IGNITE 越境マーケティング研究所 - Crossover Vol.05
AI時代のコンテンツ制作や広告運用、海外ビジネスの最新動向に加え、多言語Webサイトやインバウンド集客に関するQ&Aなど、海外マーケティングの実践に役立つ情報をご紹介します。
IGNITE 越境マーケティング研究所 - Crossover Vol.05
2026年7月8日配信
このメールマガジンは、海外マーケティングとAIの交差点から実践知をお届けする【越境マーケティング研究所】が、IGNITEのチームの現場知見をもとにお届けするレポートです。
目次
1. 近況
2. Insider Voice
3. 今週の実践Tips
4. 広告 × AI
5. Q&Aコーナー
▼ 1. 近況
先日、大阪の天満橋で開催された海外ビジネスエキスポに行ってきました。
https://www.digima-japan.com/expo/
会場は非常に賑わっており、海外展開や越境ビジネスへの注目度が高まっていることを肌で感じました。
およそ30社が出展しており、来場されている方も「これから海外向けに何か取り組んでいきたい」と考えている方が多かった印象です。セミナーも盛況で、海外進出への関心の高さがよく表れていました。
今、海外進出に関するソリューションは本当に多様化しています。越境EC、海外営業支援、現地リサーチ、物流、決済、翻訳、広告、インフルエンサー施策など、オンラインで調べるだけでは出会いにくい企業やサービスに直接触れられることが、展示会に足を運ぶ大きな価値だと改めて感じました。
IGNITEとの関わりで言えば、海外向けリサーチや市場調査の領域で協業できそうな企業もありました。また、越境ECへの注目度の高さも印象的でした。
普段の業務では、どうしてもウェブ検索や既存のネットワークの中で情報収集が完結しがちです。しかし、自分が普段あまり行かない場所に意図的に身を置くことで、検索では拾えない情報や、新しい視点に出会うことができます。
海外マーケティングのように変化が早く、関係者も多い領域では、こうしたリアルな情報収集の重要性を改めて感じました。
海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima(デジマ)」を運営されている株式会社Resorzさんは、非常に手堅く、素晴らしいビジネスを展開されていると感じました。
▼ 2. Insider Voice–Yoshi, ニュージーランド出身 / IGNITE代表
*メルマガ限定コンテンツ
Insider Voiceは、IGNITE代表のYoshiです。今回のテーマは、AI時代のコンテンツ制作における「編集者」と「責任者」の重要性です。
最近、IGNITEではSEOコンサルティングのご相談をいただくことが増えています。以前は記事制作やコンテンツ制作そのもののご依頼が中心でしたが、最近はウェブサイト分析、コンテンツ方針の設計、制作体制の構築といったコンサルティング領域の比重が高まっています。
背景には、AIの普及があります。ChatGPTをはじめとする生成AIの登場によって、「コンテンツ制作は社内で内製化したい」と考える企業が増えています。AIを使えば、記事の下書きや構成案、翻訳、リライトなどは以前よりもはるかに早く作れるようになりました。
ただし、ここには大きな落とし穴があります。
AIによって「書き手」は確保しやすくなりました。しかし、コンテンツ制作に必要な実務がなくなったわけではありません。むしろ、最終的にその内容が正しいのか、ブランドとして出してよいのか、検索意図に合っているのか、ユーザーに誤解を与えないのかを判断する「編集者」の役割は、以前よりも重要になっています。
AIは文章を書くことはできますが、責任は取ってくれません。
「AIを使えば簡単にコンテンツを作れる」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。AIが出力した内容を誰が確認するのか。誰が最終判断をするのか。誰が公開後の成果やリスクに責任を持つのか?この設計が曖昧なままAI活用を進めてしまうと、コンテンツの品質はむしろ不安定になります。
特に企業のコンテンツでは、単に文章が整っているだけでは不十分です。
事実関係、専門性、ブランドトーン、法務・薬機・景表法などのリスク、ターゲットに対する伝わり方まで含めて判断する必要があります。
AI時代に必要なのは、AIに任せることではありません。
むしろ、AIを制作チームの一員として使いながら、全体を設計し、方向性を判断し、最終責任を持つ編集者やディレクターの存在が不可欠です。
そして、その編集者が「自ら指揮を執るのか」、それとも「最終確認だけを行うのか」によって、組織体制や制作フローは大きく変わります。AIを活用するほど、人間側の責任範囲を明確にしておく必要があります。
AIが普及した今だからこそ、コンテンツ制作における最終責任者の存在が、これまで以上に重要になっています。
▼ 3. 今週の実践Tips – ChatGPT広告は、まず小さく試してポジションを取る
ついにChatGPTの広告が始まりました。
IGNITEでも自社サイトの広告を実際に出してみていますが、思った以上に予算の消化が早いという印象です。まだ新しい媒体ということもあり、配信面やターゲティングの精度には不確実な部分がありますが、こうした新しい広告媒体は、初期段階から実際に触っておくことが重要です。
現時点では、CPC(クリック単価)はそこまで高くありません。IGNITEで試している範囲では、300円以内に収まっており、想定よりも取り組みやすい水準です。
一方で、ChatGPTの無料プランで自社や関連サービスについて実験的に調べてみると、あまり関係のない広告が表示されるケースもありました。広告精度はまだ発展途上であり、検索広告やMeta広告のように安定した運用ができる段階ではないと感じています。まだベータ版に近い状態だと考えた方がよさそうです。
それでも、AI検索と広告の相性は非常に良いと考えています。
ユーザーがAIに質問するタイミングは、検索エンジンと同じく「何かを知りたい」「比較したい」「判断したい」という意図が強いタイミングです。そこに広告が自然に表示されるのであれば、今後大きな広告プロダクトになる可能性があります。
Googleも今後、AI検索と広告をより強く結びつけてくるはずです。検索エンジンとAIは、ユーザーの意図を読み取り、最適な情報を返すという点で非常に近い構造を持っています。そのため、AI検索に広告が組み込まれていく流れは自然です。
もちろん、成功するか失敗するかはまだ分かりません。ただ、新しい媒体では、完成度が高くなってから参入するよりも、早い段階で小さく試し、学習しておくことに価値があります。
まずは小額でテストし、どのようなクエリで表示されるのか、どのようなLPと相性が良いのか、どの程度のCVが見込めるのかを確認しておく。
これが、今の段階で取るべき現実的なアプローチだと考えています。
▼ 4. 広告 × AI – MetaのAI広告クリエイティブ強化と、広告運用者の役割変化
MetaがAI広告クリエイティブを強化するために、画像生成AI「Muse Image」をロールアウトしているというニュースがありました。
今後、広告運用はさらにAI前提になっていくと考えています。入札、配信面、ターゲティング、予算配分といった領域は、すでにかなりの部分がAIによって自動化されています。そこに加えて、クリエイティブ制作までAIが担うようになれば、広告運用者の役割は大きく変わっていきます。
これから広告運用で重要になるのは、細かな設定を手作業で調整することではありません。むしろ、AIが正しく配信できるようにするための素材設計、ランディングページの訴求設計、商品理解、ターゲット理解、検証すべき仮説の整理が中心になっていくはずです。
つまり、広告運用者は「管理画面を操作する人」から、「AIが成果を出せる環境を設計する人」へと変わっていくということです。
ただし、今回のMetaの「Muse Image」について、私はかなり懐疑的です。これまでMetaが提供してきたAIによる画像生成機能で、実務レベルで使えると感じたものは皆無です。ゼロです。
生成される素材の品質が低かったり、ブランドのトーンと合わなかったり、プロダクトの見え方が不自然だったりするケースが目立ちます。
広告において、事実と違う表現は許されません。
生成AIを使うと、商品の細部が実物と微妙に違って表現されることがあります。色味、形状、質感、ロゴ、人物の顔、背景の文脈などが少しずつズレる。クリエイティブとしては一見きれいに見えても、広告として使うには危険な場合があります。
特にプロダクト広告では、商品の見た目が実物と違うだけで、ユーザーに誤解を与えてしまいます。ブランド広告でも、トーンや世界観が崩れると、ブランド資産を損なう可能性があります。
そのため、AIが広告クリエイティブ全体を完全に担うようになるとは、まだ考えていません。少なくとも現時点では、AIはラフ案、バリエーション作成、検証用の素材作成には使えても、最終的なクリエイティブ判断は人間が行うべきです。
とはいえ、世の中の流れとしては、広告クリエイティブの領域にもAIが深く入り込んでいくことは避けられません。媒体側は、AIによる自動生成、自動改善、自動配信を進めていくでしょう。
その中で重要になるのは、「どこまでAIに任せるのか」と「どこから人間が責任を持つのか」を明確にすることです。
これは、広告運用だけの話ではありません。コンテンツ制作、LP制作、SEO、SNS運用、翻訳、ローカライズなど、あらゆるマーケティング業務に共通するテーマです。
AIは実行者にはなれます。しかし、最終責任者にはなれません。
広告運用においても、今後はAIを使いこなす力と同時に、AIの出力に対して責任を持って判断する力がますます重要になっていくと考えています。
▼ 5. Q&Aコーナー
越境マーケティング研究所への質問を募集しています。
海外マーケティング、AI活用、多言語SEO、広告運用など、越境ビジネスに関するご質問をお寄せください。
宛先: [email protected](件名に「Q&A」とご記入ください)
(400文字以内 / お一人様月1問まで)
全てのご質問に必ずお答えできるわけではございませんが、いただいた質問は本メルマガ内で順次回答いたします。
Q.1
AI時代において、ウェブサイトをどこまで翻訳すべきか悩むことはないでしょうか。
英語で検索しても、AIは日本語のホームページを読み込んで英語で回答してくれます。「日本語のページしかないからといって、英語で回答してくれないわけではない」という印象から、これからは翻訳されたウェブサイトはそこまで必要ないのではないでしょうか?
A.
結論から申し上げると、AI時代においてもウェブサイトの翻訳は必要です。むしろ、その重要性は以前よりも高まっていると考えています。
理由は大きく2つあります。
1つ目は、AIの参照元としての重要性です。
AIが日本語のウェブサイトを読み込み、英語で回答してくれることはあります。しかし、ユーザーが検索した言語と同じ言語のページが存在する方が、AIに参照されやすくなる傾向があります。つまり、英語で検索するユーザーに対しては、英語のページを用意しておく方が、AI経由で情報が拾われやすくなる可能性があります。
AI検索時代のウェブサイトは、単にユーザーに読ませるためのページではありません。AIが内容を理解し、回答の根拠として参照するための情報源でもあります。その意味で、多言語ページはAIに対する情報提供の役割も担っています。
2つ目は、最終的なコンバージョンの獲得です。
現在、AIが直接購入や問い合わせを完了してくれるわけではありません。ユーザーはAIの回答を見た後、最終的にはウェブサイトにアクセスし、「この会社は信頼できるのか」「この商品やサービスは自分に合っているのか」を自分の目で確認します。
そのときに日本語のページしかなかった場合、ユーザーがわざわざ自動翻訳にかけて内容を確認するでしょうか。もちろん一部のユーザーはそうするかもしれませんが、多くの場合、そこで離脱してしまう可能性があります。
きちんとローカライズされた英語ページがあり、情報が自然な表現で整理されているからこそ、ユーザーは安心して問い合わせや購入に進むことができます。
AIが高度な回答を出すようになったからこそ、ウェブサイトの役割は弱まったのではなく、むしろ変化しています。AIにとっての情報源であり、ユーザーにとっての信頼確認の場であり、最終的なコンバージョンの受け皿でもある。
そのため、AI時代においてもウェブサイトの翻訳は引き続き必要です。
Q.2
飲食店を運営しています。インバウンドのお客さんを狙うにあたって、ウェブサイトはどこまで必要でしょうか。GoogleマップやInstagramだけでも十分でしょうか?
A.
結論から申し上げると、飲食店におけるウェブサイトの重要度は、他の業種と比べるとそこまで高くありません。
ユーザーが飲食店を探すとき、多くの場合はGoogleマップ、Appleマップ、Instagram、口コミサイト、旅行系メディアなどを利用します。飲食店のウェブサイトをオーガニック検索で見つけて、そのまま来店するという動きは、BtoBや高単価商材と比べると多くありません。
そのため、極端に言えば、飲食店のウェブサイトは「あってもなくてもいい」と見えるかもしれません。
ただし、今後のAI検索を考えると、簡易的なものであってもウェブサイトは作っておくべきです。
理由は2つあります。
1つ目は、AI検索は情報源を必要とするからです。
ユーザーがAIに「大阪で外国人におすすめの寿司店は?」「梅田でベジタリアン対応のレストランは?」のように質問した場合、AIはGoogleマップ、Appleマップ、Instagram、ウェブサイト、口コミ情報など、さまざまな情報源をもとに回答を作ります。
つまり、AIにおすすめとして提示されるためには、元になる情報源が必要です。情報が少なければ、AIもその店舗を正確に理解できません。
2つ目は、ウェブサイトはAIが比較的読み取りやすい情報源だからです。
InstagramなどのSNSは、ユーザーにとっては分かりやすい情報源ですが、AIにとっては必ずしも読み取りやすいとは限りません。プラットフォーム側の制限により、AIが十分に情報を取得できない場合もあります。
一方で、ウェブサイトに営業時間、住所、メニュー、価格帯、対応言語、支払い方法、予約方法、ベジタリアン対応、ハラール対応、アレルギー対応などを明確に記載しておけば、AIがその情報を理解しやすくなります。
飲食店の場合、大規模なウェブサイトを作る必要はありません。1ページだけでも構いません。重要なのは、AIとユーザーの両方が理解しやすい形で、店舗の基本情報を整理しておくことです。
GoogleマップやInstagramはもちろん重要です。ただ、それらに加えて、公式情報の受け皿として簡易的なウェブサイトを持っておくことで、AI検索時代の露出機会を増やしやすくなるでしょう。
株式会社IGNITE 越境マーケティング研究所
https://igni7e.jp
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