あなたの相棒はどれ?アメリカZ世代が日常生活で使うAIアシスタント5選

近年、アメリカ市場ではZ世代(1997年〜2012年生まれ)を中心に、AIアシスタントの活用が日常化しています。彼らはスマートフォンやSNSと共に育った「デジタルネイティブ」であり、テクノロジーを直感的かつ柔軟に取り入れることに長けた世代。調べもの、音声操作、学習補助、SNS投稿のサポートに至るまで、彼らの生活の中にはすでにさまざまなAIアシスタントが溶け込んでおり、それぞれのツールはライフスタイルやニーズに応じて使い分けられています。
中でも注目すべきは、従来の音声アシスタントだけでなく、チャット形式の生成AIや、SNSに統合されたAIアシスタントの利用が急増している点。AppleのSiriやGoogle Assistantといった定番ツールに加え、ChatGPTやSnapchat My AIのような“会話型AI”が、Z世代の情報収集や感情的なつながりを補完する役割を担っています。
こうした変化は、アメリカ市場でサービスや製品を展開しようとする日本企業にとって、大きなチャンスになるかもしれません。Z世代は、新しい技術を受け入れるだけでなく、自らの価値観にフィットするサービスを選び取る「選択する消費者」でもあります。
本記事では、アメリカ発のテック業界向けメディア「Built In」の情報をもとに、アメリカZ世代が日常生活で使っている主要なAIアシスタントをランキング形式で紹介。それぞれの特徴や使われ方などを解説していきます。
ランキング
- Siri
- Google Assistant
- Amazon Alexa
- Meta AI
- Bixby
1. Siri

出典:Siri公式サイト
Siri(Apple)は、iPhoneやiPad、Apple Watchなどに標準搭載されている音声アシスタントで、アメリカのZ世代にとって最も身近なAIツールのひとつ。音声によるメッセージ送信や天気予報の確認、アラーム設定、音楽再生、経路検索など、基本的な機能をシームレスに操作できる点が強みで、スマートフォンを手にすることなく日常のタスクをこなすことが可能です。
Z世代はテキストよりも音声やビジュアルでの操作を好む傾向があり、Siriの直感的なUIはそうしたニーズと一致しています。Apple WatchやAirPodsとの連携により、運転中や移動中でも「Hey Siri」と声をかけるだけで簡単に操作できる利便性が評価されています。また、Siriを使ってタイマーを設定したり、SNS投稿の下書きを音声入力したりと、日常生活のあらゆる場面に浸透。
さらに、Apple製品全体とのエコシステムの中にSiriが組み込まれていることで、他社製のAIアシスタントに比べて一貫したユーザー体験を提供できている点も重要です。Z世代の多くがiPhoneユーザーであることから、Siriは“意識せずとも使っているAI”として自然に日常の中に溶け込んでいます。今後、AppleのAI機能がより進化していくにつれ、Siriの役割も情報検索や感情理解、パーソナライズドなサポートへと広がっていくと期待されています。日本企業がZ世代向けサービスを展開する際にも、Siri連携を視野に入れたUX設計は今後の重要なポイントとなるでしょう。
2. Google Assistant

Google Assistantは、Googleが開発したAI音声アシスタントで、AndroidスマートフォンやGoogle Home、Nestデバイス、さらにはChromeブラウザやWear OS搭載スマートウォッチなど、幅広いプラットフォームに統合されています。アメリカでは特にAndroidユーザーを中心に広く使われており、Z世代にとっても生活の中に自然に溶け込んだ存在。
Z世代の利用シーンとして多いのは、音楽再生(SpotifyやYouTube Musicと連携)、天気やニュースの確認、カレンダー管理、アラーム設定、メッセージの送信、スマートホームの操作など。「OK Google」や「Hey Google」と話しかけるだけで瞬時に反応するスピード感と精度の高さが好評です。Google検索と連携した強力な情報収集能力により、調べものや翻訳、宿題の手助けにも活用されています。
YouTubeをはじめとするGoogleのエコシステムと親和性が高く、Z世代にとっては日常的な情報収集やエンタメ体験をサポートする“デジタルパートナー”としての役割を担っています。特に、スマートディスプレイ付きのGoogle Nest Hubでは、ビジュアル情報を交えながら直感的に操作できるため、音声だけでなく視覚的なフィードバックを求めるZ世代にとって理想的なツールとなっています。
Google Assistantは、開放性の高いAPIも特徴で、外部アプリやサービスとの連携が柔軟にできるため、日本企業が米国向けにサービスを展開する際にも、Google Assistantとの統合はユーザー体験を向上させる有力な選択肢になります。Z世代に響く「使いやすくて役立つAI体験」を届けるための一歩として、注目すべきプラットフォームといえるでしょう。
3. Amazon Alexa

出典:Alexa公式サイト
Amazon Alexaは、Amazonが提供する音声AIアシスタントで、主にスマートスピーカー「Echo」シリーズやスマートディスプレイ「Echo Show」などを通じて利用されています。アメリカの家庭ではすでに広く普及しており、Z世代の間でも家族やルームメイトと共有しながら使う「家庭内アシスタント」としての位置づけが強まっています。
Z世代の主な利用シーンとしては、音楽のストリーミング(SpotifyやAmazon Musicと連携)、アラームやタイマーの設定、天気・交通・ニュースの確認、リマインダーの登録など。Echoデバイスは音声で操作できるため、ハンズフリーでの使用が好まれる傾向にあります。料理中や勉強中、ベッドにいるときなど、手を使わずにタスクをこなせる便利さが評価されています。
また、Alexaには数多くの「スキル(Skills)」と呼ばれる拡張機能が用意されており、ゲームや瞑想、クイズ、語学学習など、エンタメや自己啓発用途にも幅広く使われています。Z世代の“ちょっとした時間”を埋めるツールとしても、Alexaは自然に生活に組み込まれている魅力です。さらに、照明・エアコン・テレビなどのスマート家電と連携させることで、Z世代の「自分らしい部屋作り」「スマートな暮らし」への関心ともマッチしています。
最近では、チャット的な会話能力も進化し、Alexaを“話し相手”として使う若者も増えています。Alexaの声のバリエーションやユーモア性が親しみやすく、家の中での存在感が高まっています。日本企業がアメリカ市場においてZ世代向けのサービスや製品を展開する際には、Alexaとの連携やAlexa対応スキルの開発は、ユーザーとの接点を広げるうえで大きな可能性を秘めています。
4. Meta AI

出典:Meta AI公式サイト
Meta AIは、Meta(旧Facebook)が展開するAIアシスタントで、特にInstagramやFacebook Messenger、WhatsAppなどのSNSプラットフォーム上に統合される形で提供されています。Z世代が日常的に利用しているSNSと深く連携しているため、アメリカの若年層の間では急速に存在感を高めつつあります。
最大の特徴は、ユーザーが普段使っているチャットアプリ内で、まるで友達と会話するような感覚でAIと自然にやりとりできる点です。Messengerで友人と旅行の予定を立てている際に、Meta AIにそのまま「おすすめのホテルは?」「天気はどう?」と尋ねることで、会話を中断することなく情報を取得できます。この“会話の流れの中に入り込む設計”が、マルチタスクが得意なZ世代にフィット。
また、Metaは自社の生成AIモデル「Llama」シリーズを活用して、より高度で自然な対話能力や画像生成機能の実装を進めており、エンタメやクリエイティブ用途にも対応。Instagramでは写真に関連した質問をMeta AIに投げかけたり、画像の説明を求めたりするような新しい使い方も注目されています。
Z世代はSNSを単なる発信ツールとしてではなく、自己表現・情報収集・共感共有の場として活用。そのため、SNSに統合されたMeta AIは「よりパーソナルでリアルタイムな体験」を可能にする存在として重宝されているのです。今後、Meta AIがさらに進化し、リールやストーリーズとの連携が深まることで、Z世代のデジタルライフに欠かせない存在になっていくと考えられます。
日本企業がアメリカ市場においてZ世代向けのSNSマーケティングやサービスを展開する際には、Meta AIの導入状況やユーザー動線を理解し、それに即した体験設計を行うことが成功のカギとなるでしょう。
5. Bixby

出典:Bixby公式サイト
Bixbyは、Samsungが開発したAI音声アシスタントで、主にGalaxyシリーズのスマートフォンやタブレット、スマートウォッチ、スマートテレビなどに搭載されています。AppleのSiriやGoogle Assistantと比べるとアメリカ国内での認知度はやや低いものの、Samsungユーザーの間では一定の利用率があり、テクノロジーに敏感なZ世代の一部に支持されています。
Bixbyの特徴は、音声による端末操作の自由度の高さ。「写真をモノクロにして保存して」「Wi-Fiをオフにして」など、スマホの設定やアプリ内操作まで詳細に指示できる点が強みです。Z世代は効率的なデバイス操作やカスタマイズを好む傾向があるため、自分の使い方に合わせてBixbyを使いこなすことで「スマホを自分仕様にする」感覚を得られるのが魅力。
また、Samsungは「Bixby Routines(ルーティン)」という自動化機能も提供しており、時間帯や行動パターンに応じてスマホの設定を自動で変更することが可能。Z世代はマルチタスクで生活をこなすことが多いため、こうした自動化による“手間の削減”にも価値を感じやすいといえます。
ただし、アメリカ市場においては、Google Assistantが同じAndroid端末内に搭載されていることが多いため、Z世代の中にはBixbyよりもGoogleを優先する傾向も。そのため、Bixbyの利用はSamsungエコシステム全体との連携を活かした使い方、スマートテレビや冷蔵庫、Galaxy Budsなどとの統合的な操作において、真価を発揮しています。
今後、SamsungがAI機能をさらに強化し、より自然な会話や検索、生成AIとの融合を進めていけば、BixbyもZ世代にとってより魅力的なアシスタントとなる可能性があります。
まとめ
アメリカのZ世代にとって、AIアシスタントはすでに生活の一部として根付いています。スマートフォンやSNSに組み込まれたAIを通じて、彼らは日々の情報収集、スケジュール管理、自己表現、さらには感情面でのサポートまで、幅広い体験を得ています。SiriやGoogle Assistantといった定番の音声アシスタントに加え、SnapchatやMetaのようなSNSベースの会話型AI、そしてChatGPTなどの生成AIが浸透し始めており、Z世代のニーズはますます多様化・高度化しています。
こうしたトレンドは、アメリカ市場におけるZ世代をターゲットとした商品やサービスを検討する日本企業にとって、大きなヒントに。単なる技術提供ではなく、彼らのライフスタイルや価値観に即した“体験”をAIを通じてどのように届けるかが問われているのです。プラットフォームとの親和性、自然なUI設計、多言語対応、プライバシーへの配慮など、Z世代が求める視点を丁寧に取り入れることで、ブランドの信頼と共感を獲得することができるでしょう。アメリカでの自社サービスを展開していきたいと考えている際は、ぜひ弊社IGNITEにご相談ください。
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