海外向け広告運用を成功させる方法

海外市場への進出を目指す企業にとって、効果的な広告運用は欠かせません。海外向けの広告を成功させるためには、言語や文化の違いなどから、国内市場とは異なるアプローチが求められます。

そこで、この記事では、海外向け広告の種類やリスティング広告について、そしてFacebookを活用した広告などについて詳しく解説します。

広告の種類にはどのようなものがあるのか

ウェブ広告は、用途やターゲットに合わせて使い分けることが重要です。

まず、はじめに広告にはどういった種類があるのかをご紹介します。

リスティング広告

最も多くの企業が活用しているのが、リスティング広告です。これは、検索結果ページ上に、ユーザーの検索キーワードに関連する広告を表示するウェブ広告の一種です。代表例として、Google広告などが挙げられます。

ユーザーの検索ニーズに合わせて広告が表示されるため、適切なキーワード選定とページ最適化を行う必要があります。そうすることで、高い反響と効果的な集客が期待できる広告手法です。リスティング広告の掲載順位は、広告の品質や予想されるクリック数、入札単価のバランスによって決まります。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、ウェブサイト上に表示される画像や動画形式の広告で、視覚的なインパクトを与えることができるため、ビジュアルマーケティングに適しています。

参考元:Display Ads: What They Are, Types, & How They Work

例えば、ファッションブランドのH&MはForbesを通じて訴求することで、ブランドイメージの向上を図っています。画像や動画を用いたディスプレイ広告を、関連性の高いウェブサイトに掲載することで、ブランド認知度の向上と潜在顧客の獲得が期待できます。

このようにディスプレイ広告は、ビジュアルマーケティングの強力なツールであり、適切なターゲティングとクリエイティブな広告デザインを組み合わせることで、ブランドの認知度向上や商品・サービスの販売促進に大きく貢献することができます。

SNS広告

Facebook、Instagram、Twitter、LINEなどのSNSプラットフォーム上に表示される広告です。ユーザープロファイルに基づいた詳細なターゲティングが可能となります。

参考元:Web広告とは?種類と特徴、効果を高める運用方法を徹底解説 | 地方企業を支援するデジタルマーケティング会社「サンロフト」

SNS広告の中でも代表的なものが、Facebook広告です。上記は、トヨタ自動車のFacebook上の画像広告です。総務省の調査によると、世界の主要SNSユーザー数を比べてみても、Facebookは約29億人と圧倒的な数のユーザー数があります。そんな幅広いユーザー層に効率的にリーチでき、細かい設定ができる点でとても魅力だと言えるでしょう。

参考元:総務省|令和4年版 情報通信白書|データ集(第3章第6節)(2022年1月)

動画広告(YouTube広告)

動画広告は、YouTubeの動画プラットフォームなどで表示される広告形式です。視聴者の興味を引きつけやすく、商品やサービスの特徴を視覚的に訴求できます。以下の広告は、インストリーム広告と呼ばれるもので、ユーザーが選択した動画の前、途中、または後に再生される広告です。

参考元:YouTube TrueView Video Ads Explained - Surfside PPC

特にYouTubeは、世界最大のオンライン動画プラットフォームの1つであるため、YouTubeの持つ広範なグローバルリーチを利用することで、数十億人の視聴者にアプローチすることが可能になります。また、指定の地域や年齢層など、ターゲットを絞った広告運用が可能になります。

例えば、チョコレートで有名な明治は、本社主導でベトナムでのマーケティングを行い、YouTubeのインストリーム広告を活用しました。6秒のバンパー広告でリーチを広げ、長尺のTrueViewインストリーム広告で小売店への送客を促すメッセージを組み込み、小売店半径5km以内のYouTubeユーザーにターゲティング配信した結果、一部商品で売上が最大310%伸長し、ブランド認知も大きく向上させることに成功しました。

DSP広告

DSP広告は、デジタル広告業界で広く使用されている広告配信の仕組みの1つです。まず、ユーザーがウェブサイトを訪問すると、SSPを通じてDSPに情報が送信され、ユーザーの属性や行動履歴などのデータをもとに最適な広告が選定され、リアルタイムで入札が行われます。この一定の流れをユーザーがウェブサイトに訪問後、約0.1秒で行っています。

DSPを活用することで、興味関心の高いユーザーへのターゲティングや類似ユーザーへのアプローチが可能となります。また、広告運用の自動化によってそこにかかる工数削減にも繋がります。

しかし、その一方で、ある程度の初期費用がかかることや配信先の透明性が低いことはデメリットとして挙げられます。

参考元:わかりやすく解説!「DSP広告」の仕組みと導入のメリット・デメリット | PANX Marketing & Ad Solution

リターゲティング広告

ウェブサイトを訪問したユーザーの行動履歴を追跡し、そのデータをもとに個別にカスタマイズされた広告を配信することをリターゲティング広告と言います。実際に、ショッピングサイトで特定の商品ページを閲覧した後、別のサイトやSNS上でその商品の関連商品や広告を目にするといった経験があるかと思います。

この方法は、興味関心の高いユーザーに絞って継続的にアプローチできるため、リピーター獲得やブランド認知度向上に効果的です。また、コンバージョン率の改善にも役立ちます。

ネイティブ広告

ネイティブ広告とは、ウェブサイトやアプリの編集コンテンツに溶け込むように表示される広告です。広告であることを明示しつつも、コンテンツの文脈に沿った自然な表現で広告メッセージを伝えるため、ユーザーに違和感なく受け入れられやすいという特徴があります。

具体的に、中国ではWeChatの普及率が高いことから、WeChat内のミニプログラムという下記のような広告を使用することが効果的です。また、オフィシャルアカウントを作成し、ブランドコンテンツやニュースバナーへの表示をすることもでき、中国では多くの人が使い慣れたアプリやサイトを使うことで、自然に閲覧してもらうことが可能です。

参考元:【LINE】LINEの広告配信プラットフォーム「LINE Ads Platform」を本格運用開始 | ニュース | LINE株式会社

海外向けに広告運用するならGoogle広告とFacebook広告がおすすめ

海外向け広告の運用では、Google広告とFacebook広告を特におすすめしています。

ここからは、この2つの広告方法のメリットとデメリットについて解説します。両者のメリットを生かし、有効な戦略を探ってみてください。

リスティング広告のメリット・デメリット

【メリット】

海外向けにGoogle広告を運用するメリットは、新規顧客の獲得や広告費用の最適化、市場動向の把握の3点が挙げられます。

1つ目に、海外の検索エンジンユーザーに対して効果的にアプローチができるようになるため、潜在的な新規顧客の獲得が期待できます。特に、Google広告は日本国内で77.2%のシェア率、そして全世界では92.9%の普及率があるため、圧倒的な数のユーザーに向けて発信することが可能です。

参考元:【2024年最新】検索エンジンシェア率ランキングTOP10!世界と日本国内を共に紹介!

また、広告の表示回数やクリック率、コンバージョン率などの指標を分析することで、現地の消費者のニーズや行動パターンを理解することができ、製品開発や販売戦略の立案に役立てることも可能です。海外進出を検討する企業にとって、Google広告は効果的なマーケティングツールと言えます。

【デメリット】

一方、デメリットもあります。キーワードを検索した潜在層へのアプローチのため、認知拡大やブランディングには不向きな方法です。市場は大きいですが、検索ワードがあまりヒットしなかった場合には、多くの広告効果は期待できません。最初は、リサーチを慎重に行うことが重要となります。

また、基本的にこの方法はその国や地域に絞って発信されている広告となるため、日本で言語を変えて検索しても見ることができず、実際に現地に足を運んで広告を確認する必要があります。これには、コストも時間もかかってしまうため、海外の友人や海外を拠点として働いている同僚に依頼するのも一つの選択肢です。

Facebook広告のメリット・デメリット

【メリット】

Facebook広告は、日本国内を見ると約2,600万人と他のSNSと比べて比較的少ないですが、全世界で見ると約24億9,800万人と圧倒的な認知度を持っています。基本的にプロフィール情報が正確なことが多いため、年齢や居住地、興味関心などの詳細なターゲティングが可能です。

また、画像や動画、カルーセルなど13種類の多彩な広告フォーマットを使用でき、広範囲にリーチできる面でも優れています。そして、拡散力も高いためユーザーの間で人気が高ければ、低コストで大きな宣伝効果が期待できるでしょう。

参考元:Facebook広告の広告フォーマット全13種類を一覧表付で解説 | LISKUL

【デメリット】

こうした詳細な情報が公開されているため、ユーザーのプライバシーに配慮する必要があり、慎重な対応が求められる部分ではデメリットとも言えます。

また、完全に自動化されているわけではないので、定期的なモニタリングと分析は必要不可欠です。広告の目的や目標に沿った結果が得られているか、改善の余地はないかなどを検討し、適宜修正を加えていくことが重要です。こうした継続的な運用管理には、一定のコストと労力が伴うことにも留意すべき点です。

リスティング広告を実施する方法

リスティング広告は、適切なキーワード選定とコンテンツ設計が重要となります。下記の流れに沿って実施していきましょう。

1. ターゲット設定

まずは、広告を届けるターゲットとなる対象者層を明確にします。どの国や地域に重点を置くのか、年齢や性別、興味関心はどのようなものなのかを決めていきます。言語設定なども考慮し、細かく設定します。

例えば、欧米圏に向けて広告を出したい場合、その土台を参考に、「アメリカのロサンゼルス在住の20代から30代の男性をターゲットとする」というように詳細を設定します。

2. 戦略起案

次に、どのような種類の広告をどれくらいの範囲で展開するかなどの具体的な戦略を作成します。その他にも、適切なキーワード選定や予算、最適な配信タイミングなどを検討します。これらの要素を総合的に考慮し、ターゲットオーディエンスに訴求力のある広告を作成することで効率的にターゲットにアプローチすることができます。

リスティング広告の戦略起案では、これらの要素を適切に組み合わせ、目標達成に向けた最適なアプローチを構築することが鍵となります。

3. プラットフォームを選定

そして、ターゲットとする国や言語に適したプラットフォームを選定します。Google広告以外にも、Yahoo!やBingなどのエンジンを検討しましょう。

例えば、イギリスの40代向けに商品を展開する場合、ターゲット層の約4人に1人がBingを使用しているというリサーチ結果から、Bingを選択するのが効果的だと分かります。ターゲットに合わせて適切なプラットフォームを選ぶことで、リスティング広告の効果を最大限に引き出すことができるでしょう。

4. 魅力的なコンテンツ作成

そして、実際に広告に使用するコンテンツを作成します。ターゲットに合わせた効果的なキーワードの選定や、強力なメッセージやキャッチフレーズを取り入れ、ユーザーの関心を惹きつけるコンテンツを目指します。

インフォグラフィックスを意識して作成しましょう。そうすることで、複雑な情報をイラストや図形で視覚的に表現するもので、ユーザの関心を惹きつけ、効果的に情報発信ができるようになります。制作には工夫と時間が必要になりますが、SNSでの拡散性も高いため、適切に用いれば印象に残りやすく、多くの人に情報を届けることが可能となります。

5. 運用後の分析と改善

広告を運用開始したら、数値分析を忘れないようにしましょう。具体的には、実際のクリック数やコンバージョン率、コストなどから効果を分析し、問題点を洗い出します。その結果をもとに再度、改善施策を立案し、よりパフォーマンスを上げていく作業を繰り返します。

こうすることで、リスティング広告の効果を最大限に生かすことができます。

まとめ:ターゲットに合った方法で効果的な広告を運用しましょう

海外市場を狙う際は、リスティング広告とFacebook広告の組み合わせがおすすめです。広告を効果的に運用するために、ターゲット設定から戦略立案、プラットフォーム選定、コンテンツ制作、分析までの一連の過程を着実に踏む必要があります。実務経験が少ない企業は、約20%の手数料が発生しますが、外部の専門代理店に依頼するのも一つの選択肢です。長期的な視点でみてもコストはかかりますが、正確でクオリティの高い広告ができるメリットは大きいと言えるでしょう。

この記事を監修した人
Daisuke K
マーケター、CMO
2021年にCMOとしてIGNITEのへの参加を果たした。以前からマーケティング業界での勤務経験を有し、IGNITEでは海外市場向けのマーケティング戦略を展開している。あらゆる国や地域からの、BtoB、BtoC案件を総監し、海外進出を検討する日本国内の企業から、日本への参入を希望する海外企業までのサポートを行っている。
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