韓国でキャリア形成に欠かせない人気の資格5選｜グローバル進出｜サポート専門

社会人として働く中で、キャリアをどのように築いていくかは、多くの韓国人にとって重要な関心ごとの一つです。近年の韓国では、年功序列よりも成果や実力を重視する傾向が強まり、「どんな経験を積んできたか」だけでなく「どんなスキルや資格を持っているか」が、昇進や転職の場面で重視されるようになっています。大企業や公企業、外資系企業では、実務に直結するスキルを持つ人材が高く評価され、早期昇進や希望職種への異動、さらには年収アップにつながるケースも少なくありません。

こうした背景から、多くのビジネスパーソンが日々の業務と並行して資格取得やスキルアップに励んでいます。資格は単なる肩書きではなく、自身の専門性や業務遂行力を客観的に証明する手段であり、キャリア形成において「信頼できる実力の証」として機能します。また、韓国では特定の資格を取得することで書類選考や昇進試験で加点される制度も多く、戦略的に資格を取得することがキャリアアップへの近道とされています。

では、実際に韓国の人々はどのような資格を「キャリアアップに有利な資格」として選び、取得しているのでしょうか？ 今回の記事では、韓国で特に人気が高く、実際に多くの企業で評価されている代表的な資格をランキング形式でご紹介します。それぞれの資格がどのような分野で活かされ、どんなメリットをもたらすのかを詳しく解説するので、自分の将来設計を考えるうえでもきっと参考になるはずです。

▼ランキング

（市場のトレンドをもとに）

1.컴퓨터활용능력（コンピューター活用能力）1・2級

2.TOEIC / OPIc などの公認英語スコア

3.정보처리기사（情報処理技師）

4.전산회계・전산세무（電算会計・電算税務）

5.빅데이터분석기사（ビッグデータ分析技師）・ADsP

1.컴퓨터활용능력（コムピュト・ファルヨン・ヌンニョク／コンピューター活用能力）1・2級

컴퓨터활용능력（コンピューター活用能力、以下「コン活」）は、韓国において事務職や行政職、公企業や大企業を目指す多くの人々から「ビジネスパーソンとしての基本スキルを証明する代表的資格」として広く認知されています。韓国では、就職活動時に履歴書やエントリーシートに「コン活2級以上取得」と記載されていると書類選考を通過しやすい傾向があり、事務職・総務・人事・経理などの職種では応募要件として明示されている場合も少なくありません。

また、入社後の昇進審査や部署異動の際にも、OAソフトを用いた実務処理能力を客観的に示すものとして評価されます。この資格は、Microsoft Excel・Microsoft Word・Microsoft PowerPointなどのオフィスソフトを自在に使いこなし、日常的な文書作成・データ処理・プレゼンテーション作成などを効率的かつ正確に行えることを証明するものです。

Excelの実技試験では、関数、マクロ、ピボットテーブル、条件付き書式など、実務で即戦力として活用できる中〜上級機能まで扱うため、単なる基礎的知識にとどまらず実務即応力を持つことを示せます。そのため、多くの企業ではコン活資格を「持っていて当たり前」と考え、取得していないと業務習得に時間がかかると判断され、採用で不利になる場合もあります。

さらに、韓国の公企業や地方自治体、公共機関では、採用試験や内部昇進試験において加点要素として扱われるケースが非常に多く、昇進や給与交渉でも評価対象となります。実務スキルの有無を客観的に示すことができる数少ない国家資格であるため、社会人としての基礎力を証明する意味でも、韓国では非常に重要な位置づけにある資格です。今後も事務職や総合職を中心に、コン活資格はキャリアアップの「出発点」として定着し続けると考えられます。

2.TOEIC／OPIc などの公認英語スコア

TOEICやOPIcなどの公認英語スコアは、韓国において大企業・外資系企業・公企業を中心に「昇進・採用の必須要件」として扱われることが非常に多い、代表的な語学資格です。

韓国ではグローバル展開を進める企業が年々増加しており、海外支社勤務・海外営業・グローバルチームとの協業など、実務の中で英語を使う機会が確実に増えています。そのため、多くの企業は新卒採用時にTOEIC800点以上、OPIc IM2以上などの基準を設定し、これを満たさなければ書類選考すら通過できないケースも少なくありません。

また、入社後の昇進審査でも、一定の英語力を証明するスコアを提出しなければ評価対象外とされることがあり、語学力はキャリア形成に直結する実用的な指標となっています。TOEICはリスニングとリーディングを中心に構成されており、ビジネス英語で求められる文書読解力やメール対応力、会議資料の理解力などを測る試験です。

一方、OPIcはスピーキング中心の試験であり、面接や海外出張、電話会議など、実践的な英語コミュニケーション能力を測るものです。韓国では、特に営業・海外事業・貿易・購買など海外とやり取りする部署に配属されるには、TOEICやOPIcのスコアが事実上の必須条件になっている企業も少なくありません。

さらに、最近のMZ世代は、就職活動を有利に進めるために大学在学中から語学研修や海外留学を経験し、高得点を取得しておくのが一般的になってきています。語学力は単なるスキルではなく「グローバル人材として活躍できるポテンシャル」の象徴とされ、社内評価や海外派遣選抜にも大きな影響を与えます。そのため、TOEICやOPIcは韓国において「キャリアアップに最も直結する資格」の一つとされ、今後もその重要性はますます高まると見られています。

3.정보처리기사（チョンボチョリ ギサ／情報処理技師）

정보처리기사（情報処理技師）は、韓国においてIT関連職を目指す人々の間で「最も代表的で信頼性の高い国家資格」として位置づけられています。IT開発、社内情報システム、ソフトウェア開発会社、SI企業など、多様な分野で必須あるいは強く推奨されている資格であり、IT職を希望するなら避けて通れないとまで言われています。

この資格試験では、コンピュータ構造・OS・データベース・アルゴリズム・ソフトウェア工学など幅広い理論的知識に加え、プログラミング・システム設計・保守管理など実務的なスキルも総合的に問われます。そのため、情報処理技師を取得していることは、単なる知識習得者ではなく、実際に開発や運用現場で即戦力として働ける人材であることを示す強力な証明となります。

韓国の多くの公企業や大企業は、情報システム部門やIT職への応募条件にこの資格を明示しており、入社後もシステム部門への異動、DX（デジタルトランスフォーメーション）推進プロジェクトへの参画、プロジェクトリーダー選抜などにおいて重要な評価基準としています。また、国家技術資格の中でも難易度が高く、合格するには高度な論理的思考力・問題解決力・集中力が求められるため、保有しているだけで「優秀な人材」として扱われる傾向があります。

近年では文系出身や非専攻の就活生でも、デジタル人材への需要の高まりに合わせて情報処理技師を取得し、IT職種へキャリアチェンジする例が増加。今後、韓国企業ではAIやビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの分野がさらに成長する見込みであり、それらを支えるIT基盤の知識と実装力を備えた人材はますます重宝されると考えられます。情報処理技師資格は、そうした高度なデジタル分野への入り口としても機能しており、韓国では「将来性の高い国家資格」として安定した人気を保っている資格です。

4位：전산회계・전산세무（チョンサンフェゲ／電算会計・チョンサンセム／電算税務）

전산회계（電算会計）および전산세무（電算税務）は、韓国において会計・経理・税務・金融分野の職種を目指す人々の間で広く支持されている実務型資格です。これらはいずれも国家公認資格であり、会計や税務の理論的知識だけでなく、実際の会計ソフトを使った仕訳入力、財務諸表の作成、決算処理、税務申告など、日常業務で必要なスキルを総合的に評価する内容となっています。

전산회계（電算会計）は入門〜中級レベルの会計実務能力を測る資格として新卒や未経験者に人気があり、一方で전산세무（電算税務）はより高度な税務知識や法人税・所得税・付加価値税などの専門知識を問うため、実務経験を持つ中堅層が昇進・キャリアアップ目的で取得することが多いです。韓国の多くの中小企業や会計事務所、さらには大企業の経理部門においても、전산회계・전산세무（電算会計・電算税務）の保有者は「即戦力」として高く評価されます。特に新卒採用においては、実務経験がなくてもこれらの資格を取得していれば「基礎的な会計知識と業務処理能力を持つ」とみなされ、採用選考で有利になります。

また、韓国の公企業・金融機関でも会計・経理職志望者に対して전산회계（電算会計）や전산세무（電算税務）の取得を推奨または加点対象としており、入社後の異動・昇進審査でも評価ポイントになります。

さらに、これらの資格の勉強過程では、会計原則や税法など実務に直結する知識を体系的に学べるため、資格取得自体が業務スキルの底上げに直結します。実際、これらの資格を取得した人の多くは、日々の業務で数字を正確に処理し、決算期や税務申告期などの繁忙期にも安定したパフォーマンスを発揮することができるようになったと評価されています。

韓国では「会計を理解している社員はどの部署でも重宝される」と言われるほどであり、経理や会計分野に限らず、総務・購買・企画など幅広い分野でも役立つ汎用性の高い資格として定着しています。

 5.빅데이터분석기사（ピクデータ プンソク ギサ／ビッグデータ分析技師）・ADsP

빅데이터분석기사（ビッグデータ分析技師）およびADsPは、韓国で近年急速に注目を集めているデータ分析分野の国家公認資格です。DX（デジタルトランスフォーメーション）が加速する中で、企業は膨大なデータを活用して経営判断やマーケティング戦略を立てることが当たり前になりつつあり、それに伴ってデータサイエンス人材の需要が急増。

빅데이터분석기사（ビッグデータ分析技師）は、データ分析分野の上級国家資格として、統計学や機械学習、データマイニング、可視化などの専門知識に加え、実務を想定した分析スキルを総合的に評価する内容となっており、データエンジニアやデータアナリスト志望者に人気があります。

一方、ADsPはデータ分析の入門資格として位置づけられ、基礎的な統計知識やデータの前処理・活用スキルを問うため、マーケティング職や企画職など非IT系のビジネスパーソンにも広く活用されています。

韓国では、大手企業や公企業が新規事業開発や顧客分析にビッグデータを活用する事例が急増しており、빅데이터분석기사（ビッグデータ分析技師）やADsPの取得者は社内のDX推進プロジェクトに抜擢されやすい傾向があります。実際、これらの資格を持つことでSQL・Python・Rなどの分析ツールを扱えることの証明にもなり、実務経験が浅い若手社員でもデータ関連職へのキャリアチェンジがしやすくなります。また、マーケティング部門においても、広告効果測定や顧客セグメンテーションなどにデータ分析を導入する企業が増えており、ADsP保持者は「データに基づいて戦略を立てられる人材」として高く評価されています。

さらに、これらの資格は合格率が比較的低く、一定の学習量と実践的スキルが必要であることから、取得するだけでも「論理的思考力」「問題解決力」「デジタルリテラシー」を備えていると認められる傾向があります。韓国では今後もAIや機械学習、データサイエンス分野の需要が急拡大すると予測されており、これらの資格は「将来性が高く、転職市場でも価値が上がり続ける資格」として位置づけられています。若手社員や就活生にとって、早期に取得しておくことでデジタル人材としてのポジションを確立できる、非常に実用性の高い資格です。

まとめ

今回ご紹介した韓国で人気のキャリアアップ資格ランキングを振り返ると、そこには韓国ならではの価値観が色濃く表れていることがわかります。年功序列よりも成果や実力を重視し、自ら学び続ける姿勢を評価する文化。資格を通して自分の専門性を証明し、チャンスをつかもうとする前向きな姿勢。そうした価値観は、グローバル競争の中でも着実に力をつけてきた韓国社会の原動力にもなっています。

資格は単なる紙の証明ではなく、自己成長や未来への投資を象徴するものです。だからこそ韓国では、多くのビジネスパーソンが日々の業務と両立しながらも、自分の可能性を広げるために努力を惜しみません。それは、変化の激しいビジネス環境を生き抜くうえで欠かせない「自律的なキャリア形成」の一環ともいえます。

韓国市場への展開を考えている企業様にとっても、こうした価値観やキャリア観を理解することは非常に重要です。単に人材を採用するのではなく、どのようなスキルや資格を重視し、どのようにキャリアを築いていくのかを知ることで、より現地に根ざした戦略を立てることができます。

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