現地企業に浸透するツールとは?韓国で使われる仕事用チャットアプリ5選

韓国では、日常生活だけでなくビジネスの現場においても、チャットを活用したコミュニケーションが広く定着しています。業務のスピード感が求められる現代社会において、チャット形式のやりとりは、メールよりも即時性があり、柔軟な意思疎通が可能な手段として多くの企業に受け入れられてきました。
もともと韓国ではモバイルアプリによるやりとりが活発であり、プライベートな連絡手段として使われていたチャット文化が、自然とビジネスの場にも拡大していったという背景があります。こうした流れを受けて、現在では「業務専用チャット」として設計されたツールが多く登場。社内連絡やプロジェクト管理、勤怠確認、ファイル共有、さらにはリモート会議までを一元化する動きが進んでいます。
本記事では、韓国の企業で実際に導入されている仕事用チャットアプリを、現地での利用状況や特徴をもとにランキング形式で5つ紹介します。韓国の働き方や組織内コミュニケーションの実態を知る手がかりとして、ぜひ参考にしてみてください。
▼ランキング
(韓国でのおおよその普及率をもとに)※2025年7月時点
- Kakao Work
- Microsoft Teams
- Slack
- Jandi
- NAVER WORKS
1. Kakao Work

Kakao Workは、韓国を代表するメッセンジャーアプリ「KakaoTalk」の開発元であるKakao Enterpriseが提供する、法人向けの業務用チャットアプリです。個人利用が中心のKakaoTalkに対し、Kakao Workはビジネスに特化し、社内コミュニケーションやタスク管理、リモートワークをよりスムーズに行えるよう設計されています。
最大の特徴は、KakaoTalkを日頃から使い慣れている人であれば、すぐに使いこなせるわかりやすさにあります。シンプルで見やすい画面構成により、導入のハードルが低く、社内全体への浸透もスムーズ。チャット機能だけでなく、カレンダーとの連携やファイルの共有、ビデオ通話、勤怠管理などの機能がひとつにまとまっているため、業務ごとに複数のツールを切り替える手間を減らせる点も魅力です。
さらに、勤務時間外の通知オフ機能や、部署ごとの権限設定、セキュリティ対策など企業向けならではの機能も充実。働き方改革が進む韓国において、業務とプライベートの線引きを明確にしたいというニーズに応えるツールとして注目を集めています。導入実績も年々増加しており、ベンチャー企業から大手企業、教育機関まで幅広い業種で利用。Kakao Workは、韓国社会に根付いたKakaoブランドへの信頼感と使いやすさ、そしてビジネス現場で求められる実用性を兼ねそろえた、韓国ならではのビジネスチャットプラットフォームだといえます。
2. Microsoft Teams

Microsoft Teamsは、世界的なIT企業であるMicrosoftが提供する統合型のビジネスチャットツールで、韓国においても多くの企業や教育機関で活用されています。Microsoft 365(旧Office 365)を導入している企業では、WordやExcel、Outlookなどとの連携がスムーズに行えることから、業務全体を一括管理できるツールとして高い評価を受けています。
Teamsの最大の特徴は、チャット機能だけでなく、ビデオ会議・ファイル共有・共同編集・スケジュール管理などがすべて統合されていること。社内外のメンバーとの情報共有を効率化し、部署やプロジェクト単位でのやりとりも柔軟に対応できます。ファイルをチャット内でそのまま共有、編集できるなど複数の作業を一つの画面上で完結できるという操作性の高さも、支持される理由の一つです。
韓国では、グローバル展開している企業や、セキュリティ要件の高い業種、大規模な教育機関などでの導入が目立ちます。Microsoftが韓国国内にクラウドデータセンターを保有していることもあり、企業のセキュリティポリシーに準拠しやすい点も導入を後押し。加えて、TeamsはAIや自動化機能のアップデートが早く、議事録の自動作成や翻訳、タスク管理との連携など、ビジネスのDXを推進するうえでも有力な選択肢となっています。韓国における業務効率化やグローバル対応を重視する企業にとって、Microsoft Teamsは柔軟性と拡張性を兼ね備えたツールとして、今後も高い需要が見込まれる存在です。
3. Slack

出典:Slackホームページ
Slackは、米国発のビジネスチャットツールで、プロジェクトベースでの情報共有やチーム間のやり取りをスムーズに行うために開発されました。韓国においても、特にIT企業やスタートアップ、外資系企業を中心に導入が進んでおり、柔軟な働き方を推進する企業から高い評価を得ています。
最大の特徴は、「チャンネル」ベースの会話形式です。部署やプロジェクトごとにチャットルームを自由に作成できるため、関係者以外に通知が飛ばず、情報の整理がしやすい点が魅力とされています。メッセージのスレッド化や検索機能も優れており、過去のやりとりを簡単に振り返ることができるのもポイント。
また、Slackは外部アプリとの連携機能が非常に充実しており、Google DriveやTrello、GitHub、Zoomなど、業務で使うツールをひとつの画面に集約できる拡張性を持っています。自社の業務フローに合わせてカスタマイズしやすいため、開発現場やプロジェクトマネジメントにおいて強力な味方となります。
韓国では、英語ベースのインターフェースに馴染みのある企業や、グローバルチームとのやりとりが日常的な企業で導入されているケースが多く、多言語環境への対応やクラウドツールとの親和性を重視する場面で力を発揮。Slackは、高度な機能性とカスタマイズ性を持ちながらも、感覚的に操作できる設計となっており、特にスピードと効率を求める組織にとって理想的なチャットツールといえるでしょう。
4. Jandi(잔디)

出典:Jandiホームページ
Jandi(잔디)は、韓国のスタートアップ企業「Toss Lab」が開発した韓国発のビジネスチャットツールです。韓国語で잔디(ジャンディ)は「芝生」を意味し、「社員全員が気軽に集まれる、やわらかな業務空間を目指す」というコンセプトのもとに誕生しました。英語や中国語にも対応しており、東アジア市場を中心に展開を広げているサービスです。
Jandiの最大の魅力は、韓国企業の業務環境や働き方に特化した設計。カカオトークのような親しみやすい操作性に加え、グループチャット、ファイル共有、タスク管理、カレンダー連携など、ビジネスに必要な機能が一通りそろっています。また、通知の柔軟なカスタマイズや、チャット内でのファイル整理機能など、細やかな使い勝手の良さも支持される理由の一つです。
特に注目されているのが社内向けポータルとしての役割。掲示板機能や固定メッセージ機能を活用すれば、社内のお知らせや業務フローを一元管理できるため、情報共有の抜け漏れを防ぐのに役立ちます。SlackやTeamsと比べるとやや機能はシンプルですが、導入のしやすさや運用コストの低さ、韓国語に最適化されたUIが多くの中小企業やスタートアップに支持されています。
韓国国内の企業文化やセキュリティ要件に対応した設計がされており、外資系ツールに比べて法規制や慣習への適応力が高い点も、Jandiの強みです。実際に、韓国のITベンチャーをはじめ、教育、医療、行政などさまざまな分野の中小規模事業者で導入が進んでいます。Jandiは、韓国市場に特化したシンプルかつ実用的な国産ツールとして、今後も着実に存在感を高めていくことが期待されます。
5. NAVER WORKS

NAVER WORKSは、韓国最大のIT企業NAVERが提供する法人向け業務用ソリューションです。ビジネスメール、カレンダー、ドライブ、アドレス帳、メッセンジャー機能などを1つに統合した「グループウェア」として設計されており、主に中堅・大企業や官公庁を中心に導入が進んでいます。NAVERが韓国内で圧倒的なブランド認知を持っていることもあり、信頼性の高いビジネスインフラとして注目を集めています。
NAVER WORKSの特徴は、セキュリティと管理機能の強さにあります。韓国国内の法規制やデータ保護基準に準拠した設計となっており、クラウド型でありながらも企業の情報資産を安全に守ることができます。管理者向けのモニタリングやアクセス制御も充実しており、ITガバナンスを重視する企業にとっては安心して利用できるプラットフォームです。
また、NAVERメールをはじめとしたユーザーに馴染みのあるサービスとの連携性が高く、既存の業務フローに無理なく組み込めるのも利点。メッセンジャー機能では、LINE WORKSとも類似したチャットUIが採用されており、社内外のやりとりを効率化するための環境が整っています。
さらに、NAVER Cloudと連動することで、韓国国内にデータを保管する体制も整っており、公共機関や金融業界など、セキュリティ基準が高い業種でも導入されている実績があります。こうした点から、NAVER WORKSは単なるチャットツールではなく、韓国企業の業務基盤としての役割を担う存在だといえるでしょう。韓国でビジネスを展開する企業にとって、NAVER WORKSは信頼性・安定性・操作性を兼ね備えた選択肢のひとつとして、今後も堅実な支持を集めていくと見られます。
まとめ
韓国では、多様なビジネスチャットアプリが広く活用されています。韓国ならではのIT環境や企業文化に即した使いやすさ、セキュリティ面への配慮、既存サービスとの連携など、導入時に注目すべきポイントもさまざまです。NAVER WORKSやJANDIのような韓国発の国産ツールは、現地企業との相性がよく、ローカル市場での信頼感やサポート体制も強みとなっています。こうしたツールの普及状況や活用方法を知ることは、韓国市場への進出を検討する企業にとって重要なヒントとなるでしょう。現地のビジネスコミュニケーションの実情を把握することは、プロモーション施策の立案やサービス連携の設計にも活かせる視点です。
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