第5位にランクインしたのは「Instagram」。写真や動画を軸としたSNSとして知られるInstagramは、Z世代のニュース取得にも欠かせないプラットフォームとなっています。2024年の調査では男女ともに多くのZ世代がニュースの入り口としてInstagramを利用していることが分かっています。
Instagramのニュースコンテンツは、ストーリーズやリール、インフォグラフィックスなど視覚的に訴える形式が特徴です。特に政治や社会問題、環境問題などのトピックが、写真やグラフ、短い動画を通じてわかりやすく伝えられています。また、信頼できるニュースメディアやインフルエンサーが公式アカウントを通じてリアルタイムに情報を発信し、フォロワーと直接コミュニケーションを取ることで、ニュースの理解が深まっています。
さらに、ユーザー同士がコメントやDMで意見交換を行うことも多く、Instagramはニュースを単に「受け取る場所」ではなく、「参加し、共有する場」として機能しているのがZ世代に支持される理由の一つです。
6.Facebook

第6位にランクインしたのは「Facebook」。かつてはニュースや情報収集のメインプラットフォームでしたが、Z世代の間では若干利用率が低下しているものの、依然として約12%のZ世代がニュース取得の手段として利用しています。特に家族や地域のコミュニティ、趣味のグループを通じて地元ニュースや関心の高いトピックを共有する場として根強い支持を得ています。
Facebook上のニュースの特徴は、友人や知人からのシェアを通じてニュースが広がる口コミ的な性質。友達の投稿を通じて政治や社会問題に触れることが多く、またFacebookが推奨するニュースソースもタイムラインに流れるため、意外な情報との出会いもあります。ただし、情報の信憑性には注意が必要で、フェイクニュースの拡散も問題視されています。
それでも、Facebookは家族や年長者世代とのつながりが強いZ世代にとって、ニュースを知る手段のひとつとして今なお欠かせない存在となっています。
まとめ
Z世代のニュースの入り口は従来のテレビや新聞とは大きく異なり、SNSや動画プラットフォームが圧倒的な存在感を示しています。TikTokやYouTubeを筆頭に、InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなど多様なデジタルメディアが日常的な情報源となっています。彼らは短尺動画やインフォグラフィック、インフルエンサーの解説を通じて、忙しい中でも効率的かつ視覚的にニュースを吸収し、コメントや共有を通じて能動的に議論に参加しています。一方で、ニュースアプリや検索エンジンも信頼できる情報を得るための重要な役割を担い、SNSで流れる情報の検証や裏取りの場として機能しています。
こうした複数のチャネルを使い分けることでZ世代は情報リテラシーを高め、偏りのない多角的な理解を目指していると言えるでしょう。今後、企業やメディアがこの世代へ情報を届けるためには、彼らの多様な情報取得スタイルを理解し、SNSや動画を軸にした戦略が欠かせません。
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